日本企業の多様性、効率性追求だけではマーケティングに取り組めない!

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1. 日本企業のグローバル化の遅れ

 重要な情報は世界中に散らばっており、インターネットで入手できる情報は従来に比べ飛躍的に増えましたが、当然のごとくそれは本来知るべき情報のほんの一部を構成しているに過ぎません。イノベーションの実現においても、単に外国語を理解できるレベルを超えて、外国語でコミュニケーションができ、更に現地の人たちの価値観や文化を知ることが極めて重要になります。随分以前から日本企業の間でグローバル化への対応という言葉が盛んに使われてきましたが、日本の企業のグローバル化のレベルは他のアジア諸国を含め、まだ相当遅れていると言わざるをえません。2012325日の日本経済新聞朝刊に掲載されたIESEビジネススクールのゲマワット教授へのインタビュー記事によると、日本は世界の125か国中122位だそうです。

 ちょっと話が大きくなりすぎてしまいましたが、要するに目先の効率性に捉われることなく冗長性を「積極的」にマーケティング活動に組み込み、様々な情報を収集するということが求められています。効率性追求だけでマーケティングに取り組んではなりません。

 

2. 異質な情報を組み合わせる

 しかし、情報を集めても、それが同質の情報ばかりではあまり意味がありません。そこで次に重要になるのが、入手した異質な情報を組み合わせ、化学変化を起こすことです。その為には、11人が発散思考ができるようにすること、そして組織を多様な人材から構成すること、そして議論を大事にする風土を作ることでしょう。

 残念ながら今の日本企業においては、この3点において欧米の企業はもとより他のアジアの国の企業にも劣っていると言われます。発散思考について言うと、「多くの日本企業は、・・・多様な刺激-拡散に思考するという点を特に苦手としている。」(「企業想像力」アラン・G・ロビンソン他著)と言われています。これまで日本の得意としてきた効率追求のマネジメント手法は、徹底的に収束思考で、そのような価値観で日本人従業員は育成されてきました。効率や品質を徹底して追求するのは日本企業の強みですから、捨て去る必要はありませんが、今後は発散と収束を使い分け発散力を強化する高度なマネジメントが求められます。

 2つ目の組織の多様化の面ですが、殆どの日本企業は、思考の似ている日本人中心の組織となっています。この点シリコンバレーの企業は、元々米国は移民の国で世界中の国からに移民してきた国ですし、特にシリコンバレーがある西海岸にはヒスパニック系、アジア系(香港、台湾、中国、インド等)、ユダヤ系の人達が多く、更に多様性を強化しようという経営姿勢が読み取れます。例えば、インテルの人材募集のウェブサイトには「多様性をイノベーションの力に」というメッセージが掲げられているほどです。

 

3. 多様性の拡大(1):外国人の活用

 この点に関しては、日本でも最近そのような企業が増えてきていますが、外国人社員を採用する効果は高いと思います。私がかつて勤務したベンチャー企業でアジア系外国人を使っていた経験から言うと、日本において、日本企業への就職を希望する外国人は能力ややる気の面でも、日本人の平均以上であり、コミュニケーション能力も高く、日本人社員に多様な発想をさせる上で、大変良い刺激があると思います。

 

4. 多様性の拡大(2):女性の活用

 女性の活用という観点では、女性に男性と同じような機会を与えるという義務的な意味とは別に、実質的に彼女たちが男性と異なる価値観や経験を持っていることから、多いに多様性を高めイノベーション創出に貢献すると思います。ここ数年で私の仕事においても、クライエント企業内等で、能力、積...

