物流スタッフとアクティブラーニング

投稿日

1. マネジメント力を身につけてるには

SCM 
 物流スタッフを育成するためにいろいろと苦労されているかもしれません。日本では物流というとどちらかというとあまり重視されない業務ですから、昔から人材が不足していることは否めません。欧米では物流は一つの学問として体系立てられていますので、学生時代から理論を学んで企業に入ってきている人がたくさんいます。一方で日本でははっきり言って物流という体系だった学問は無いに等しいと言えるでしょう。マーケティングの一部、生産工学の一部で配送や運搬が取ら挙げられていますが、欧米ほどサプライチェーン全体の理論を大学では教えていません。ましてや義務教育の段階や高校においても物流について触れることは皆無といっても言い過ぎではありません。
 
 メーカーに入社された方も物流部門に配属されるとがっかりする方や、物流自体を知らない方が大半のようです。ただし、その人たちは入社以降に鍛える余地は多分にあります。ここはもう会社の責任として育てていくしかありません。知識を学ばせることは当然です。物流実務を体験させることも重要でしょう。実務が分からないと後々苦労することが明らかだからです。しかし、もう一つ学ばなければならないのはマネジメントです。マネジメントというと管理職の仕事だと思われる方も多いことでしょう。実際には簡単なチームをまとめていくにもマネジメント力が必要になります。これは学生時代でも必要な場面に遭遇していることと思います。  
 
 部活動で部員をまとめていくこともマネジメントです。アルバイトでリーダーを経験した方もいらっしゃるかもしれませんが、その時にもマネジメント力は必要だったと思います。物流スタッフにはこのマネジメント力が欠かせないのです。では、このマネジメント力はどのように身につけていったらよいでしょうか。一つは日々の業務の中でマネジメントを実践させることが挙げられます。目標管理を行わせ、チーム目標を達成するためにいろいろなことを体験させることです。もう一つは教育です。その時に有効になってくる手法がアクティブラーニングです。自ら主体的に学びに取り組むことで力を付けて行くことです。
 

2. グループワークの実行

 物流スタッフにマネジメント力を身につけていくための教育のやり方としてグループワークがあります。4~5名でグループをつくりテーマを与えます。そのテーマについてグループディスカッションし、解を導き出す研修です。なぜこの方式がよいのでしょうか。グループワークですから、参加者の皆さんの力を結集する必要があります。個々の力を合わせるためにはリーダーシップが必要です。各メンバーが役割を持ち、責任を持ってそれを果たしていくことでよりよい解を導き出すとともにグループ全体の力を発揮できるようにするのです。
 
 研修を企画する側にも工夫が必要です。一定のテーマを定め、解を導く前提条件を決定します。そしてそれ以外にも隠された条件を用意しておくとよいと思います。物流でいえば届け先の位置情報や出荷物量などです。これらは最初から参加者には開示せず、参加者から具体的に質問があった時点でその質問者にだけ開示します。同じテーマについて複数グループでグループワークを行うと、グループで差が出ることがわかります。発表の段階で自グループでは気づかなかったことを他グループでは情報として入手していることに驚くかもしれません。その反省を踏まえ、自分たちにはどのような行動が今後必要なのかを学びます。自分たちのアクションを通して学ぶタイプの学習なのでアクティブラーニングと呼ばれます。一方的な知識の伝授も必要でしょうが、このような「気づき」を学ぶことも重要です。知識の伝授のタイプだとすぐに忘れてしまうかもしれません。
 
 しかし、自ら行動して学んだことは早々に忘れることはありません。ですから今後の業務やマネジメントに直結するためにはこのようなタイプの学習が望ましいことは明らかです。アクティブラーニングに似た活動として現場での改善活動が挙げられます。実際の物流現場を見て、問題点を抽出し、それに対する対策を打つ活動です。改善活動は特に実体験しなければ身につかない類のものだと思われます。ですからこれもグループを組んで、競いながら実行していくとよいでしょう。
 

