着荷主側で物流会社が困る事例 着荷主の責任を認識する(その1)

投稿日

SCM

 

◆ トラック待ち時間という問題

 物流用語では物流会社の顧客を荷主と呼びます。荷主も二つあり発送側を「発荷主」、受け取り側を「着荷主」と呼びます。一般的に物流会社と契約するのは発荷主です。つまり発荷主は「この荷物を運んでください」と物流会社に依頼するとともに代金の支払いを行うのです。

 着荷主は、発荷主が物流会社とどのような契約を結んでいるのかについては知りません。関心もないことでしょう。なぜなら、着荷主は物流コストを負担していないからです。これが影響しているかどうかはともかく、着荷主側で物流会社が困る事例に遭遇することがあります。

 その筆頭に挙げられるのがトラックの「待ち時間」です。つまり荷、下ろしまで着荷主の構内で待たされるという問題です。 ある実態調査報告によると「1時間以上の待ち時間がある」ケースは、集荷時(発荷主)7.4%、配達時(着荷主)24.5%だそうです。

 これは荷主へ配送に行った際、4回に1回は1時間以上待たされるという計算になります。1時間以上といったラフなデータですが、4時間や5時間といったケースがあることも事実です。

 この待ち時間に対する対価が支払われているかどうかが一つの問題点になります。いろいろと聞いてみても、ほとんどが支払対象にはなっていないようです。これは物流会社にも責任があり、荷主会社と契約をする際「待ち時間における対価」を契約書に織り込んでいないという実態があります。ひどいケースだと契約書自体を作成していない事もあるようです。これは論外とは思いますが、契約書にあまり関心を寄せていない物流業界の弱みといえるかもしれません。

 

 もう一つの問題が「トラックドライバーの労働時間の延長」です。昨今、運輸業界の残業時間が増えてきて...

SCM

 

◆ トラック待ち時間という問題

 物流用語では物流会社の顧客を荷主と呼びます。荷主も二つあり発送側を「発荷主」、受け取り側を「着荷主」と呼びます。一般的に物流会社と契約するのは発荷主です。つまり発荷主は「この荷物を運んでください」と物流会社に依頼するとともに代金の支払いを行うのです。

 着荷主は、発荷主が物流会社とどのような契約を結んでいるのかについては知りません。関心もないことでしょう。なぜなら、着荷主は物流コストを負担していないからです。これが影響しているかどうかはともかく、着荷主側で物流会社が困る事例に遭遇することがあります。

 その筆頭に挙げられるのがトラックの「待ち時間」です。つまり荷、下ろしまで着荷主の構内で待たされるという問題です。 ある実態調査報告によると「1時間以上の待ち時間がある」ケースは、集荷時(発荷主)7.4%、配達時(着荷主)24.5%だそうです。

 これは荷主へ配送に行った際、4回に1回は1時間以上待たされるという計算になります。1時間以上といったラフなデータですが、4時間や5時間といったケースがあることも事実です。

 この待ち時間に対する対価が支払われているかどうかが一つの問題点になります。いろいろと聞いてみても、ほとんどが支払対象にはなっていないようです。これは物流会社にも責任があり、荷主会社と契約をする際「待ち時間における対価」を契約書に織り込んでいないという実態があります。ひどいケースだと契約書自体を作成していない事もあるようです。これは論外とは思いますが、契約書にあまり関心を寄せていない物流業界の弱みといえるかもしれません。

 

 もう一つの問題が「トラックドライバーの労働時間の延長」です。昨今、運輸業界の残業時間が増えてきているようですが、その一因になっていることは間違いありません。

 国土交通省は「トラック運送事業における下請・荷主適正取引ガイドライン」を改正し、この長時間労働の原因の一つである手待ち時間の改善に向け、着荷主の役割についても明記しています。
 ということで、この着荷主の構内における「待ち時間」短縮に向けての対策について考えていきたいと思います。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンマネジメントの背景と効果実現に向けた考え方(その2)

 前回のその1に続いて解説します。 4.様々な業界におけるSCM  SCMではサプライチェーンのボトルネックを管理することで効果の最大化を狙います...

 前回のその1に続いて解説します。 4.様々な業界におけるSCM  SCMではサプライチェーンのボトルネックを管理することで効果の最大化を狙います...


サプライチェーンの構造的・長期的な課題、サプライチェーン戦略とは

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...


サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットや注目される背景を簡単に解説

インターネットの普及やグローバル化などによる事業環境の変化に伴い、サプライチェーンマネジメント(SCM)が改めて注目を集めています。ものづくりに関わる...

インターネットの普及やグローバル化などによる事業環境の変化に伴い、サプライチェーンマネジメント(SCM)が改めて注目を集めています。ものづくりに関わる...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
無理の視点でも見てみる 物流品質管理(その3)

  ◆ 無理のない物流作業をデザインせよ  物流監督者が本来業務を行わないために物流品質不良を発生させてしまうことは何としても避けなけれ...

  ◆ 無理のない物流作業をデザインせよ  物流監督者が本来業務を行わないために物流品質不良を発生させてしまうことは何としても避けなけれ...


物流作業標準化は必須 物流品質不良を撲滅するには(その2)

        物流作業は自由度が高いため、いろいろな手順で行うことができてしまいます。生産活動では多くの作業が一定の手順に従わないとできませんが、...

        物流作業は自由度が高いため、いろいろな手順で行うことができてしまいます。生産活動では多くの作業が一定の手順に従わないとできませんが、...


輸送は買い手市場か 今後の物流に向けて荷主が取り組むべきこと(その1)

◆ トラック待機時間の解消を  消費増税の際に駆け込み需要はあったものの、それを顧客にタイムリーに運べていなかったという事実がありました。物流は経済...

◆ トラック待機時間の解消を  消費増税の際に駆け込み需要はあったものの、それを顧客にタイムリーに運べていなかったという事実がありました。物流は経済...