1. 日本企業のグローバル化の遅れ

 重要な情報は世界中に散らばっており、インターネットで入手できる情報は従来に比べ飛躍的に増えましたが、当然のごとくそれは本来知るべき情報のほんの一部を構成しているに過ぎません。イノベーションの実現においても、単に外国語を理解できるレベルを超えて、外国語でコミュニケーションができ、更に現地の人たちの価値観や文化を知ることが極めて重要になります。随分以前から日本企業の間でグローバル化への対応という言葉が盛んに使われてきましたが、日本の企業のグローバル化のレベルは他のアジア諸国を含め、まだ相当遅れていると言わざるをえません。2012325日の日本経済新聞朝刊に掲載されたIESEビジネススクールのゲマワット教授へのインタビュー記事によると、日本は世界の125か国中122位だそうです。

 ちょっと話が大きくなりすぎてしまいましたが、要するに目先の効率性に捉われることなく冗長性を「積極的」にマーケティング活動に組み込み、様々な情報を収集するということが求められています。効率性追求だけでマーケティングに取り組んではなりません。

 

2. 異質な情報を組み合わせる

 しかし、情報を集めても、それが同質の情報ばかりではあまり意味がありません。そこで次に重要になるのが、入手した異質な情報を組み合わせ、化学変化を起こすことです。その為には、11人が発散思考ができるようにすること、そして組織を多様な人材から構成すること、そして議論を大事にする風土を作ることでしょう。

 残念ながら今の日本企業においては、この3点において欧米の企業はもとより他のアジアの国の企業にも劣っていると言われます。発散思考について言うと、「多くの日本企業は、・・・多様な刺激-拡散に思考するという点を特に苦手としている。」(「企業想像力」アラン・G・ロビンソン他著)と言われています。これまで日本の得意としてきた効率追求のマネジメント手法は、徹底的に収束思考で、そのような価値観で日本人従業員は育成されてきました。効率や品質を徹底して追求するのは日本企業の強みですから、捨て去る必要はありませんが、今後は発散と収束を使い分け発散力を強化する高度なマネジメントが求められます。

 2つ目の組織の多様化の面ですが、殆どの日本企業は、思考の似ている日本人中心の組織となっています。この点シリコンバレーの企業は、元々米国は移民の国で世界中の国からに移民してきた国ですし、特にシリコンバレーがある西海岸にはヒスパニック系、アジア系(香港、台湾、中国、インド等)、ユダヤ系の人達が多く、更に多様性を強化しようという経営姿勢が読み取れます。例えば、インテルの人材募集のウェブサイトには「多様性をイノベーションの力に」というメッセージが掲げられているほどです。

 

3. 多様性の拡大(1):外国人の活用

 この点に関しては、日本でも最近そのような企業が増えてきていますが、外国人社員を採用する効果は高いと思います。私がかつて勤務したベンチャー企業でアジア系外国人を使っていた経験から言うと、日本において、日本企業への就職を希望する外国人は能力ややる気の面でも、日本人の平均以上であり、コミュニケーション能力も高く、日本人社員に多様な発想をさせる上で、大変良い刺激があると思います。

 

4. 多様性の拡大(2):女性の活用

 女性の活用という観点では、女性に男性と同じような機会を与えるという義務的な意味とは別に、実質的に彼女たちが男性と異なる価値観や経験を持っていることから、多いに多様性を高めイノベーション創出に貢献すると思います。ここ数年で私の仕事においても、クライエント企業内等で、能力、積極性両方において男性社員の平均値を超えた優秀な女性に接する機会が本当に増えてきました。ものおじせず会議で発言したり、セミナーで質問をする率は、相当女性の方が高いように思います。

 3つ目の、議論を重視する風土について言うと、言うまでもなく日本企業においては議論を重視する風土を持つ企業は稀でしょう。日本企業においてはあまりに秩序を重視するゆえ、議論は好まれません。また非公式の場でも意見を交換する場が随分減ったように思います。かつては、仕事を終わった後、社員同士で赤提灯で、公私にわたる様々な話をしたものですが、最近はそのような習慣はすっかり影を潜めてしまったようです。

 私も外資系コンサルティング会社に勤務していた時に、考えが詰まった時に、同僚のブースに行って立ち話の中から、新たなアイデアが浮かぶという例は多かったように思います。

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


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