ドイツの燃料電池鉄道車両とは 水素エネルギー社会(その8)

更新日

投稿日

 

◆水素エネルギー社会 連載目次

♦ ALSTOM社が開発製造、支援はドイツ政府

 燃料電池で駆動する世界初の鉄道車両:Coradia iLintが2018年9月からドイツで実用運転されてます。ドイツ北部のディーゼル区間(100km)での運用です。最高時速140km、走行可能距離1000kmで実用的です。仮に5往復、実運用時間として15時間程でしょうから、ちょうど丸一日水素補給無しで運用できます。

 

水素燃料

 写真:ドイツで実用運転中の燃料電池鉄道車両 Coradia iLint(出典:ALSTOM PressKit)

 

 開発製造したのはフランスの鉄道車両メーカー・ALSTOMです。同社のウェブサイトに詳しい説明があります。水素エネルギー社会(その5)でご紹介した水素協議会にALSTOM社が参画しているのもこのような背景があるのですね。

 ドイツ政府の燃料電池技術の国家革新開発予算、ドイツ経済交通省の支援に基づいた、同社のドイツ・フランスチームによる連携開発です。

 ドイツでは非電化のディーゼル区間も多く、脱炭素のためには何らかの対応が必須ということで、ドイツ政府挙げての対応になってます。興味深い構図は、ドイツ政府の意向と予算で、ALSTOM社が開発製造したという点です。

 ここからは二つの背景が読み取れます。まずは、EUが機能しているということ、すなわち国単位ではなく、EU域内としての活動が一般化しているという点です。もう一点は、フランスでは燃料電池開発が主導的に進んでいないのかもしれないという点です。この点は、国家的なエネルギー政策も関連していそうです。

 ドイツ政府依頼の開発が、やはり国内鉄道車両開発老舗のシーメンスではなかった点も、興味がある点です。シーメンスはハードの会社から、産業IT等のDX分野へ大きく企業形態を変えつつあることも背景にあるのでしょうか。後述するように、ALSTOM社のその後の状況から、元々の同社の企業戦略に相乗りしたのが実態かもしれません。

 

水素燃料

写真:ALSTOM社の燃料電池車両(出典:ALSTOM PressKit)

 

 ALSTOM社の燃料電池車両はイギリス、オランダでの導入や試験がアナウンスされてましたが、2020年9月11日から、オ...

 

◆水素エネルギー社会 連載目次

♦ ALSTOM社が開発製造、支援はドイツ政府

 燃料電池で駆動する世界初の鉄道車両:Coradia iLintが2018年9月からドイツで実用運転されてます。ドイツ北部のディーゼル区間(100km)での運用です。最高時速140km、走行可能距離1000kmで実用的です。仮に5往復、実運用時間として15時間程でしょうから、ちょうど丸一日水素補給無しで運用できます。

 

水素燃料

 写真:ドイツで実用運転中の燃料電池鉄道車両 Coradia iLint(出典:ALSTOM PressKit)

 

 開発製造したのはフランスの鉄道車両メーカー・ALSTOMです。同社のウェブサイトに詳しい説明があります。水素エネルギー社会(その5)でご紹介した水素協議会にALSTOM社が参画しているのもこのような背景があるのですね。

 ドイツ政府の燃料電池技術の国家革新開発予算、ドイツ経済交通省の支援に基づいた、同社のドイツ・フランスチームによる連携開発です。

 ドイツでは非電化のディーゼル区間も多く、脱炭素のためには何らかの対応が必須ということで、ドイツ政府挙げての対応になってます。興味深い構図は、ドイツ政府の意向と予算で、ALSTOM社が開発製造したという点です。

 ここからは二つの背景が読み取れます。まずは、EUが機能しているということ、すなわち国単位ではなく、EU域内としての活動が一般化しているという点です。もう一点は、フランスでは燃料電池開発が主導的に進んでいないのかもしれないという点です。この点は、国家的なエネルギー政策も関連していそうです。

 ドイツ政府依頼の開発が、やはり国内鉄道車両開発老舗のシーメンスではなかった点も、興味がある点です。シーメンスはハードの会社から、産業IT等のDX分野へ大きく企業形態を変えつつあることも背景にあるのでしょうか。後述するように、ALSTOM社のその後の状況から、元々の同社の企業戦略に相乗りしたのが実態かもしれません。

 

水素燃料

写真:ALSTOM社の燃料電池車両(出典:ALSTOM PressKit)

 

 ALSTOM社の燃料電池車両はイギリス、オランダでの導入や試験がアナウンスされてましたが、2020年9月11日から、オーストリアで実用運転が開始されたことがプレスリリースされました。

 一方、我が国では日立製作所が鉄道車両開発で欧州に進出していますが、やはり、巨人ALSTOM社の前では太刀打ちできないかもしれません。前回の記事に掲載しましたが、JR東日本と協業しての燃料電池鉄道車両試運転も2022年からで、ALSTOM社の開発に遅れること5年です。

 次回は、水素エネルギー社会(その9)低炭素社会とはを解説します。

 

 【出典】技術オフィスTech-T HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング


「環境負荷抑制技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
グリーン水素とは?なぜグリーン水素が注目されるのか、知っておきたいグリーン水素のすべて

【目次】 地球温暖化の進行と化石燃料への依存からの脱却は、現代社会が直面する最も喫緊の課題の一つです。世界各国が持続可能な社会の実現...

【目次】 地球温暖化の進行と化石燃料への依存からの脱却は、現代社会が直面する最も喫緊の課題の一つです。世界各国が持続可能な社会の実現...


【メタネーションとは】CO₂を都市ガスに変える?仕組み・メリット・実用化への課題を解説

【目次】 地球温暖化対策は、人類共通の喫緊の課題です。主要な温室効果ガスである二酸化炭素、すなわちCO₂の排出削減は待ったなしの状況...

【目次】 地球温暖化対策は、人類共通の喫緊の課題です。主要な温室効果ガスである二酸化炭素、すなわちCO₂の排出削減は待ったなしの状況...


水素の安全性 2 水素エネルギー社会(その11)

  ◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. ...

  ◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. ...


「環境負荷抑制技術」の活用事例

もっと見る
【SDGs取り組み事例】株式会社日阪製作所が掲げる「CSRの樹」 

持続可能な社会の実現に貢献できる体制の構築目指す 株式会社日阪製作所(大阪府大阪市)  目次 どんな業務もCSR活動の一つ CSRの樹「より高...

持続可能な社会の実現に貢献できる体制の構築目指す 株式会社日阪製作所(大阪府大阪市)  目次 どんな業務もCSR活動の一つ CSRの樹「より高...


【SDGs取り組み事例】リスク社会から人々守る 河村電器産業株式会社

企業理念と事業活動がSDGs理念とリンク 河村電器産業株式会社(愛知県瀬戸市) 目次 トラッキング火災を未然に防止、文化財保護にも貢献 創...

企業理念と事業活動がSDGs理念とリンク 河村電器産業株式会社(愛知県瀬戸市) 目次 トラッキング火災を未然に防止、文化財保護にも貢献 創...


【SDGs取り組み事例】世界初のリサイクル技術でCO2削減に貢献 株式会社エフピコ

完全循環型社会の実現に向け進化続ける 環境問題が重要な社会課題として世界的に認識され、近年、その保護気運の高まりと共に定着してきたリサイクル活動です...

完全循環型社会の実現に向け進化続ける 環境問題が重要な社会課題として世界的に認識され、近年、その保護気運の高まりと共に定着してきたリサイクル活動です...