必要は発明の母-万年筆とボールペンのアイデア発想事例

更新日

投稿日

1.万年筆のアイデア発想

 万年筆のアイデア発想 万年筆の逸品として名高いウォーターマン。これを開発したのがアメリカ人の発明家にして製造業者のルイス・エドソン・ウォーターマンです。

 彼がセールスマンで、契約書に顧客のサインをもらう際、よく万年筆のインクが流れ出して、契約書を汚したりしました。そこで彼は、インクもれのない万年筆の開発を決心し、改良を重ねて生まれたのが、ウォーターマンの万年筆なのです。  
  

2.ボールペンのアイデア発想

 現在、ボールペンほどポピュラーな筆記具はないでしょう。ボールペンを発明したのは、ハンガリーのラディスラオ・ピロです。ピロはブダペストにある出版社の校正係で、仕事をする時、万年筆に何度もインクを補充するのが面倒でしかたがありませんでした。その不満から、なんとか途中でインクを補充しなくてすむ筆記具はできないだろうかと、いつも考えていました。

 彼は、弟と一緒に自宅で何度も実験・試作を繰り返しましたが、資金不足で中断を余儀なくされてしまいます。そして第2次世界大戦。1943年、ビロは戦火から逃れ、アルゼンチンに渡り、そこでヘンリー・マーチンというイギリス人にめぐり会いました。マーチンこそ、ビロの研究に興味を持ち、資金援助をするなどビロの賛同者となった人物です。マーチンの援助のおかげでビロは研究を完成、とうとうボールペンが誕生したのです。

 ビロとマーチンはイギリスに工場をつくり、ボールペンの製造を始めましたが、当初、...

1.万年筆のアイデア発想

 万年筆のアイデア発想 万年筆の逸品として名高いウォーターマン。これを開発したのがアメリカ人の発明家にして製造業者のルイス・エドソン・ウォーターマンです。

 彼がセールスマンで、契約書に顧客のサインをもらう際、よく万年筆のインクが流れ出して、契約書を汚したりしました。そこで彼は、インクもれのない万年筆の開発を決心し、改良を重ねて生まれたのが、ウォーターマンの万年筆なのです。  
  

2.ボールペンのアイデア発想

 現在、ボールペンほどポピュラーな筆記具はないでしょう。ボールペンを発明したのは、ハンガリーのラディスラオ・ピロです。ピロはブダペストにある出版社の校正係で、仕事をする時、万年筆に何度もインクを補充するのが面倒でしかたがありませんでした。その不満から、なんとか途中でインクを補充しなくてすむ筆記具はできないだろうかと、いつも考えていました。

 彼は、弟と一緒に自宅で何度も実験・試作を繰り返しましたが、資金不足で中断を余儀なくされてしまいます。そして第2次世界大戦。1943年、ビロは戦火から逃れ、アルゼンチンに渡り、そこでヘンリー・マーチンというイギリス人にめぐり会いました。マーチンこそ、ビロの研究に興味を持ち、資金援助をするなどビロの賛同者となった人物です。マーチンの援助のおかげでビロは研究を完成、とうとうボールペンが誕生したのです。

 ビロとマーチンはイギリスに工場をつくり、ボールペンの製造を始めましたが、当初、このボールペンは、空中でもインクのもれない筆記具として、空軍で用いられたそうです。後にビロとマーチンがつくったイギリス工場は、フランスのビック社に接収され、安価な使い捨てのボールペンを大量生産する舞台となったのです。

出典:「ひらめきの法則」 髙橋誠著(日経ビジネス人文庫)

◆関連解説『アイデア発想法とは』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

髙橋 誠

企業のイノベーション戦略の構築と実践をお手伝いし、社員の創造性開発を促進し、新商品の開発を支援します!

企業のイノベーション戦略の構築と実践をお手伝いし、社員の創造性開発を促進し、新商品の開発を支援します!


「アイデア発想法一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
情報収集の3原則とは

  1.情報収集の3原則は「規・即・集」  創造とは「課題を情報の結合により新しい解決をはかる事」と定義できます。我々は解決のために各種...

  1.情報収集の3原則は「規・即・集」  創造とは「課題を情報の結合により新しい解決をはかる事」と定義できます。我々は解決のために各種...


大量の発想データを整理するには「ブロック法」を活用しよう!

1.ブロック法とはなにか?  ブロック法は、発想データを項目別にまとめあげデータの粗整理を行なう手法で、大量のデータを大まかに整理するのに便利です。 ...

1.ブロック法とはなにか?  ブロック法は、発想データを項目別にまとめあげデータの粗整理を行なう手法で、大量のデータを大まかに整理するのに便利です。 ...


何を作ったら良いか分らない状態での新商品開発法とは(その3)

 前回のその2に続いて解説します。   3.新商品開発を進めるための方法(S2D)   (2)10年後の未来素案の作成 &n...

 前回のその2に続いて解説します。   3.新商品開発を進めるための方法(S2D)   (2)10年後の未来素案の作成 &n...


「アイデア発想法一般」の活用事例

もっと見る
ヒット商品をひらめく時-シャープペンシルと芳香剤

1.繰り出し鉛筆の金具の細工を依頼されて、シャープペンシルを考案  大正4年当時、錺【かざり】職人だった早川徳次(早川電機=現シャープ創業者)は、万年筆...

1.繰り出し鉛筆の金具の細工を依頼されて、シャープペンシルを考案  大正4年当時、錺【かざり】職人だった早川徳次(早川電機=現シャープ創業者)は、万年筆...


-列車のブレーキ‐ 偶然を生かしたセレンディピティのひらめき (その2)

 列車事故に偶然遭遇し、圧縮空気の機械を利用してブレーキに応用した、アメリカの発明家 ジョージ・ウェスティングハウス                  ...

 列車事故に偶然遭遇し、圧縮空気の機械を利用してブレーキに応用した、アメリカの発明家 ジョージ・ウェスティングハウス                  ...


家族のひと言や行動が刺激になってひらめいた事例1.-編み機 、味の素 -

  1.せわしなく手を動かして編み物をする妻をながめているうちに、機械編み機を思いついた、イギリスの聖職者 ウィリアム・リー    ウ...

  1.せわしなく手を動かして編み物をする妻をながめているうちに、機械編み機を思いついた、イギリスの聖職者 ウィリアム・リー    ウ...