物流スタッフのモチベーションを向上する

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1. 管理監督者の役割

 企業は人なりといわれます。人がいて初めて組織となり、その組織で業務に取り組むことで会社の収益を上げていくことになります。最近話題になるハラスメント。これが従業員のモチベーションを悪化し、組織に淀みを生じさせます。ですから私たちは従業員のモチベーションを向上させ、組織を活性化する必要があります。では従業員である物流スタッフのモチベーションを向上するためにどのような取組をしていったらよいのでしょうか。まずは管理監督者の教育から行っていくと良いと思います。物流業では管理監督者が育っていません。ですから基本からきちんと教え込む必要があります。
 
 管理監督者の業務の大きな部分を占めるのが労務管理です。部下のモチベーションを向上させるのは労務管理と大きな関係があります。ではまず労務管理の基本から考えてみましょう。労務管理は単なる日々の労働時間の管理から部下の長期的な育成まで様々です。労働時間管理はまさに管理監督者の責任です。部下個々人が何時から何時まで働くかをコントロールするのは管理監督者です。
 
 最近特に問題になっている残業についても上司である管理監督者の指示が必要です。原則として部下からの申告に基づく残業はあり得ない話です。なぜなら部下の判断で残業を行うということは、部下が自分で自分の給与を決めるというおかしなことになるからです。残業を無くせ、こういった話がよく出てきますが、今まで必要だった残業をすぐにゼロにすることは難しいかもしれません。
 
 このような一方的な指示は物流スタッフのモチベーションを下げるだけです。労務管理を行う管理監督者であるならば、残業が発生する要因をしっかりと把握すべきです。そのうえで人が足りなければ増員、仕事が多すぎるのであればその仕事を切る、やらなければならない仕事であればそれを効率化する、それが管理監督者の役割なのです。
 

2. 声掛けと褒める習慣

 管理監督者の日々業務中で重要なことがあります。それは「声掛け」です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが意外とできていないのがこの声掛けです。管理監督者は部下である物流スタッフに関心を持たなければなりません。それが無ければモチベーションが向上することはあり得ません。この声掛けですが、最初のころは個人別に日々何回声掛けを行ったかを記録しておくとよいでしょう。どうしても声掛けしやすい人もそうでない人もいますので偏りを避けるためです。
 
 次に実施すべきことは「褒める」機会を設けることです。誰しも、いくつになっても人から褒められて悪い気がすることはありません。ですから管理監督者はことあるごとに「部下を褒める」習慣を身につけるとよいでしょう。あまり構える必要はありません。簡単なことでよいのです。たとえば外部教育に出かけた部下が翌日に報告書を出して来たら、その時点でアクションの速さについて褒めます。いつも丁寧な荷扱いをしていれば、その行為を行ったときに褒めます。この繰り返しです。 
 
 管理監督者は、部下の「よい点を見つける」ということを習慣化してもよいのではないでしょうか。悪い点は目につきますが、よい点はスルーされがちです。よい点はよい点として認識することでそれが部下を褒めることにつながることでしょう。これが結果的に物流スタッフのモチベーション向上につながります。このように管理監督者を教育し、彼らに部下のモチベーションが向上する行動を取ってもらうことが第一歩だと思います。
 
 そして、次に考えたいことは物流現場の状況を把握することです。ここにおいての状況とは普段管理している品質や安全ではなく、職場のムードです。職場によっては暗い雰囲気であったりやけに明るかったりさまざまです。そしてこのムードを左右するのが管理監督者です。たとえば離職者が出た場合、職場のムードによることが多々あります。物流現場の状況は物流スタッフに聞くのが一番です。できればその現場の監督者ではなく、本社の人事などでアンケート調査を行うことを考えてみるとよいと思います。できるだけ個々のスタッフの本音を引き出せるような工夫も必要です。
 

3. 改善提案とQC活動

 物流スタッフのモチベーションを向上させるためのしかけとして、何かしらのイベントを行うことも効果的だと思います。たとえば改善提案制度。業務上、何かしら改善を行った方がよいと思う点があれば、それを会社に提案することができる制度です。初めは何でもよいので提案してもらいます。改善提案件数で評価してあげることです。慣れてきたところで徐々に中身を評価します。そして改善効果が大きいアイテムを提案してくれた人に対してはそれなりの報奨金を与えるなど、やる気を出させる方法を考えていきましょう。
 
 改善提案制度は一般的に個人別評価を行いますが、グループを評価するしかけも考えてみましょう。最も行われているものにQC活動があります。QCは元々の意味合いはクオリティー・コントロールで品質重視でしたが、最近では安...

