21世紀の経営戦略 「新QC七つ道具」の使い方、序論(その3)

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【新QC7つ道具 連載目次】

  1. N7 とは
  2. N7の側面
  3. 21世紀の経営戦略
  4. N7活用上のポイント
  5. 手に入れた結論をリポート
 「新QC七つ道具」の使い方、序論(その2)に続いて解説します。
 

4. 「21世紀の経営戦略」とは

 
 前項では、世紀の変わり目を大きく概念的にとらえましたが、身近な日本の産業界に目を向けたとき、グローバルスタンダードという大波の真っただ中にあり、その激変ぶりは、過去の体制と規範が、ことごとく覆されようとしている点で、明治維新と重ねて論じられるほどです。
 
 このような環境下で企業が立ち行くための経営戦略に求められるのは、現状に対する的確な「混沌解明」と、その結果から把握される21世紀におけるあるべき姿の具現に向かって、一見不可能と思われる高い目標に果敢に「挑戦」することです。このような認識のもとに、21世紀における経営戦略のステップを、この連載では次の3点としました。
 
◆ 混沌の解明
◆ 挑戦項目と達成レベルの設定
◆ 挑戦管理
 
 この3項目の推進に最前線で深く関わるのがトップマネジメントの命を受ける管理者・スタッフであり、その方たちをN7がどのように支援するのかが本書の主題です。しかし、経営戦略の核心である第2項は、トップの決断によるところが大きく、手法やスタッフの域を超越したものです。したがって、N7の支援対象である“スタッフワーク”は「混沌解明」と「挑戦管理」 の2項目に絞られます。すなわち、これからの管理者・スタッフは「21世紀の経営戦略遂行の中枢にあって“混沌解明”と“挑戦管理”を的確に実施すること」を求められるわけで、本書ではこれを「21世紀型スタッフワーク」と呼ぶことにします。
 
 さて、この「21世紀型スタッフワーク」をN7がどう支えるのかですが、“混沌解明”と“挑戦管理”の中身を整理してみると、細分化された中身とN7の各手法が、見事に漏れなく対応しており、改めて、この7つの手法の選択に見えるN7提唱者の方々の先見の明に、畏敬の念を禁じ得ないところです。
 
 以上が、サブタイトル「21世紀の経営戦略を支える」をつけた理由であり、この連載の主題は「21世紀型スタッフワークのためのN7の使い方」なのです。
 
 なぜこの点にこだわるのかですが、N7は、適用範囲が極めて広い柔軟性に富んだ手法で、本格的に使おうとすると、適用範囲ごとにそれぞれのノウハウが必要です。その体得なくして、N7の本質が寄与するような活用は難しい、という筆者の経験からきた持論が根底にあります。言葉を換えると、使用対象を絞り込んではじめて、N7の使い方のノウハウ詳細を語り得るといえます。本書が、N7の使用対象を“混沌解明”と“挑戦管理”に絞り、その効用と使い方の詳細に言及しようとしているゆえんです。
 
 ところで、「挑戦管理」という耳慣れない言葉が出てきますが、これは筆者の造語であり、その思いは次の通りです。挑戦、特に前述のような「一見不可能と思われる高い目標への挑戦」は、往々にして、大きなリスクを伴うものです。したがって、目標達成の成否は、“質の高い「リスクマネジメント(危機管理:RM)」に負うところ大”なので、当初は「危機管理」という言葉を考えていました。しかし、この言葉の持つマイナスイメージを避けたかったのと、重視すべきものは、危機管理の対象である“挑戦計画”といえるので、危機管理を包含した「挑戦計画を成功させるための管理」という思いを込めて、「挑戦管理」という造語を使うことにしました。「混沌解明」と「挑戦管理」の詳細については、N7と対応させて後述します。
 
 新QC7つ道具
 
 

5. N7活用上のポイントと本書のねらい

 
 N7研以降の現役時代、手法により、使用頻度や活用度に差はあるものの、N7のすべてを業務に活用して強く感じることは、よく卓越して有能な人のことを “余人をもって代え難し” というが、スタッフッワークにとってのN7は、まさに “余法をもって代え難し” というのが筆者の実感です。一方、実務への活用を通じて強く感じたのは、この連載で使用対象として限定した“混沌解明”と“挑戦管理”もその例に漏れないのですが、N7の真価を発揮させるような活用、すなわち、「余法をもって代え難い活用対象に対するN7の使い方」の難しさです。そこで、その点に的を絞って過去の経験を振り返ってみたところ、“余法をもって代え難い活用対象” に対する“N7の活用上のポイント”は、次の9点であろうと思われ、本書の力点をここに置きました。具体的には、各手法の説明時に詳述するが、これらのポイントを取り上げた理由と背景を簡単に述べ、本書の狙いをご理解いただく一助とします。(今回は、この9点の第1点で、次回もこのテーマで解説を続けます)
 

(1) 使用対象の的確な把握

 
 N7に限ったことではないのですが...

