新規事業×しんどいを乗り越える鉄則:マネージメント層、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その102)

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新規事業×しんどいを乗り越える鉄則:マネージメント層、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その102)

【この連載の前回、新規事業×しんどいを乗り越える鉄則:開発担当者、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その101)へのリンク】

【目次】

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    マネージメント層の方とお話をすると必ずと言っていいほどあがる悩みがあります。新規事業の企画、開発にたずさわるメンバーが「しんどい」「向いていない、担当を変えて欲しい」「今まで通り、研究開発に戻りたい」とネガティブな状態になってしまうケースです。前回の記事では、新規事業の開発が進まず苦しむ理由と、開発メンバー自らが解決するための策を解説しました。今回は、マネージメント層が解決するための策を解説します。

     

    次世代リーダーを育成するために、見込みがある中堅・若手メンバーを新規事業の企画・開発にアサインしたものの、やめたい・しんどいと感じる理由にはどんなものがあるでしょうか。ご支援する中で多いと感じる理由はに以下があります。

    • ①既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない
    • ②事業企画にダメ出しをされたが、何を改善すればいいのか分からない

     

    1. 既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない

    マネージメント層が「新規事業×しんどい」を解決する策 前者の「既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない」に注目します。

     

    新規事業のアイディアには、事業の新たな柱になること≒既存事業相当の規模を求めることが多くあります。この既存事業と同規模の事業アイディアを出さなければならないことが、メンバーにとっては出来そうもない、プレッシャーを感じさせるケースがあります。特にニーズが多様化し、変化が激しい現代において、数十年間、安定して一定規模以上の売り上げを確保する商品を企画することは至難の業です。だからといって、事業ア...

    新規事業×しんどいを乗り越える鉄則:マネージメント層、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その102)

    【この連載の前回、新規事業×しんどいを乗り越える鉄則:開発担当者、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その101)へのリンク】

    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

       

      マネージメント層の方とお話をすると必ずと言っていいほどあがる悩みがあります。新規事業の企画、開発にたずさわるメンバーが「しんどい」「向いていない、担当を変えて欲しい」「今まで通り、研究開発に戻りたい」とネガティブな状態になってしまうケースです。前回の記事では、新規事業の開発が進まず苦しむ理由と、開発メンバー自らが解決するための策を解説しました。今回は、マネージメント層が解決するための策を解説します。

       

      次世代リーダーを育成するために、見込みがある中堅・若手メンバーを新規事業の企画・開発にアサインしたものの、やめたい・しんどいと感じる理由にはどんなものがあるでしょうか。ご支援する中で多いと感じる理由はに以下があります。

      • ①既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない
      • ②事業企画にダメ出しをされたが、何を改善すればいいのか分からない

       

      1. 既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない

      マネージメント層が「新規事業×しんどい」を解決する策 前者の「既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない」に注目します。

       

      新規事業のアイディアには、事業の新たな柱になること≒既存事業相当の規模を求めることが多くあります。この既存事業と同規模の事業アイディアを出さなければならないことが、メンバーにとっては出来そうもない、プレッシャーを感じさせるケースがあります。特にニーズが多様化し、変化が激しい現代において、数十年間、安定して一定規模以上の売り上げを確保する商品を企画することは至難の業です。だからといって、事業アイディアとして目標の事業規模を半分にしましょうというつもりはありません。

       

      既存事業と同規模となるためには、新規事業が世にリリースされ、一定期間を経て産業化が進み、プロダクトポートフォリオマネジメントにおける「金の木」になるころに実現するべき最終ゴールであることを明示した上で計画・活動します。つまり、事業開始~初期の一定期間(製造業の場合、3~5年程度が多い)はターゲットを限定し、一歩 一歩着実に売り上げを獲得する時期であり、多くのケースで既存事業と同規模とならないことを許容することになります。事業開始~普及までの売り上げ推移イメージについては当然、マネージメント層は理解されていますが、開発メンバーには伝わっていない・イメージできていないことが「出来そうもない」の根本にあるようです。

       

      事業アイディアを企画としてまとめるにあたっては、事業開始から事業が安定するまでを通して行いますが、アイディア出し~初期開発の段階で既存事業の事業規模を保証することはできません。アイディア出しにおいては全体の市場規模の算定にとどめ、自社が占有率を獲得する方法論の言及は控えた方がベターでしょう。事業アイディア稟議の後に仮説検証を通して、事業化開始から一定期間を経てターゲットを拡大する、ラインナップを拡充させるといった事業戦略を構想し、事業性の見込みがあるかを検証します。この一連の流れをマネージメント層とメンバーの間で意識合わせすることが、「既存事業規模相当の事業アイディアが見つからず、なかなか前に進まない」の緩和につながると考えています。

       

      2. 事業企画にダメ出しをされたが、何を改善すればいいのか分からない

      この項では、次世代リーダーを育成するために、見込みがある中堅・若手メンバーを新規事業の企画・開発にアサインしたものの、やめたい・しんどいと感じる理由の中で「事業企画にダメ出しをされたが、何を改善すればいいのか分からない」に注目します。

       

      マネジメント層の方にこの理由をお伝えすると、ほぼ100%で驚かれます。事業企画の提案会で、No-Goと判断された理由や今後の活動プランをフィードバックしたので、そんなはずはないというものです。

       

      こんな事例があります。

      新規事業としたある環境ソリューションを事業部長に企画提案したケースで、市場ニーズが不明確なため、ビジネスモデルの見直し、ターゲットの再検討といった活動プランをフィードバックされました。一見、No-Go理由と今後の活動プランいずれも明確であり、活動は進められそうです。しかし、実際には改善が進まず半年ほどが過ぎてしまった後、当社に相談にこられました。

       

      お話を聞いてみると、こんな課題が見えてきました。

       

      ・市場ニーズが不明確だと判断した理由は何か

      ニッチすぎて目標の市場規模が期待できないのか、継続的なビジネスとなりえるような強いニーズではないと判断したのか…といった判断に至った具体的な理由が担当者に伝わっていないため、次のアクションプランや方針に迷いが生じている。

       

      ・「見直し」に期待する成果は何か

      アクションアイテムとして、見直しや再検討というワードがあがります。何を見直しするべきかは、もちろん重要ですが、これは教育的な意味合いであえて具体的な作業ベースとして指示しない方針を取ることもあります。しかし、なぜ見直しするべきかと見直しによる成果(アウトプットの質)は伝える必要があります。これらを担当者に伝えていない、もしくは理解されていないことで、具体的なタスクに落とし込みができず、活動が停滞してしまうことがあります。

       

      見直し理由はNo-Go判断に通じることが多いので割愛しますが、期待する成果については、例えばこのようなオーダーをします。

       例①:ターゲットの見直しに期待する成果

       目標とする事業規模を実現しうるターゲット業界と、ターゲットが抱える課題について優先順位が可視化できていること

       

       例②:ビジネスモデルの見直しに期待する成果

       新規チャネルは極力使わず、既存チャネルを活用したビジネスモデルが図示できていること

       

      以上のように、「事業企画にダメ出しをされたが、何を改善すればいいのか分からない」を解決するべく、マネジメント層はNo-Go判断理由とともに次の

       

      次回に続きます。

       

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      この記事の著者

      川崎 響子

      革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

      革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


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