デジタル変革の進め方(その1)必要なのはスモールスタート、ステップ・バイ・ステップ

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デジタル変革の進め方(その1)必要なのはスモールスタート、ステップ・バイ・ステップ

 

ここでは、製造業の変革をもたらすDX化の進展に伴って、何から始めれば良いのか?どんなスキルを身に付ければ良いのかなど、中小企業でもすぐに取り組みが可能と思われる内容をデジタル変革の進め方(その1)として、解説します。

【目次】

    ◆[エキスパート会員インタビュー記事]品質づくりは上流から、そして人づくりから(濱田 金男氏

     

    1. DX化のステップとは

    (1)一般的なDXの手順

    DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ビジネスや組織のデジタル変革に関連する概念です。企業がDXを進めるための手順は次のようになります。

    • ①戦略の策定: どのようなDXを目指すかを明確にすることが最初にすべき ことです。この戦略は、ビジネスゴールや顧客ニーズなどに基づいて策定されます。
    • ②デジタルマインドセットの推進: 組織全体のデジタルマインドセットを向上させることが大切です。これには、トップマネジメントからのサポートや社員のデジタルスキルアップなどが含まれます。
    • ③デジタルインフラの整備: DXに必要な技術的なインフラストラクチャを整備することが欠かせません。これには、クラウドコンピューティングデータ解析、モバイルアプリケーションなどが含まれます。
    • ④データ活用の推進: 大量のデータを有効活用することがDXに不可欠です。これには、データマイニング、マシンラーニング、ビッグデータ分析などの技術が必要です。
    • ⑤顧客体験の改善: 顧客満足・顧客価値を向上させることがDXの最終的な目的です。これには、デジタルマーケティング、マルチチャネルサポート人工知能などを活用することが大切です。

    これらの手順に従ってDXを進めていくことで、ビジネスの効率性や顧客満足度の向上などのメリットが期待されます。 

     

    (2) 中小企業のDXはステップ・バイ・ステップで

    中小企業もDXを取り組むことが大切ですが、リソースや技術的な制限などから、上記のような大規模なDXの戦略を実施することは非常に困難です。そのため、以下のようなステップ・バイ・ステップでDXを進めることが有効です。

    • ①小規模なデジタルプロジェクトの開始: 部分的なデジタル化改革から始めます。これには、事務処理効率化のためのIT導入、IOTによる設備の稼働監視、品質向上のための自働化(検査ロボット、測定自働化)自社業務アプリケーションの開発などが含まれます。
    • ②顧客とのコミュニケーションの改善: オンラインを通じて顧客とのコミュニケーションを向上させます。これには、ソーシャルメディア、Eメールマーケティングなどを活用することで、自社技術のアピール新規顧客の獲得などを行います。
    • ③データ活用の強化: 小規模なデータ分析ツールを導入して、顧客データやビジネスデータを活用することが大切です。
    • ④社員のデジタルスキルアップ: 社員のデジタルスキルを向上させます。これには、トレーニングプログラムやEラーニングなどを活用することが有効です。
    • ⑤顧客体験の改善: 既存顧客に対し、自社技術によるサポート、納品後のサービスメニューなどにより顧客体験を向上させます。このことにより製品を納入して終わりではなく、その前後のサービス価値を向上させます。

    このように、小さなステップから始めて、徐々にDXを進めていくことで、リソースや技術的な制限によりハードルが高く感じられる中小企業でもDXに取り組むことができます。

     

    2. 企業変革の第一歩とは

    中小企業のDXを推進するには、トップのリーダーシップが必要なのはもちろんですが、同時に職場の社員が自分たちの仕事のやり方を見直しより付加価値の高い業務に取り組んでいくことが必要です。そのためには、社員一人一人がどのように仕事のやり方を変えていけば良いのか?を考えてみます。

     

    中小企業のDXを推進するには、リーダーシップとともに社員の積極的な参加が必要です。社員が自分たちの仕事のやり方を見直し、より付加価値の高い業務に取り組むことで、会社全体の生産性や効率性を向上させることができます。

     

    以下に、社員が仕事のやり方を変えていくための一般的なアプローチの仕方について解説します。DXに取り組むためには、社員たちがリスクを恐れずに変化に取り組むことが必要です。リーダーシップが社員たちをサポートし、共同でチャレンジしていくことで、中小企業の「変革」を成功に導くことができます。

     

    【社員が仕事のやり方を変えていくための一般的なアプローチ】

    (1)目的を理解する

    社員は自分たちがなぜ変化を求められているのかを理解することは重要です。DXが会社にもたらすメリットや目的を明確にすることで、社員たちは変化への意欲を高めることができます。

     

    企業のDXの目的は、顧客価値を飛躍的に高めることです。そのためには、顧客のニーズや要望に合わせたサービスを提供することが必要です。社員は顧客の視点に立ち、顧客にとってどのような価値を提供することができるかを常に考えることが大切です。

