N7活用上のポイント 「新QC七つ道具」の使い方、序論(その4)

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【新QC7つ道具 連載目次】

  1. N7 とは
  2. N7の側面
  3. 21世紀の経営戦略
  4. N7活用上のポイント
  5. 手に入れた結論をリポート
 前回の序論(その3)に続いて解説します。
 

5. N7活用上のポイントと連載のねらい

 
 N7研以降の現役時代、手法により、使用頻度や活用度に差はあるものの、N7のすべてを業務に活用して強く感じることは、よく卓越して有能な人のことを “余人をもって代え難し” というが、スタッフッワークにとってのN7は、まさに “余法をもって代え難し” というのが筆者の実感です。一方、実務への活用を通じて強く感じたのは、この連載で使用対象として限定した“混沌解明”と“挑戦管理”もその例に漏れないのですが、N7の真価を発揮させるような活用、すなわち、「余法をもって代え難い活用対象に対するN7の使い方」の難しさです。そこで、その点に的を絞って過去の経験を振り返ってみたところ、“余法をもって代え難い活用対象” に対する“N7の活用上のポイント”は、次の9点であろうと思われ、本書の力点をここに置きました。具体的には、各手法の説明時に詳述するが、これらのポイントを取り上げた理由と背景を簡単に述べ、本書の狙いをご理解いただく一助とします。(前回は、この9点の第1点を解説しましたので、今回はこのテーマの第2点から解説を続けます)
 

(2) オリジナル手法の理解

 
 手法とは、「個人、または、グループの成功体験を振り返り、鍵となった打開策のプロセスを普遍化したもの」といえ、本来非常に特殊な環境下にあって、はじめてその真価を発揮することがでる、というのが筆者の理解です。したがって、手法の真価を存分に発揮させるためには、その手法誕生の背景を把握、理解しておくことが重要です。特にN7の場合そのざん新さは既存手法の用途開発の妙にあるので、活用の勘どころを含めたN7の理解には、優れた活用事例の詳細説明が最適です。
 
 しかし、N7の余法をもって代え難い活用事例は、企業機密に深く関わっていることが多く、全貌が紹介されることはなく、隔靴掻痒の感が否めないのが通常です。その点に関する筆者の解決策は、「N7によってできた“オリジナル手法” を勉強し、その手法誕生の背景を把握、理解することにより、目から鱗が落ちるように、N7研の先生方の説明が理解でき、紹介された範囲の事例でも、十分その勘どころを汲み取ることができるようになった」というものです。
 
 一般的に手法を使いたいときは時間的に差し迫っていることが多く、オリジナル手法の勉強に時間と精力を投入する余裕など持てないのが常です。したがって、この連載では各オリジナル手法につき、N7活用上必須と思われるポイントについての説明と、あくまで個人的な体験の範囲ですが、参考文献と推奨理由をあげることにより、このポイントをガイドしようとしています。とはいうものの、適切な事例による説明に越したことはないので、本書では事例についても、筆者の経験をベースに、内容的にも実務上参考になると思われるレベルの“セミドキュメンタリー”を準備し、手法活用上の勘どころの詳細解説を試みました。
 
  QC7つ道具
 

(3) 使用目的の明確化

 
 これは、言語データを取り扱うことが多いN7にとって重要なポイントの1つです、採取データの質に関わる問題です。というのは、使用目的をしっかり掘り下げ的を絞っておかないと、データ採取の段取りに齟齬が生じ、採取データの質が解析にふさわしくなく、解析結果が思うような結論に結びつかない結果を招くからです。したがって本書では、N7の使用目的に合ったデータ採取上の注意点など、この点に関する活用上のポイントにも言及しました。
 

(4) 適用手法の適正な選択

 
 N7の真価を発揮するような活用の場合、いったん取り組むと大変な時間と精力を必要とするので、適正な手法の選択はN7活用上大変重要なポイントとなりまするが、これが意外に難しいのです。したがって、この連載では、前述の「使用対象の的確な把握」「使用目的の明確化」とともに、手法に対する適正な選択のガイドを試みました。ただ、本書では、N7の使用対象を限定しているので、これ以外の使用対象についての選択に不安感を持たれるかもしれませんが、最高難易度に属する使用対象について徹底的に理解しておけば、他への応用は問題なく対応できるので心配には及ばないというのが筆者の経験則です。いまひとつ注意すべきことは、N7は決して万能ではないのでN7はふさわしくない、という場合もあり得るわけで、この連載ではその辺にも言及します。
 

(5) N7は、あくまで道具であるという認識

 
 N7に限らず、手法は問題解決のレベルとスピードをアップする補助手段であって、問題解決の主体はあくまでグループを含めた当事者であり、解決レベルは当事者の実力、並びに問題解決に対する執念によるということを認識し、安易に手法に頼ろうとしない姿勢が肝要です。ただ、場合によっては実力以上のレベルを求められるケースもあるので、その点についての対応にも言及していきます。
 
 

(6) N7は問題解決手法ではないという認識

 
 問題解決に直結するのは従前の“問題解...

