物流設備投資時の注意事項:物流現状把握の重要性(その4)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 物流設備投資時の注意事項

 運搬の自動化を行うことで運搬工数を削減することは、物流作業を効率化するための投資の発生です。この時にこの会社では運搬工数が無くなったことでコストが下がっています。一方で自動化のための無人運搬車を導入していますのでその分の投資が発生しています。

 したがいましてこのコストメリットと投資による発生費用をオフセットして(差し引きして)トータルメリットを考える必要があります。

 

 このケースでは「お金をかけて効率化」を実施したことになります。もちろんお金をかけずに効率化することがベストですが場合によってはお金をかけてでも実施すべき改善はあると思われます。この会社の物流の現状把握時には投資金額も考慮する必要があるということです。投資自体が何年で回収できるか気になるところです。この点を頭に入れて投資は慎重に実施する必要があります。

 投資を行った後に発生するコストについても投資する段階できっちりと計算をしておくことが重要です。自動化設備のイニシャル投資だけに目を奪われてランニングコストをおろそかにしている会社があります。自動化設備ですから常日頃の点検整備にお金がかかります。補修費用もかかります。システムの入れ替えや部品交換でもお金がかかります。

 場合によっては「プリンタービジネス」的なことになる可能性もありますから注意が必要です。それは何かというと、導入コストは安価でも導入後に発生するコストが膨大だということです。皆さんもご経験があるものと思いますが、プリンターは初期購入費用が安くても後から購入するインク代が大変高いのです。

 物流設備投資を行う場合にはその設備を使っているトータル期間で全体でいくらかかるかについてきちんと計算しておくことが望ましいと考えられます。物流設備投資を行っている場合、それが実際...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 物流設備投資時の注意事項

 運搬の自動化を行うことで運搬工数を削減することは、物流作業を効率化するための投資の発生です。この時にこの会社では運搬工数が無くなったことでコストが下がっています。一方で自動化のための無人運搬車を導入していますのでその分の投資が発生しています。

 したがいましてこのコストメリットと投資による発生費用をオフセットして(差し引きして)トータルメリットを考える必要があります。

 

 このケースでは「お金をかけて効率化」を実施したことになります。もちろんお金をかけずに効率化することがベストですが場合によってはお金をかけてでも実施すべき改善はあると思われます。この会社の物流の現状把握時には投資金額も考慮する必要があるということです。投資自体が何年で回収できるか気になるところです。この点を頭に入れて投資は慎重に実施する必要があります。

 投資を行った後に発生するコストについても投資する段階できっちりと計算をしておくことが重要です。自動化設備のイニシャル投資だけに目を奪われてランニングコストをおろそかにしている会社があります。自動化設備ですから常日頃の点検整備にお金がかかります。補修費用もかかります。システムの入れ替えや部品交換でもお金がかかります。

 場合によっては「プリンタービジネス」的なことになる可能性もありますから注意が必要です。それは何かというと、導入コストは安価でも導入後に発生するコストが膨大だということです。皆さんもご経験があるものと思いますが、プリンターは初期購入費用が安くても後から購入するインク代が大変高いのです。

 物流設備投資を行う場合にはその設備を使っているトータル期間で全体でいくらかかるかについてきちんと計算しておくことが望ましいと考えられます。物流設備投資を行っている場合、それが実際にコストダウンに寄与しているかどうかはしっかりと見定めることが必要です。皆さんは物流を効率化するために投資したのだから儲かって当たり前だと思っていませんでしょうか。実はこの思い込みが落とし穴なのです。

 設備投資時の検討が甘かったり、会社を取り巻く環境が変わったりして本当は儲かっていない投資も存在している可能性があるのです。

 

 次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その1)

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...


面積原価(その2)

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...


サプライチェーンとはなにか

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
これからの輸送改善のコツ、輸送距離、物流量、輸送単価の改善

       1. 輸送距離の改善 物流機能の中で最も重要な輸送について考えることは大切です。この機能を改...

       1. 輸送距離の改善 物流機能の中で最も重要な輸送について考えることは大切です。この機能を改...


メーカー物流の改善ポイント (その3)

 前回のその2に続いて解説します。   1. 現状を変える時、一か所だけ先に  サプライヤー支援時には、数値で示して相手を説得できることが成功の...

 前回のその2に続いて解説します。   1. 現状を変える時、一か所だけ先に  サプライヤー支援時には、数値で示して相手を説得できることが成功の...


人財育成と教育計画 物流職場での後輩育成(その2)

  ◆ 計画的な人財育成  物流業務を指導する際はその後輩に何をやらせたいのか、業務水準はどのレベルにあるのか、またその水準からどのよう...

  ◆ 計画的な人財育成  物流業務を指導する際はその後輩に何をやらせたいのか、業務水準はどのレベルにあるのか、またその水準からどのよう...