顧客のコストダウンのための選択肢 顧客のニーズをつかむには(その3)

投稿日

 

サプライチェーンマネジメント

◆ 物流形態の変更

 意識の高い顧客は価格だけの改定で物流コストダウンを行うことの限界を知っています。もちろん、価格についてもその仕事の条件を変えることで改定は可能ですが、その仕事の条件変更も物流のやり方を変えることにつながるのです。

 荷主の立場からするとまず価格改定を行い、それから物流形態の変更に移っていくケースが多いように思います。

 もちろんこの順番に特にこだわるわけではありませんが、少なくとも今と同じ物流のやり方ではいずれ価格の限界を迎えますので、この物流形態の変更には注目しておくべきではないでしょうか。

 物流の形態の変更にはいくつかの方法が考えられます。一つは輸送モードの変更です。トラックから鉄道や船舶に変更する方法です。一定の荷量がまとまれば鉄道でもコストメリットの可能性が出てきます。

 このモード変更はモーダルシフトとも呼ばれ、環境改善にもつながります。ただしリードタイムが伸びる可能性がありますので、物流サービス水準低下のリスクがあることに注意が必要です。

 また二つ目に同一ルートや類似ルートに複数のトラックを配車しているという、物流管理上のロスを改善する方法があります。会社が大きくなればなるほどこのリスクが高まることが考えられます。配車業務を一元化することで積載率を向上し、トラック台数の削減という効果につながりそうです。

 ボリュームの多いルートではトラックの大型化も考えましょう。この大型化で混載荷を増やすこと、そして荷姿を改善し、できるだけコンパクト化すること、こういった工夫も物流形態変更に該当します。

 調達物流の自社化も挙げられます。今までサプライヤー側でトラックを仕立てて納入するものを、受け側で引き取る形態に変更するアイテムです。ややレベルが高い改善アイテムになりますが、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。...

 

サプライチェーンマネジメント

◆ 物流形態の変更

 意識の高い顧客は価格だけの改定で物流コストダウンを行うことの限界を知っています。もちろん、価格についてもその仕事の条件を変えることで改定は可能ですが、その仕事の条件変更も物流のやり方を変えることにつながるのです。

 荷主の立場からするとまず価格改定を行い、それから物流形態の変更に移っていくケースが多いように思います。

 もちろんこの順番に特にこだわるわけではありませんが、少なくとも今と同じ物流のやり方ではいずれ価格の限界を迎えますので、この物流形態の変更には注目しておくべきではないでしょうか。

 物流の形態の変更にはいくつかの方法が考えられます。一つは輸送モードの変更です。トラックから鉄道や船舶に変更する方法です。一定の荷量がまとまれば鉄道でもコストメリットの可能性が出てきます。

 このモード変更はモーダルシフトとも呼ばれ、環境改善にもつながります。ただしリードタイムが伸びる可能性がありますので、物流サービス水準低下のリスクがあることに注意が必要です。

 また二つ目に同一ルートや類似ルートに複数のトラックを配車しているという、物流管理上のロスを改善する方法があります。会社が大きくなればなるほどこのリスクが高まることが考えられます。配車業務を一元化することで積載率を向上し、トラック台数の削減という効果につながりそうです。

 ボリュームの多いルートではトラックの大型化も考えましょう。この大型化で混載荷を増やすこと、そして荷姿を改善し、できるだけコンパクト化すること、こういった工夫も物流形態変更に該当します。

 調達物流の自社化も挙げられます。今までサプライヤー側でトラックを仕立てて納入するものを、受け側で引き取る形態に変更するアイテムです。ややレベルが高い改善アイテムになりますが、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

 こういった物流形態の変更について物流会社は顧客のコストダウンのための選択肢として提示すべきでしょう。今の価格を下げるためにはここを少しこう変えれば可能だ、といった小さなアイテムを提示し、成功体験をしてもらうことも良いのではないでしょうか。

 もちろん、顧客にも汗をかいてもらわなければならないアイテムもあるでしょう。理解を得るためには他での事例を示し、納得してもらえるように努めましょう。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その2)

第2回 道具1「現地物流診断シート」   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.工場立地と物流    工場が海...

第2回 道具1「現地物流診断シート」   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.工場立地と物流    工場が海...


SCM:サプライチェーンマネジメントの最前線 【連載記事紹介】 

  ◆ SCM:サプライチェーンマネジメントとは サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かり...

  ◆ SCM:サプライチェーンマネジメントとは サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かり...


ビジネスの収益力を決めるサプライチェーンのスピード

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
循環型社会形成の推進 環境に対する感度を高める(その3)

◆ 物流総合効率化法  3Rという言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。この3Rの意味は「リデュース:ゴミを出さない」、「リユース:再利用す...

◆ 物流総合効率化法  3Rという言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。この3Rの意味は「リデュース:ゴミを出さない」、「リユース:再利用す...


物流の生産性とは 管理業務に精力的に取り組む(その2)

        数ある管理業務の中でも「生産性管理」は収益にも直結する仕事のため特に重要であると思われます。では「生産性管理」といっても何を実施して...

        数ある管理業務の中でも「生産性管理」は収益にも直結する仕事のため特に重要であると思われます。では「生産性管理」といっても何を実施して...


機密保持契約とは:物流契約の考え方(その1)

  ◆ 文書、データ、口頭情報にも秘密は含まれる  物流に限らず、すべての事業を行う際に重要になってくるのが「契約」です。当たり前のこと...

  ◆ 文書、データ、口頭情報にも秘密は含まれる  物流に限らず、すべての事業を行う際に重要になってくるのが「契約」です。当たり前のこと...