1. 管理監督者の役割

 企業は人なりといわれます。人がいて初めて組織となり、その組織で業務に取り組むことで会社の収益を上げていくことになります。最近話題になるハラスメント。これが従業員のモチベーションを悪化し、組織に淀みを生じさせます。ですから私たちは従業員のモチベーションを向上させ、組織を活性化する必要があります。では従業員である物流スタッフのモチベーションを向上するためにどのような取組をしていったらよいのでしょうか。まずは管理監督者の教育から行っていくと良いと思います。物流業では管理監督者が育っていません。ですから基本からきちんと教え込む必要があります。
 
 管理監督者の業務の大きな部分を占めるのが労務管理です。部下のモチベーションを向上させるのは労務管理と大きな関係があります。ではまず労務管理の基本から考えてみましょう。労務管理は単なる日々の労働時間の管理から部下の長期的な育成まで様々です。労働時間管理はまさに管理監督者の責任です。部下個々人が何時から何時まで働くかをコントロールするのは管理監督者です。
 
 最近特に問題になっている残業についても上司である管理監督者の指示が必要です。原則として部下からの申告に基づく残業はあり得ない話です。なぜなら部下の判断で残業を行うということは、部下が自分で自分の給与を決めるというおかしなことになるからです。残業を無くせ、こういった話がよく出てきますが、今まで必要だった残業をすぐにゼロにすることは難しいかもしれません。
 
 このような一方的な指示は物流スタッフのモチベーションを下げるだけです。労務管理を行う管理監督者であるならば、残業が発生する要因をしっかりと把握すべきです。そのうえで人が足りなければ増員、仕事が多すぎるのであればその仕事を切る、やらなければならない仕事であればそれを効率化する、それが管理監督者の役割なのです。
 

2. 声掛けと褒める習慣

 管理監督者の日々業務中で重要なことがあります。それは「声掛け」です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが意外とできていないのがこの声掛けです。管理監督者は部下である物流スタッフに関心を持たなければなりません。それが無ければモチベーションが向上することはあり得ません。この声掛けですが、最初のころは個人別に日々何回声掛けを行ったかを記録しておくとよいでしょう。どうしても声掛けしやすい人もそうでない人もいますので偏りを避けるためです。
 
 次に実施すべきことは「褒める」機会を設けることです。誰しも、いくつになっても人から褒められて悪い気がすることはありません。ですから管理監督者はことあるごとに「部下を褒める」習慣を身につけるとよいでしょう。あまり構える必要はありません。簡単なことでよいのです。たとえば外部教育に出かけた部下が翌日に報告書を出して来たら、その時点でアクションの速さについて褒めます。いつも丁寧な荷扱いをしていれば、その行為を行ったときに褒めます。この繰り返しです。 
 
 管理監督者は、部下の「よい点を見つける」ということを習慣化してもよいのではないでしょうか。悪い点は目につきますが、よい点はスルーされがちです。よい点はよい点として認識することでそれが部下を褒めることにつながることでしょう。これが結果的に物流スタッフのモチベーション向上につながります。このように管理監督者を教育し、彼らに部下のモチベーションが向上する行動を取ってもらうことが第一歩だと思います。
 
 そして、次に考えたいことは物流現場の状況を把握することです。ここにおいての状況とは普段管理している品質や安全ではなく、職場のムードです。職場によっては暗い雰囲気であったりやけに明るかったりさまざまです。そしてこのムードを左右するのが管理監督者です。たとえば離職者が出た場合、職場のムードによることが多々あります。物流現場の状況は物流スタッフに聞くのが一番です。できればその現場の監督者ではなく、本社の人事などでアンケート調査を行うことを考えてみるとよいと思います。できるだけ個々のスタッフの本音を引き出せるような工夫も必要です。
 

3. 改善提案とQC活動

 物流スタッフのモチベーションを向上させるためのしかけとして、何かしらのイベントを行うことも効果的だと思います。たとえば改善提案制度。業務上、何かしら改善を行った方がよいと思う点があれば、それを会社に提案することができる制度です。初めは何でもよいので提案してもらいます。改善提案件数で評価してあげることです。慣れてきたところで徐々に中身を評価します。そして改善効果が大きいアイテムを提案してくれた人に対してはそれなりの報奨金を与えるなど、やる気を出させる方法を考えていきましょう。
 
 改善提案制度は一般的に個人別評価を行いますが、グループを評価するしかけも考えてみましょう。最も行われているものにQC活動があります。QCは元々の意味合いはクオリティー・コントロールで品質重視でしたが、最近では安全やコストの取組についてもQC活動で取り上げることが多くなりました。そこで、物流スタッフをいくつかのグループに分け、年に何件かQC活動に取り組んでもらった上で発表会を実施します。
  
 SCM 
 その中でも優秀な取組に対して表彰を行い、報奨金を渡します。そして最優秀である取り組みを行ったグループには地域でのQC大会に参加させます。ここはまさに他流試合の場。物流スタッフの意識が盛り上がること請け合いです。ぜひ地域の大会、そして全国の大会を目指して皆で頑張っていきましょう。
 
 改善提案にしてもQC活動にしても物流スタッフに考えさせ、より会社をよくしていくための改善であり経営参画の一部だともいえます。この考え方を周知することで自分も経営に参画できたのだという達成感を味合わせてあげて下さい。確実にモチベーションは向上しますから。
 
 いかがでしょうか。最初に管理監督者に勉強をしてもらって部下を啓蒙できるようにしていく。労務管理もしっかりとやっていく。そして部下のスタッフが自ら考え、動き、会社の経営に参画できるしくみを確立する。このステップでぜひ物流スタッフのモチベーションを向上させ、会社を進化させていっていただければ、と思います。 
  

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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