領域外の業務とは 物流倉庫業務について考える(その2)

更新日

投稿日

サプライチェーン

◆ 流通加工に積極的に取り組む

 通信販売で返品された商品を再製品化する業務があります。もちろんそれが可能な場合に限られますが、この業務を物流倉庫業者で行うことは大きな付加価値業務になると思われます。

 一部手を加えることで再販が可能である商品はそれを倉庫内で行い、在庫に戻すイメージです。倉庫の中に再製品化ラインを設け、そこに作業員を配置して実施します。この業務を請け負っている業者は収益性も悪くないようです。荷主から見ればぜひやって欲しいと思われる業務なので、積極的に取りに行くと良いでしょう。

 これに類似した業務として、パソコンや家電の修理を倉庫内で実施することが挙げられます。これにつきましても「倉庫業務とは保管業務である」という狭い発想から脱却した事例といえそうです。

 ご存知の通り物流には「輸送」、「保管」、「包装」、「荷役」、「流通加工」の5機能があります。

 最近ではこれらの機能に加えて「情報」機能が追加され、5機能プラスワンと呼ばれています。実はこれらの中でも「流通加工」が物流収益を向上させるキーであると考えられます。なぜならこの「流通加工」に積極的に取り組んでいる会社は多くないからです。流通加工の簡単な例として「値札付け」や「袋詰め」、「シール貼り」などが挙げられます。

 もちろん、こういった事例も良いのですが、もう一歩踏み込んだ形での加工を行っていくことが望ましいと思います。

 例えば材料の切断業務や製品の組み立て業務、検査業務などです。ここまでのレベルに来るとものづくりの一部であると考えられます。単なる保管や運搬ではなく、製品そのものに付加価値を付けますので、収益的にも有利であると考えられるのです。さらに同業他社があまり手を付け...

サプライチェーン

◆ 流通加工に積極的に取り組む

 通信販売で返品された商品を再製品化する業務があります。もちろんそれが可能な場合に限られますが、この業務を物流倉庫業者で行うことは大きな付加価値業務になると思われます。

 一部手を加えることで再販が可能である商品はそれを倉庫内で行い、在庫に戻すイメージです。倉庫の中に再製品化ラインを設け、そこに作業員を配置して実施します。この業務を請け負っている業者は収益性も悪くないようです。荷主から見ればぜひやって欲しいと思われる業務なので、積極的に取りに行くと良いでしょう。

 これに類似した業務として、パソコンや家電の修理を倉庫内で実施することが挙げられます。これにつきましても「倉庫業務とは保管業務である」という狭い発想から脱却した事例といえそうです。

 ご存知の通り物流には「輸送」、「保管」、「包装」、「荷役」、「流通加工」の5機能があります。

 最近ではこれらの機能に加えて「情報」機能が追加され、5機能プラスワンと呼ばれています。実はこれらの中でも「流通加工」が物流収益を向上させるキーであると考えられます。なぜならこの「流通加工」に積極的に取り組んでいる会社は多くないからです。流通加工の簡単な例として「値札付け」や「袋詰め」、「シール貼り」などが挙げられます。

 もちろん、こういった事例も良いのですが、もう一歩踏み込んだ形での加工を行っていくことが望ましいと思います。

 例えば材料の切断業務や製品の組み立て業務、検査業務などです。ここまでのレベルに来るとものづくりの一部であると考えられます。単なる保管や運搬ではなく、製品そのものに付加価値を付けますので、収益的にも有利であると考えられるのです。さらに同業他社があまり手を付けていない分野のため、先駆者利益を享受できるかもしれません。

 繰り返しになりますが「自分たちは物流業だからその領域外の業務は行わない」という狭い考え方では今後の倉庫業としての発展は望めません。少し背伸びをするくらいが丁度いいのです。保管業務だけだと立地や倉庫規模などで優位性はほとんど決まってしまいます。それを打破するためのちょっとした工夫が必要なのです。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
フールプルーフを導入しよう 物流品質の向上 (その6)

1.フール・プルーフとは何か  工場で物流品質を最高水準に保つためには「人が間違いを犯しにくいしくみ」や、「品質向上に対する意識づけ」、「物流現場に...

1.フール・プルーフとは何か  工場で物流品質を最高水準に保つためには「人が間違いを犯しにくいしくみ」や、「品質向上に対する意識づけ」、「物流現場に...


最先端のSCMテーマ、S&OP SCM最前線 (その5)

1. S&OPとは    今日の最先端SCMテーマといえば、一番に上げられるのは、S&OP(Sales & Oper...

1. S&OPとは    今日の最先端SCMテーマといえば、一番に上げられるのは、S&OP(Sales & Oper...


サプライチェーン視点による産業構造の変革

 インターネットなどの情報技術の普及により、具体的な産業構造の変革として、脱工業化社会や情報化社会などの言い古された言葉が頻出するようになってき...

 インターネットなどの情報技術の普及により、具体的な産業構造の変革として、脱工業化社会や情報化社会などの言い古された言葉が頻出するようになってき...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライチェーンの入り口業務:購買業務の要点(その1)

  ◆サプライチェーンの入り口業務 私たちは物流業務に携わっていますが最近では単なる「点の物流」だけでは不足です。これまでの輸送、保管、...

  ◆サプライチェーンの入り口業務 私たちは物流業務に携わっていますが最近では単なる「点の物流」だけでは不足です。これまでの輸送、保管、...


トラック合わせ生産 SCMの本質(その2)

1.同期生産    前回のその1に続いて解説します。サプライチェーンの全体リードタイムを短縮するために必要となるのが同期生産です。すべての工...

1.同期生産    前回のその1に続いて解説します。サプライチェーンの全体リードタイムを短縮するために必要となるのが同期生産です。すべての工...


管理会計としての物流 物流関心度を高める(その2)

 前回のその1に続いて解説します。    物流事業者でない場合、物流コストは財務諸表には出てこないため、別の費目から抽出する必要があります。たとえば営...

 前回のその1に続いて解説します。    物流事業者でない場合、物流コストは財務諸表には出てこないため、別の費目から抽出する必要があります。たとえば営...