“わかりやすい説明資料”を作成するには

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1. “わかりにくい説明資料”を渡される

 弊社ではA社の複合機をリースしています。以前、A社の複合機をリースする会社(B社とします)の営業マン(Cさんとします)が弊社に来ました。目的は複合機の交換の件です。そのときリースしていた複合機のリース期間が切れるのでその交換機(新機種)の説明に来ました。
 
 Cさんから、A3判の用紙1枚で作成された新機種説明用の資料を渡されました。その説明資料を見て驚きました。“わかりにくい説明資料”だったからです。
 
 ◆新機種のコンセプトを書いた字がかすれていました。目を凝らして文字を見ないと何が新機種のコンセプトなのかわかりませんでした。新機種のコンセプトとは、例えば「操作性の向上」などです。新機種のコンセプトはお客様に対する重要な新機種のアピールポイントです。渡された説明資料では新機種のコンセプトが不明確でした。
 
 ◆新機種の機能の説明箇所の中に不鮮明な写真や文字がつぶれて判読できない文が多数ありました。特に、横3cm×縦2cm程度の小さいサイズの写真は不鮮明で何が写っているのかまったくわかりませんでした。
 
 その写真に対する説明文も文字がつぶれていてまったく判読できません。「写真や説明文らしきものがそこにある」という内容です。渡された説明資料では新機種の機能が不明確でした。
 
    
 
 新機種の概要を理解するうえで、新機種のコンセプトやその機能の説明は重要項目です。しかし、渡された説明資料ではこれらが不明確でした。Cさんに「この説明資料はわかりにくいです」とはっきり言いました。
 
 ところで、弊社に渡したのと同じ説明資料を他のお客様にも以前に渡したそうです。そのお客様からも「わかりにくい」と言われたそうです。また、「この説明資料を今後も使うなら修正すべきだ」という指摘も受けたそうです。
 
 「わかりにくい。修正すべきだ」と言われたとき、なぜ、説明資料を修正しなかったのでしょうか。「何で、この説明資料をこのまま使おう」と判断したのでしょうか。「『あの会社(弊社のこと)ならこの説明資料を渡してもかまわない』というような判断があったのでは?」と疑いたくなります。
 
 この説明資料はCさんが作成したのではなく別の部署の人が作成したそうです。Cさんが、お客様からの「わかりにくい。修正すべきだ」という指摘をその部署に伝えなかったのでしょうか。あるいは、説明資料を作成した部署がCさんからの報告を放置したのでしょうか。いずれにしても、お客様からの指摘を無視したことはお客様を軽視した行動です。
 

2. 会社の印象が変わる

 今回の件は、Cさん個人の問題なのかB社の組織としての問題なのかわかりません。いずれにしても、「B社はお客様を大事にし...

1. “わかりにくい説明資料”を渡される

 弊社ではA社の複合機をリースしています。以前、A社の複合機をリースする会社(B社とします)の営業マン(Cさんとします)が弊社に来ました。目的は複合機の交換の件です。そのときリースしていた複合機のリース期間が切れるのでその交換機(新機種)の説明に来ました。
 
 Cさんから、A3判の用紙1枚で作成された新機種説明用の資料を渡されました。その説明資料を見て驚きました。“わかりにくい説明資料”だったからです。
 
 ◆新機種のコンセプトを書いた字がかすれていました。目を凝らして文字を見ないと何が新機種のコンセプトなのかわかりませんでした。新機種のコンセプトとは、例えば「操作性の向上」などです。新機種のコンセプトはお客様に対する重要な新機種のアピールポイントです。渡された説明資料では新機種のコンセプトが不明確でした。
 
 ◆新機種の機能の説明箇所の中に不鮮明な写真や文字がつぶれて判読できない文が多数ありました。特に、横3cm×縦2cm程度の小さいサイズの写真は不鮮明で何が写っているのかまったくわかりませんでした。
 
 その写真に対する説明文も文字がつぶれていてまったく判読できません。「写真や説明文らしきものがそこにある」という内容です。渡された説明資料では新機種の機能が不明確でした。
 
    
 
 新機種の概要を理解するうえで、新機種のコンセプトやその機能の説明は重要項目です。しかし、渡された説明資料ではこれらが不明確でした。Cさんに「この説明資料はわかりにくいです」とはっきり言いました。
 
 ところで、弊社に渡したのと同じ説明資料を他のお客様にも以前に渡したそうです。そのお客様からも「わかりにくい」と言われたそうです。また、「この説明資料を今後も使うなら修正すべきだ」という指摘も受けたそうです。
 
 「わかりにくい。修正すべきだ」と言われたとき、なぜ、説明資料を修正しなかったのでしょうか。「何で、この説明資料をこのまま使おう」と判断したのでしょうか。「『あの会社(弊社のこと)ならこの説明資料を渡してもかまわない』というような判断があったのでは?」と疑いたくなります。
 
 この説明資料はCさんが作成したのではなく別の部署の人が作成したそうです。Cさんが、お客様からの「わかりにくい。修正すべきだ」という指摘をその部署に伝えなかったのでしょうか。あるいは、説明資料を作成した部署がCさんからの報告を放置したのでしょうか。いずれにしても、お客様からの指摘を無視したことはお客様を軽視した行動です。
 

2. 会社の印象が変わる

 今回の件は、Cさん個人の問題なのかB社の組織としての問題なのかわかりません。いずれにしても、「B社はお客様を大事にしない会社だ」という印象をそのとき持ちました。B社とは、会社を興したときからの付き合いです。この件があるまで、B社はお客様を大事にする会社だと思っていました。
 
“信頼を失うのは一瞬、取り戻すのは一生”
 
人的資源マネジメント
 
 現在も複合機をB社からリースしています。しかし、今後、また同じようなことが起これば、B社からではなく「お客様を大事にする会社」から複合機をリースするかもしれません。
 
 “わかりにくい説明資料”を見たとき、改めて、“わかりやすい説明資料(お客様に内容が明確に伝わる資料)”を作成することの重要性を認識しました。説明資料1枚で会社の印象が変わることがあるからです。
 

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この記事の著者

森谷 仁

「君の書く文書は、わかりにくい」と言われる技術者から、「君の書く文書は、わかりやすい」と言われる技術者へのステップアップ!

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