【新QC7つ道具 連載目次】

  1. N7 とは
  2. N7の側面
  3. 21世紀の経営戦略
  4. N7活用上のポイント
  5. 手に入れた結論をリポート
 前回の序論(その3)に続いて解説します。
 

5. N7活用上のポイントと連載のねらい

 
 N7研以降の現役時代、手法により、使用頻度や活用度に差はあるものの、N7のすべてを業務に活用して強く感じることは、よく卓越して有能な人のことを “余人をもって代え難し” というが、スタッフッワークにとってのN7は、まさに “余法をもって代え難し” というのが筆者の実感です。一方、実務への活用を通じて強く感じたのは、この連載で使用対象として限定した“混沌解明”と“挑戦管理”もその例に漏れないのですが、N7の真価を発揮させるような活用、すなわち、「余法をもって代え難い活用対象に対するN7の使い方」の難しさです。そこで、その点に的を絞って過去の経験を振り返ってみたところ、“余法をもって代え難い活用対象” に対する“N7の活用上のポイント”は、次の9点であろうと思われ、本書の力点をここに置きました。具体的には、各手法の説明時に詳述するが、これらのポイントを取り上げた理由と背景を簡単に述べ、本書の狙いをご理解いただく一助とします。(前回は、この9点の第1点を解説しましたので、今回はこのテーマの第2点から解説を続けます)
 

(2) オリジナル手法の理解

 
 手法とは、「個人、または、グループの成功体験を振り返り、鍵となった打開策のプロセスを普遍化したもの」といえ、本来非常に特殊な環境下にあって、はじめてその真価を発揮することがでる、というのが筆者の理解です。したがって、手法の真価を存分に発揮させるためには、その手法誕生の背景を把握、理解しておくことが重要です。特にN7の場合そのざん新さは既存手法の用途開発の妙にあるので、活用の勘どころを含めたN7の理解には、優れた活用事例の詳細説明が最適です。
 
 しかし、N7の余法をもって代え難い活用事例は、企業機密に深く関わっていることが多く、全貌が紹介されることはなく、隔靴掻痒の感が否めないのが通常です。その点に関する筆者の解決策は、「N7によってできた“オリジナル手法” を勉強し、その手法誕生の背景を把握、理解することにより、目から鱗が落ちるように、N7研の先生方の説明が理解でき、紹介された範囲の事例でも、十分その勘どころを汲み取ることができるようになった」というものです。
 
 一般的に手法を使いたいときは時間的に差し迫っていることが多く、オリジナル手法の勉強に時間と精力を投入する余裕など持てないのが常です。したがって、この連載では各オリジナル手法につき、N7活用上必須と思われるポイントについての説明と、あくまで個人的な体験の範囲ですが、参考文献と推奨理由をあげることにより、このポイントをガイドしようとしています。とはいうものの、適切な事例による説明に越したことはないので、本書では事例についても、筆者の経験をベースに、内容的にも実務上参考になると思われるレベルの“セミドキュメンタリー”を準備し、手法活用上の勘どころの詳細解説を試みました。
 
  QC7つ道具
 

(3) 使用目的の明確化

 
 これは、言語データを取り扱うことが多いN7にとって重要なポイントの1つです、採取データの質に関わる問題です。というのは、使用目的をしっかり掘り下げ的を絞っておかないと、データ採取の段取りに齟齬が生じ、採取データの質が解析にふさわしくなく、解析結果が思うような結論に結びつかない結果を招くからです。したがって本書では、N7の使用目的に合ったデータ採取上の注意点など、この点に関する活用上のポイントにも言及しました。
 

(4) 適用手法の適正な選択

 
 N7の真価を発揮するような活用の場合、いったん取り組むと大変な時間と精力を必要とするので、適正な手法の選択はN7活用上大変重要なポイントとなりまするが、これが意外に難しいのです。したがって、この連載では、前述の「使用対象の的確な把握」「使用目的の明確化」とともに、手法に対する適正な選択のガイドを試みました。ただ、本書では、N7の使用対象を限定しているので、これ以外の使用対象についての選択に不安感を持たれるかもしれませんが、最高難易度に属する使用対象について徹底的に理解しておけば、他への応用は問題なく対応できるので心配には及ばないというのが筆者の経験則です。いまひとつ注意すべきことは、N7は決して万能ではないのでN7はふさわしくない、という場合もあり得るわけで、この連載ではその辺にも言及します。
 

(5) N7は、あくまで道具であるという認識

 
 N7に限らず、手法は問題解決のレベルとスピードをアップする補助手段であって、問題解決の主体はあくまでグループを含めた当事者であり、解決レベルは当事者の実力、並びに問題解決に対する執念によるということを認識し、安易に手法に頼ろうとしない姿勢が肝要です。ただ、場合によっては実力以上のレベルを求められるケースもあるので、その点についての対応にも言及していきます。
 
 

(6) N7は問題解決手法ではないという認識

 
 問題解決に直結するのは従前の“問題解決型”スタッフワークであってSQC手法と固有技術の活躍の場であり、N7は、それに先立つ「“問題(課題)設定型”スタッフワーク」を念頭に開発されたものです。したがって、N7は問題点の絞り込みと解決のための糸口の把握、そして、問題解決のための挑戦的施策の管理を手助けするものであるという認識が大切です。「N7は、大変な時間と精力を食うわりには、ちっとも問題解決につながらない」という感想を耳にしたことがありますが、この点に関する誤解から発したものであろう。そこで本書では、実体験をベースとしたセミドキュメンタリーを準備し、その中でN7の活用が問題解決にどのように寄与したかの具体的な説明を試みました。
 
 次回も、このテーマの(7)から解説を続けます。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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