3C分析を正しく使う

 3C分析は広く知られています。競合、自社、お客様の3つを調査して戦略を考えましょうという事です。広く知られていても、正しく使えないと、良い戦略は立てられません。今回はその点を解説します。

1.3C分析を使うタイミング

 3C分析、事業戦略を作る目的で用います。事業戦略を作る順番は、技術シーズが産まれたずっと後になり、順を追って書くと以下のようになります。

(1)マクロトレンドを分析し、技術の棚卸しをした上で研究開発のテーマを決める。
(2)テーマを決めた研究開発によって、技術シーズが出来る。
(3)事業戦略を立てる。

 その後、事業戦略に即した開発の戦略、知財戦略を作っていきます。新規事業における3Cの使い方は二つになります。

2.仮説を作る目的で3Cを使う

 1つ目の使い方は、新規事業のアイデア(仮説)を作る目的です。3C分析で仮説を作る時の重要ポイントは次の3つになります。

ポイント1 市場を絞る(Customer)
ポイント2 競合との差別化を考える(Competitor)
ポイント3 他社ができないことを実施する(Company)

 抽象的な説明では分かりにくいので、以下物語風に説明します。

3.商店街のケースを想定した3C分析の例

 住宅街近くの商店街にあるコンビニエンスストアを想定します。このコンビニの店主は、自分の店の強みを「品ぞろえが豊富で営業時間が長い」ことと考えています。来店者は、お年寄り、通勤のサラリーマン、主婦、子どもなどと多様です。

 もしサラリーマンだとすれば、購買対象は会社帰りに持ち帰るお酒とおつまみとなり、スーパーと酒屋が競合になります。このように、お客様(ターゲット)によって、競合は異なってきます。すると、このコンビニの競合は商品ごとに異なり、近所のスーパー、コンビニ、ドラッグストア、お菓子屋さん、パン屋さん等さまざまです。

 最近は、近所でも共働きの家庭が増えてきました。そこでお客様を、会社帰りのサラリーマンの中でも、共働きで子どものいる家庭に設定するとします。来店時間帯は出勤途中の朝と夕方。その時間帯の会社帰りの奥様が商店街を通り過ぎているのを思い浮かべると、スーパーとお総菜屋さんに流れて行きます。支度が出来るときはスーパー、できないときは総菜屋になるでしょう。

 生鮮食品等でスーパーの品ぞろえには対抗できません。総菜ならば、今も店内でから揚げやコロッケを揚げたりしています。そこで、夕飯のおかずになるように、野菜を含めたメニューとしてかき揚げを考えてみます。子どもに食べさせることを考慮すると、「コンビニで買った」というイメージはあまり良くないので、産地がハッキリとした原材料を仕入れることにしました。そして、店の前に、「○○産の無農薬野菜で作ったかき揚げ、揚げたてです」と貼りだして売り出すことにしました。

 競合の総菜屋は品ぞろえも豊富で、揚げ物だけでなく酢の物や煮物もあって勝負にならないようにも思います。しかし、買い物は総菜屋だけでは済みず、朝の牛乳やパンを買わなければなりません。コンビニならそれが提供できます。そこで、朝食に向きそうな牛乳、食パン、インスタントみそ汁を目立つ場所に置き直して販売することにしました。

 店主は、お客様を網羅的に把握した上で、ターゲットを会社帰りの共働きサラリーマンで帰って食事を作らない層とし、彼らの競合である総菜屋に出来ないことを提供しました。Customer、Competitor、Companyを考慮した戦略作りと言えるでしょう。

4.仮説の検証目的で3Cを使う

 3Cのもう1つの使い方は、仮説の検証目的で使う事です。この目的で使用する場合には、最初に仮説が必要です。仮説がないと目的が絞れずに発散してしまいます。仮説は、上述の例で言うならば「会社帰りの共働きサラリーマンにすぐに食べられる総菜を販売する」という程度の文章で構いません。仮説には、ターゲットとそこに提供するメリットが書いてある必要があります。このような仮説検証の時に考慮するポイントも、仮説構築の時の三つと同じものです。

 仮説を検証する場合のお客様(Customer)の調査では、新規事業のターゲットを絞り込むことが必要であり、「会社帰りの共働きサラリーマン」では、まだ絞り切れていないかもしれません。例えば惣菜を買おうという人は時間がないかもしれません。時間がなくて遅く帰ってくるならば、惣菜の販売時間帯を遅くにずらす必要があるでしょう。このように、ターゲットが行動との関係で意味があるレベルまで絞り込むことが必要です。

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5.3Cによる検証の例

 競争相手(Competitor)の調査は、お客様(Customer)目線で行う必要性があります。既存の競争相手だけを意識していてもダメです。お客様は、会社帰りの共働きサラリーマンですから、総菜屋とスーパーが競合です。総菜屋はフルラインでおかずを提供しているし、スーパーは生鮮食品等の材料を販売しています。コンビニで総菜を販売しようとするならば、競合は総菜屋になります。そこで、ただの惣菜ではなく素材を吟味して安心できる材料を調達してかき揚げを作れば、少なくともかき揚げの一点では負けないと仮説を立てます。

 自社(Company)の状況から、競合である総菜屋ができないことを考えるのです。
上記のように、仮説レベルでは足りないアクションを補完する手段として使う事が出来ます。実際には、検証と仮説のブラッシュアップを同時に進める事が多いかもしれません。


この記事の著者

中村 大介

若手研究者の「教育」、研究開発テーマ創出の「実践」、「開発マネジメント法の導入」の3本立てを同時に実践する社内研修で、ものづくり企業を支援しています。

高収益を実現する研究開発・知財開発の仕組みづくりの専門家。 NEC退職後にベンチャー企業を設立。高粗利ビジネスを実現したものの、事業が模倣される。事業を模倣されて利益率が低迷した経験から弁理士試験にチャレンジし、苦節の末やっと合格。 …

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