製造業の人材育成・多能工化の進め方

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 中小製造業では、一般的に人材育成に力を入れておらず先輩が後輩に仕事を見よう見真似で教えることのみにとどまっています。しかし、会社の規模もある程度大きくなり、さらに成長を遂げるには人材育成が重要なポイントとなります。特に中堅社員、優秀な現場のリーダーの存在が欠かせません。にもかかわらず階層別教育、専門技術別の教育制度は殆ど整っていないのが実情です。
 
 そこで人材をどのように育成していけばいいのか? 進め方、内容について考えてみます。
 
 人材育成は、人材マネジメントサイクルのしくみが回るようにすることが重要ですが、最も重要な事は、求める人材像を明確にする事です。それは経営者の責任であり、どのようなスキルを持った人材が必要なのか、明確に社員に示して、全社員がそこに向かって努力する、自ら学ぼうとする姿勢を示すよう社内の風土を育てて行くことが求められます。
 
 生産改革、品質向上、新規市場進出などすべては優秀な人材の存在が成否の鍵を握っているのです。改革を進めるには、自らの力で、あるいは同僚や先輩、時には管理層を巻き込んで積極的に課題解決に当たる「プロ人材」が不可欠です。
 
 「プロ人材」は専門技術の知識、経験が豊富(職人)なだけでなく、コミュニケーション能力、問題解析・解決能力を兼ね備えていなければなりません。トップは、このような人材を発掘し、経験を積ませ育てて行くことが重要な仕事です。
 

1. 教育の進め方 5ステップ

 
 人材育成は、人材像の明確化、育成、活用、評価、処遇の人材マネジメントサイクルのしくみが回るようなしくみを整備する必要があります。その中で、教育制度のしくみ化は以下のステップで進めます。
 
 ステップ1 強化すべき工場の機能と、期待する人材像を明確にする
 ステップ2 現状の人材レベルと期待する人材レベルのGAPを把握
 ステップ3 GAPを埋める教育・訓練計画、
 ステップ4 教育の実施
 ステップ5 評価
 
  いずれにしても、求める人材像を明らかにすることがすべての基準となるため最初に「工場の将来像」「そこで求められる人材像」が明確になっている必要があります。経営層は、教育の必要性を認識し、現状の人材にどのようなスキルの習得を求めているのかを、最初に明らかにしなければなりません。そして次に、人材育成の内容・方法について明確にする必要があります。
 

2. 新人の育成

 
 新人はOJT主体で教育を行っている例が多いようですが、より効果的な教育を行うにはOJTと集合教育をミックスさせること、また、計画、実施、評価、フィードバックのサイクルを回すことが重要です。
 
 OJT
 

3. リーダーの育成

 
 現場リーダー「プロ人材」の育成は、最も必要性を感じていることと思いますが、理想のリーダー像を描いても、実際にどうやって育成したらいいか?明確な解を持ちあわせていない場合が多いのです。リーダーシップ研修などを受講させることも必要ですが、実際の業務の中で課題を自らの力で解決していく、「チャレンジ」して「失敗」を重ねながら再び「チャレンジ」する、そこに上司の「サポート」が加わることによってリーダーの成長が加速されるのです。
 
 ・困難を伴う課題にチャレンジする機会を与える
 ・サポートする
 ・評価する
 
 運よくこのような場面に出会う、また自らが行動して難題に向き合うことが無ければ、おそらくリーダーとしての成長のチャンスを逃してしまうというのが、多くの企業の実情ではないかと考えます。外部から「できる人材」を招き入れることも方法かもしれませんが、社内の人材を育て上げて行くという姿勢こそ、新人も採用しやすくなり、定着率も上がるという結果に繋がると思います。
 

4. 幹部社員の育成

 
 会社の将来を担う幹部社員候補の教育についても、実態はお寒い状況です。環境変化への対応、グローバルな視点から求められる人材は、次のような知見を持っていることが求められます。
 
 ・マネジメント手法
 ・固有技術
 ・人材育成手法
 
 一般的には現場...
 中小製造業では、一般的に人材育成に力を入れておらず先輩が後輩に仕事を見よう見真似で教えることのみにとどまっています。しかし、会社の規模もある程度大きくなり、さらに成長を遂げるには人材育成が重要なポイントとなります。特に中堅社員、優秀な現場のリーダーの存在が欠かせません。にもかかわらず階層別教育、専門技術別の教育制度は殆ど整っていないのが実情です。
 