     

    (2)新しいツールや技術の習得(リスキリング)

    DXにおいて新しいツールや技術を習得することは不可欠です。社員たちは自分たちが使うツールや技術を理解し、最新の情報にアクセスするためにトレーニングやワークショップを受講することが必要です。

     

    社員たちは自己啓発の意識を持ち、常に学び続けることが重要です。DXは急速に進化しており、新しい技術やツールが次々と登場しています。社員たちは、自分たちの専門分野やスキルを向上させるために、継続的な学習やトレーニングを受けることが必要です。

     

    (3)プロセス改善

    DXにはプロセスの自動化や改善が含まれます。社員たちは、自分たちの業務プロセスを見直し、自動化や改善のためのアイデアを出すことが必要です。改善のアイデアは、チームワークやコミュニケーションを通じて共有されより良い業務プロセスやサービスを提供することができます。

     

    DXでは、データを基に意思決定をすることが重要です。社員は、データドリブンな思考を持ち、データを分析し、課題や改善点を見つけ出すことが必要です。データドリブンとは、ビジネスや意思決定においてデータを重視し、データに基づいて意思決定を行うことを指します。具体的には、以下のようなプロセスが含まれます。

    • ①データの収集:必要なデータを収集することが必要です。データの収集には、センサー、アンケート、ログ、SNSなど、様々な手段があります。
    • ②データの分析:収集したデータを分析し、傾向やパターンを発見します。分析には、統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いることが多いです。
    • ③洞察の発見:分析したデータから、課題や機会を見つけ出し、洞察を発見します。この段階では、データをもとに問題解決や改善の方針を立てます。
    • ④意思決定:洞察をもとに、意思決定を行います。データドリブンな意思決定では、データを重視し、データから得られる情報...

    デジタル変革の進め方(その1)必要なのはスモールスタート、ステップ・バイ・ステップ

     

    ここでは、製造業の変革をもたらすDX化の進展に伴って、何から始めれば良いのか?どんなスキルを身に付ければ良いのかなど、中小企業でもすぐに取り組みが可能と思われる内容をデジタル変革の進め方(その1)として、解説します。

    【目次】

      ◆[エキスパート会員インタビュー記事]品質づくりは上流から、そして人づくりから(濱田 金男氏

       

      1. DX化のステップとは

      (1)一般的なDXの手順

      DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ビジネスや組織のデジタル変革に関連する概念です。企業がDXを進めるための手順は次のようになります。

      • ①戦略の策定: どのようなDXを目指すかを明確にすることが最初にすべき ことです。この戦略は、ビジネスゴールや顧客ニーズなどに基づいて策定されます。
      • ②デジタルマインドセットの推進: 組織全体のデジタルマインドセットを向上させることが大切です。これには、トップマネジメントからのサポートや社員のデジタルスキルアップなどが含まれます。
      • ③デジタルインフラの整備: DXに必要な技術的なインフラストラクチャを整備することが欠かせません。これには、クラウドコンピューティングデータ解析、モバイルアプリケーションなどが含まれます。
      • ④データ活用の推進: 大量のデータを有効活用することがDXに不可欠です。これには、データマイニング、マシンラーニング、ビッグデータ分析などの技術が必要です。
      • ⑤顧客体験の改善: 顧客満足・顧客価値を向上させることがDXの最終的な目的です。これには、デジタルマーケティング、マルチチャネルサポート人工知能などを活用することが大切です。

      これらの手順に従ってDXを進めていくことで、ビジネスの効率性や顧客満足度の向上などのメリットが期待されます。 

       

      (2) 中小企業のDXはステップ・バイ・ステップで

      中小企業もDXを取り組むことが大切ですが、リソースや技術的な制限などから、上記のような大規模なDXの戦略を実施することは非常に困難です。そのため、以下のようなステップ・バイ・ステップでDXを進めることが有効です。

      • ①小規模なデジタルプロジェクトの開始: 部分的なデジタル化改革から始めます。これには、事務処理効率化のためのIT導入、IOTによる設備の稼働監視、品質向上のための自働化(検査ロボット、測定自働化)自社業務アプリケーションの開発などが含まれます。
      • ②顧客とのコミュニケーションの改善: オンラインを通じて顧客とのコミュニケーションを向上させます。これには、ソーシャルメディア、Eメールマーケティングなどを活用することで、自社技術のアピール新規顧客の獲得などを行います。
      • ③データ活用の強化: 小規模なデータ分析ツールを導入して、顧客データやビジネスデータを活用することが大切です。
      • ④社員のデジタルスキルアップ: 社員のデジタルスキルを向上させます。これには、トレーニングプログラムやEラーニングなどを活用することが有効です。
      • ⑤顧客体験の改善: 既存顧客に対し、自社技術によるサポート、納品後のサービスメニューなどにより顧客体験を向上させます。このことにより製品を納入して終わりではなく、その前後のサービス価値を向上させます。