【新QC7つ道具 連載目次】

  1. N7 とは
  2. N7の側面
  3. 21世紀の経営戦略
  4. N7活用上のポイント
  5. 手に入れた結論をリポート
 「新QC七つ道具」の使い方、序論(その2)に続いて解説します。
 

4. 「21世紀の経営戦略」とは

 
 前項では、世紀の変わり目を大きく概念的にとらえましたが、身近な日本の産業界に目を向けたとき、グローバルスタンダードという大波の真っただ中にあり、その激変ぶりは、過去の体制と規範が、ことごとく覆されようとしている点で、明治維新と重ねて論じられるほどです。
 
 このような環境下で企業が立ち行くための経営戦略に求められるのは、現状に対する的確な「混沌解明」と、その結果から把握される21世紀におけるあるべき姿の具現に向かって、一見不可能と思われる高い目標に果敢に「挑戦」することです。このような認識のもとに、21世紀における経営戦略のステップを、この連載では次の3点としました。
 
◆ 混沌の解明
◆ 挑戦項目と達成レベルの設定
◆ 挑戦管理
 
 この3項目の推進に最前線で深く関わるのがトップマネジメントの命を受ける管理者・スタッフであり、その方たちをN7がどのように支援するのかが本書の主題です。しかし、経営戦略の核心である第2項は、トップの決断によるところが大きく、手法やスタッフの域を超越したものです。したがって、N7の支援対象である“スタッフワーク”は「混沌解明」と「挑戦管理」 の2項目に絞られます。すなわち、これからの管理者・スタッフは「21世紀の経営戦略遂行の中枢にあって“混沌解明”と“挑戦管理”を的確に実施すること」を求められるわけで、本書ではこれを「21世紀型スタッフワーク」と呼ぶことにします。
 
 さて、この「21世紀型スタッフワーク」をN7がどう支えるのかですが、“混沌解明”と“挑戦管理”の中身を整理してみると、細分化された中身とN7の各手法が、見事に漏れなく対応しており、改めて、この7つの手法の選択に見えるN7提唱者の方々の先見の明に、畏敬の念を禁じ得ないところです。
 
 以上が、サブタイトル「21世紀の経営戦略を支える」をつけた理由であり、この連載の主題は「21世紀型スタッフワークのためのN7の使い方」なのです。
 
 なぜこの点にこだわるのかですが、N7は、適用範囲が極めて広い柔軟性に富んだ手法で、本格的に使おうとすると、適用範囲ごとにそれぞれのノウハウが必要です。その体得なくして、N7の本質が寄与するような活用は難しい、という筆者の経験からきた持論が根底にあります。言葉を換えると、使用対象を絞り込んではじめて、N7の使い方のノウハウ詳細を語り得るといえます。本書が、N7の使用対象を“混沌解明”と“挑戦管理”に絞り、その効用と使い方の詳細に言及しようとしているゆえんです。
 
 ところで、「挑戦管理」という耳慣れない言葉が出てきますが、これは筆者の造語であり、その思いは次の通りです。挑戦、特に前述のような「一見不可能と思われる高い目標への挑戦」は、往々にして、大きなリスクを伴うものです。したがって、目標達成の成否は、“質の高い「リスクマネジメント(危機管理:RM)」に負うところ大”なので、当初は「危機管理」という言葉を考えていました。しかし、この言葉の持つマイナスイメージを避けたかったのと、重視すべきものは、危機管理の対象である“挑戦計画”といえるので、危機管理を包含した「挑戦計画を成功させるための管理」という思いを込めて、「挑戦管理」という造語を使うことにしました。「混沌解明」と「挑戦管理」の詳細については、N7と対応させて後述します。
 
 新QC7つ道具
 
 

5. N7活用上のポイントと本書のねらい

 
 N7研以降の現役時代、手法により、使用頻度や活用度に差はあるものの、N7のすべてを業務に活用して強く感じることは、よく卓越して有能な人のことを “余人をもって代え難し” というが、スタッフッワークにとってのN7は、まさに “余法をもって代え難し” というのが筆者の実感です。一方、実務への活用を通じて強く感じたのは、この連載で使用対象として限定した“混沌解明”と“挑戦管理”もその例に漏れないのですが、N7の真価を発揮させるような活用、すなわち、「余法をもって代え難い活用対象に対するN7の使い方」の難しさです。そこで、その点に的を絞って過去の経験を振り返ってみたところ、“余法をもって代え難い活用対象” に対する“N7の活用上のポイント”は、次の9点であろうと思われ、本書の力点をここに置きました。具体的には、各手法の説明時に詳述するが、これらのポイントを取り上げた理由と背景を簡単に述べ、本書の狙いをご理解いただく一助とします。(今回は、この9点の第1点で、次回もこのテーマで解説を続けます)
 

(1) 使用対象の的確な把握

 
 N7に限ったことではないのですが、手法はあくまで道具なので、使用対象を間違うと当然のことながらうまくいかないばかりか、時間の浪費と新たな混乱を招くことになる場合が多いのです。特にN7は、後述するように、非常に時間がかかるのでなおさらです。そこでこの連載では、N7の使用対象を、21世紀型スタッフワークのステップである「混沌解明」と「挑戦管理」に絞り、これら使用対象把握のための整理・分析を行った上で、経験的にふさわしいと思われる手法へのガイドを試みます。
 
 次回もこのテーマで解説を続けます。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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