 そこで人材をどのように育成していけばいいのか? 進め方、内容について考えてみます。
 
 人材育成は、人材マネジメントサイクルのしくみが回るようにすることが重要ですが、最も重要な事は、求める人材像を明確にする事です。それは経営者の責任であり、どのようなスキルを持った人材が必要なのか、明確に社員に示して、全社員がそこに向かって努力する、自ら学ぼうとする姿勢を示すよう社内の風土を育てて行くことが求められます。
 
 生産改革、品質向上、新規市場進出などすべては優秀な人材の存在が成否の鍵を握っているのです。改革を進めるには、自らの力で、あるいは同僚や先輩、時には管理層を巻き込んで積極的に課題解決に当たる「プロ人材」が不可欠です。
 
 「プロ人材」は専門技術の知識、経験が豊富(職人)なだけでなく、コミュニケーション能力、問題解析・解決能力を兼ね備えていなければなりません。トップは、このような人材を発掘し、経験を積ませ育てて行くことが重要な仕事です。
 

1. 教育の進め方 5ステップ

 
 人材育成は、人材像の明確化、育成、活用、評価、処遇の人材マネジメントサイクルのしくみが回るようなしくみを整備する必要があります。その中で、教育制度のしくみ化は以下のステップで進めます。
 
 ステップ1 強化すべき工場の機能と、期待する人材像を明確にする
 ステップ2 現状の人材レベルと期待する人材レベルのGAPを把握
 ステップ3 GAPを埋める教育・訓練計画、
 ステップ4 教育の実施
 ステップ5 評価
 
  いずれにしても、求める人材像を明らかにすることがすべての基準となるため最初に「工場の将来像」「そこで求められる人材像」が明確になっている必要があります。経営層は、教育の必要性を認識し、現状の人材にどのようなスキルの習得を求めているのかを、最初に明らかにしなければなりません。そして次に、人材育成の内容・方法について明確にする必要があります。
 

2. 新人の育成

 
 新人はOJT主体で教育を行っている例が多いようですが、より効果的な教育を行うにはOJTと集合教育をミックスさせること、また、計画、実施、評価、フィードバックのサイクルを回すことが重要です。
 
 OJT
 

3. リーダーの育成

 
 現場リーダー「プロ人材」の育成は、最も必要性を感じていることと思いますが、理想のリーダー像を描いても、実際にどうやって育成したらいいか?明確な解を持ちあわせていない場合が多いのです。リーダーシップ研修などを受講させることも必要ですが、実際の業務の中で課題を自らの力で解決していく、「チャレンジ」して「失敗」を重ねながら再び「チャレンジ」する、そこに上司の「サポート」が加わることによってリーダーの成長が加速されるのです。
 
 ・困難を伴う課題にチャレンジする機会を与える
 ・サポートする
 ・評価する
 
 運よくこのような場面に出会う、また自らが行動して難題に向き合うことが無ければ、おそらくリーダーとしての成長のチャンスを逃してしまうというのが、多くの企業の実情ではないかと考えます。外部から「できる人材」を招き入れることも方法かもしれませんが、社内の人材を育て上げて行くという姿勢こそ、新人も採用しやすくなり、定着率も上がるという結果に繋がると思います。
 

4. 幹部社員の育成

 
 会社の将来を担う幹部社員候補の教育についても、実態はお寒い状況です。環境変化への対応、グローバルな視点から求められる人材は、次のような知見を持っていることが求められます。
 
 ・マネジメント手法
 ・固有技術
 ・人材育成手法
 
 一般的には現場の経験に基づいた技能、管理技術は持ちあわせていても管理層としてはそれだけでは不足です。日本では、年功的な評価で、管理職に昇進させますが、実際に会社をマネジメントする、工場を改革していく力量はかなり不足していると考えられます。
 
 当然、人材マネジメントに関する専門的な教育も不足しており、人材の重要性を認識しつつも、社内育成システムも十分整備されているとは言えません。
 
 以上のように、人材育成のしくみを作る上で欠かせないのは「経営者」「管理層」の教育に対する理解としくみ構築の実行力です。「教育は重要だ!」と言いつつ教育担当者に責任を丸投げにしてしまっている企業は、いつまでたっても効果的な教育は実施できない事になります。
  

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この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

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