      このように、小さなステップから始めて、徐々にDXを進めていくことで、リソースや技術的な制限によりハードルが高く感じられる中小企業でもDXに取り組むことができます。

       

      2. 企業変革の第一歩とは

      中小企業のDXを推進するには、トップのリーダーシップが必要なのはもちろんですが、同時に職場の社員が自分たちの仕事のやり方を見直しより付加価値の高い業務に取り組んでいくことが必要です。そのためには、社員一人一人がどのように仕事のやり方を変えていけば良いのか?を考えてみます。

       

      中小企業のDXを推進するには、リーダーシップとともに社員の積極的な参加が必要です。社員が自分たちの仕事のやり方を見直し、より付加価値の高い業務に取り組むことで、会社全体の生産性や効率性を向上させることができます。

       

      以下に、社員が仕事のやり方を変えていくための一般的なアプローチの仕方について解説します。DXに取り組むためには、社員たちがリスクを恐れずに変化に取り組むことが必要です。リーダーシップが社員たちをサポートし、共同でチャレンジしていくことで、中小企業の「変革」を成功に導くことができます。

       

      【社員が仕事のやり方を変えていくための一般的なアプローチ】

      (1)目的を理解する

      社員は自分たちがなぜ変化を求められているのかを理解することは重要です。DXが会社にもたらすメリットや目的を明確にすることで、社員たちは変化への意欲を高めることができます。

       

      企業のDXの目的は、顧客価値を飛躍的に高めることです。そのためには、顧客のニーズや要望に合わせたサービスを提供することが必要です。社員は顧客の視点に立ち、顧客にとってどのような価値を提供することができるかを常に考えることが大切です。

       

      (2)新しいツールや技術の習得(リスキリング)

      DXにおいて新しいツールや技術を習得することは不可欠です。社員たちは自分たちが使うツールや技術を理解し、最新の情報にアクセスするためにトレーニングやワークショップを受講することが必要です。

       

      社員たちは自己啓発の意識を持ち、常に学び続けることが重要です。DXは急速に進化しており、新しい技術やツールが次々と登場しています。社員たちは、自分たちの専門分野やスキルを向上させるために、継続的な学習やトレーニングを受けることが必要です。

       

      (3)プロセス改善

      DXにはプロセスの自動化や改善が含まれます。社員たちは、自分たちの業務プロセスを見直し、自動化や改善のためのアイデアを出すことが必要です。改善のアイデアは、チームワークやコミュニケーションを通じて共有されより良い業務プロセスやサービスを提供することができます。

       

      DXでは、データを基に意思決定をすることが重要です。社員は、データドリブンな思考を持ち、データを分析し、課題や改善点を見つけ出すことが必要です。データドリブンとは、ビジネスや意思決定においてデータを重視し、データに基づいて意思決定を行うことを指します。具体的には、以下のようなプロセスが含まれます。

      • ①データの収集:必要なデータを収集することが必要です。データの収集には、センサー、アンケート、ログ、SNSなど、様々な手段があります。
      • ②データの分析:収集したデータを分析し、傾向やパターンを発見します。分析には、統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いることが多いです。
      • ③洞察の発見:分析したデータから、課題や機会を見つけ出し、洞察を発見します。この段階では、データをもとに問題解決や改善の方針を立てます。
      • ④意思決定:洞察をもとに、意思決定を行います。データドリブンな意思決定では、データを重視し、データから得られる情報をもとに判断します。
      • ⑤効果測定:意思決定を行った後、その結果を測定し、効果を評価します。これにより、今後の意思決定の改善点や方向性を見出すことができます。

      データドリブンなアプローチにより、感覚的な判断や経験則に基づく意思決定では見過ごされがちな要因を発見できることがあり、ビジネスの効率性や顧客満足度の向上につながることが期待されます。

       

      (4)チームワーク

      DXは個人の努力だけでは達成できません。社員たちは、チームワークを強化し、お互いにサポートし合うことが必要です。DXを実現するためには異なる部署やチーム同士のコラボレーションが不可欠です。

       

      (5)コミュニケーション

      DXの変化は、社員たちにとっても大きなストレスや不安を引き起こすことがあります。リーダーシップは、社員たちとのコミュニケーションを通じて変化の理解や不安の解消に努めることが重要です。

       

      (6)リーダーシップ

      トップ層のリーダーシップは社員たちに柔軟性を求め、失敗を恐れずに挑戦することを促すことが必要です。DXの取り組みは失敗することもあるかもしれませんが、社員たちはその経験を次に生かすことができます。リーダーシップが社員たちを励まし、失敗を恐れずに取り組むことを支援することでDXを成功に導くことができます。

       

      次回に続きます。

       

      ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

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      この記事の著者

      濱田 金男

      製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

      製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


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