統計的実験計画法と品質工学の違い

 企業で新しいシステムを考えるときには,収率や効率の高い製品を開発することを計画していますが,その時のシステム設計では性能中心でばらつきのことはあまり考えませんから,性能は目的特性のレスポンスの研究で平均値を高める実験を行います。その時統計的実験計画法の直交実験では,主効果と因子間の交互作用を求めて,収率や効率の目的特性の最適化を行います。また,ばらつきは偶然誤差しか考えていません。したがって,科学的な「レスポンスの研究」であれば十分なのです。技術的にも高い性能だけが欲しいのであればこれで十分です。ただしこの場合は,正規分布で等分散であることが条件になっています。

 品質工学では,市場では正規分布は存在しないし,市場におけるばらつきは等分散性でもないと考えています。市場におけるばらつきは「偶然誤差」ではなく,「必然誤差(使用環境条件や劣化)」で発生するのです。したがって,市場における品質の安定性はSN比で評価しますし,市場における再現性は直交表でチェックを行います。直交表の目的は実験の短縮化ではなく,設計の良否のチェックに使っているのです。機能の「安定性」と市場における「再現性」は同じものではありません。

 したがって,システム設計は一因子実験や実験計画法や山登り法など何でも構わないのですが,システムの評価だけは,目的特性ではなく,システムとノイズの交互作用による「機能性評価のSN比」で行うことが大切だと考えています。品質工学のパラメータ設計は機能の安定化の後で,性能を目標値に合わせ込む2段階設計で,システムの「最適化」を図ります。


この記事の著者

原 和彦

品質工学を通して製品開発、設計の真髄を伝えます

原発事故やリコール問題など、設計に起因する問題が後を絶ちません。 市場クレームの90%以上は設計責任ですが、旧来の場当たり的なプロセスを品質工学で置き換える事で、ほとんどの設計問題が解消される事を、多くの関係者に知っていただきたい。 …

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