「アウトソーシングを過信する」とは (その1)

 
SCM
 

1. アウトソースの考察

 多くの荷主会社がアウトソースを行うことで自社の物流が良くなると思っています。たしかに十分に準備し、アウトソース先に仕事の内容と依頼したい事項が明確になっている場合には成功することもあるでしょう。しかし単に物流がしっかりとできていないので専業者に任せれば改善するだろうという単純な発想では間違いなく失敗します。このことに気づいていない荷主会社が多いので、アウトソース成功のための留意点について述べていきたいと思います。
 
 そもそもなぜ物流業務をアウトソースしようとしているのでしょうか。その明確な理由を確認しておくことが重要です。大半の会社が「コストダウン」を挙げています。ちょっと経済産業省の調査データを見てみましょう。
 

【物流アウトソースのメリット】

(1) コストの明確化ができた
(2) コストの削減ができた
(3) 物流改善・効率化ができた
 
 やはり物流コストを何とかしたいという理由でアウトソースし、結果としてそれが達成できたという回答が上位を占めているようです。一方でメリットが無かったという回答があることにも注目すべきであると思います。これはアウトソースに対する期待値とその結果のギャップが大きかったということを示しているものだと言えるでしょう。
 

【物流アウトソースのデメリット】

(1) 従来内部で実施していた業務が外部化されることから、業務内の機密やノウハウが漏えいすることへ
  の懸念
(2) 当該業務が外部化されるため、それを理解できるスタッフが社内にいなくなること(業務のブラック
  ボックス化)への懸念。
(3) 導入部署での人員不足にともなうモラルの低下。
(4) きめ細い物流サービスが困難になるなどのサービス水準低下への懸念。
 
 これが荷主会社が物流アウトソースしたときに感じたデメリットです。以上のようなメリットとデメリットを考慮の上、アウトソースの是非について検討していくことが必要なのです。
 

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2. 物流仕様の伝え方

 荷主会社が物流業務をアウトソースする際にアウトソース先にやってほしい業務をはっきりと伝えることが重要になってきます。実はアウトソースに失敗する会社の特徴として「物流仕様を明確に伝えなかった」ということが挙げられます。荷主会社が陥りがちなことが「物流会社はプロなので詳しいことを伝えなくても大丈夫」だという思い込みです。しかし皆さんの会社がやってほしいことを相手に伝えない限り、物流アウトソースは成功しません。この当たり前なことに気づかない荷主会社が多いことには驚きです。
 
 そこでぜひ取り組んでいただきたいのが「物流仕様書」の作成です。どんな仕事を発注するのか、その仕事でアウトプットして欲しいことは何なのか、物流品質の基準はどのレベルなのか、などできるだけ詳細にまとめていきます。もし仕様書に示していなかった仕事が発注後に発生したとしたらどうなるでしょうか。それは物流会社側から新たな見積もりが出てくることになると思われます。そうなると発注時に決めていた価格よりも高くなるということになります。果たしてアウトソースした方が良かったのか、あるいは従来通り社内でやっていた方が良かったのか迷うごとになるでしょう。
 
 この仕様書には作業手順、作業ごとの標準時間、物流品質基準、物流量、輸送の場合は輸送頻度、大体の積載率、高速道路の仕様の有無などを記載する必要があります。さらに物流会社から改善提案が欲しい場合にはその旨を仕様書に記載します。そして契約期間中にはその改善提案を約束した分だけ提出してもらうようにします。この改善提案を定期的に提出してもらえるようなアウトソースは成功の部類に入ると思います。結構重要なアイテムですから、入札時には忘れずに物流会社に依頼しましょう。
 

3. 物流会社の評価とは

 物流アウトソースを行った時に「こんなはずではなかった」という思いを持たれる荷主会社が多いようです。このような思いはどこから出てくるのでしょうか。この思いのギャップの一つが前回お話させていただいた「仕様書」です。仕様書を作成せずに「多分物流会社は自分たちの考えている物流をやってくれるだろう」という勝手な思い込みを持つことは危険です。仕様書を提示しなければ物流会社側でやり方を決めてしまいます。皆さんの思惑とは違った結果となることが大なのです。
 
 それともう一つ「こんなはずではなかった」となる要因があります。それは物流会社の実力です。皆さんが物流会社は物流のプロだから、と思っていても、意外とそれほどでもないことにがっかりさせられることがあるのです。そこで物流会社にアウトソースする前に実施しておきたいのが「物流会社の評価」です。この基準は荷主会社がパートナーにはこういったレベルであってほしいという思いに基づいて決定します。評価項目はS(安全)・Q(品質)・D(納期)・C(コスト)・M(マネジメント)の5分野で設定していくのが良いでしょう。
 
 安全では過去の構内事故や交通事故の件数、安全教育の実施回数などを項目として設定します。その項目に対して5段階または4段階でレベルがわかるように評価基準を設定します。同様に品質では誤出荷率や輸送中のダメージ件数などを、デリバリーでは作業が予定時間通りできている比率、トラック出発や到着時刻の順守率を、コストでは年間改善件数やコスト削減率実績などを項目として設定します。マネジメントでは教育訓練計画通りに人材育成をしているかどうか、SQDC各項目の実績管理を実施しているかどうかなどについて項目として設定していきましょう。これら設定された項目を質問票にして物流会社に送付し、回答してもらいます。回答の際にはそのデータの裏付け資料を提出してもらうことで、その回答の正しさを担保するようにしましょう。この物流会社評価は物流会社のレベルを把握することが第一の目的ですが、もう一つ、皆さんの会社が真剣にパートナーとなって欲しい物流会社を探しているという真剣度が相手に伝えるという目的があります。
 
 次回も、アウトソーシングについて、解説を続けます。
  

この記事の著者

仙石 恵一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参きました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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