部品機能の重要性 カーボンブラック工場の事例

 私は設備を安定稼働させるための機能は元々設備に組み込まれており、部品の機能を知る事が何よりも重要と考えています。その事例をひとつ紹介しましょう。

 

 カーボンブラックは燃料を不完全燃焼させて大量に発生させた煤を、バグフィルターで捕集して製品を得ています。つまりバグフィルターが命にも関わらず、ある企業では大切なバグフィルターで繰り返しトラブルが多く、生産性が阻害されているという状態でした。

 工場で実情を聞いてみると、「バグフィルターのろ布は全部で数千枚もあり、たった1%のトラブルでも数十回発生する。何よりも本体が痛み易いSS材で出来ており、工場建設以来(40年間)更新されてこなかったことが、本当の原因です。これを何とかしてくれるのですか?」との事でした。

 そこで、「もしそれが本当の原因であるなら、コンサルタントの立場で経営に話しますので、再発防止活動を一緒にやりませんか。」と説得して活動を開始しました。

 活動は現状実態分析から入り、新しい事実が次々に明らかになって行きます。一番の問題は逆洗方式のバグフィルターでの「逆洗不良」でした。原因は逆洗に切り替えるダンパーの動作不良です。

 今までは、トラブルが生ずるとその系列を停止し、ダンパー室に入り、ダンパーのストロークを短くしたり、ダンパーのスピードコントローラを調節して早めたりしていました。原因がダンパーを設置しているベース(床のようなもの)が経年劣化で歪んでしまっている事だと信じていましたので、対症療法に終始していたのです(私もダンパー室に実際に入ってみましたが確かに床はがたがたでした)。

 そこで、本当にそれが原因なのかを分析するために、ダンパーの図面を出してもらい、部分や部品の機能を分析して行くと意外な事がわかりました。図面に書いてあるのに、現場にない部品があったのです。ダンパーの改造に伴い、この部品は不要と考え取ってしまったようです。担当者が変わったときに申し送りが不十分でした。

 この部品を復活させたところ、毎月1回位発生していたダンパーの動作不良が、嘘のように無くなりました。ろ布の寿命も延びるというおまけまで付き、私も数億円もの投資を経営陣に勧めるという気の重い仕事から解放されました。 

 設備のたった1つの部品の役割が、この工場の生産量を左右していたのですから驚きです。部品の機能まで分析したことで、安定稼働につながったのです。


この記事の著者

石塚 健志

330件の指導実績/工場管理全般、中でも省エネルギー、歩留り・品質改善を得意とします

110プロジェクトの省エネルギーでの実績は平均15.6%の削減を達成しています。

無料会員登録でさらにあなたに特化した情報を手に入れましょう。

①「信頼性工学」の関連記事が掲載されたらメールでお知らせ

②専門家「石塚 健志」先生に記事内容について直接質問が可能

③他にも数々の特典があります。

すでに会員の方はこちらからログイン