3. 2日間改善

 物流改善をグループで行うことは効果的です。一人だと気が付かないことを他のメンバーが気づくことがあります。いくつものアイデアを出さなければならない時に、他の人の意見はとても参考になりますし、勉強にもなります。グループで物流改善を行うのであれば、ぜひ「2日間改善」の手法で取り組んでみましょう。この改善はその名の通り、2日でやりきる改善です。改善の流れはQCストーリーです。もしかしたらQCに取り組んだことがない方もいらっしゃるかもしれません。そのような方にとってはQCについても学べる絶好の機会です。ぜひ2日間改善に取り組んでみましょ...

1. マネジメント力を身につけてるには

SCM 
 物流スタッフを育成するためにいろいろと苦労されているかもしれません。日本では物流というとどちらかというとあまり重視されない業務ですから、昔から人材が不足していることは否めません。欧米では物流は一つの学問として体系立てられていますので、学生時代から理論を学んで企業に入ってきている人がたくさんいます。一方で日本でははっきり言って物流という体系だった学問は無いに等しいと言えるでしょう。マーケティングの一部、生産工学の一部で配送や運搬が取ら挙げられていますが、欧米ほどサプライチェーン全体の理論を大学では教えていません。ましてや義務教育の段階や高校においても物流について触れることは皆無といっても言い過ぎではありません。
 
 メーカーに入社された方も物流部門に配属されるとがっかりする方や、物流自体を知らない方が大半のようです。ただし、その人たちは入社以降に鍛える余地は多分にあります。ここはもう会社の責任として育てていくしかありません。知識を学ばせることは当然です。物流実務を体験させることも重要でしょう。実務が分からないと後々苦労することが明らかだからです。しかし、もう一つ学ばなければならないのはマネジメントです。マネジメントというと管理職の仕事だと思われる方も多いことでしょう。実際には簡単なチームをまとめていくにもマネジメント力が必要になります。これは学生時代でも必要な場面に遭遇していることと思います。  
 
 部活動で部員をまとめていくこともマネジメントです。アルバイトでリーダーを経験した方もいらっしゃるかもしれませんが、その時にもマネジメント力は必要だったと思います。物流スタッフにはこのマネジメント力が欠かせないのです。では、このマネジメント力はどのように身につけていったらよいでしょうか。一つは日々の業務の中でマネジメントを実践させることが挙げられます。目標管理を行わせ、チーム目標を達成するためにいろいろなことを体験させることです。もう一つは教育です。その時に有効になってくる手法がアクティブラーニングです。自ら主体的に学びに取り組むことで力を付けて行くことです。
 

2. グループワークの実行

 物流スタッフにマネジメント力を身につけていくための教育のやり方としてグループワークがあります。4~5名でグループをつくりテーマを与えます。そのテーマについてグループディスカッションし、解を導き出す研修です。なぜこの方式がよいのでしょうか。グループワークですから、参加者の皆さんの力を結集する必要があります。個々の力を合わせるためにはリーダーシップが必要です。各メンバーが役割を持ち、責任を持ってそれを果たしていくことでよりよい解を導き出すとともにグループ全体の力を発揮できるようにするのです。
 
 研修を企画する側にも工夫が必要です。一定のテーマを定め、解を導く前提条件を決定します。そしてそれ以外にも隠された条件を用意しておくとよいと思います。物流でいえば届け先の位置情報や出荷物量などです。これらは最初から参加者には開示せず、参加者から具体的に質問があった時点でその質問者にだけ開示します。同じテーマについて複数グループでグループワークを行うと、グループで差が出ることがわかります。発表の段階で自グループでは気づかなかったことを他グループでは情報として入手していることに驚くかもしれません。その反省を踏まえ、自分たちにはどのような行動が今後必要なのかを学びます。自分たちのアクションを通して学ぶタイプの学習なのでアクティブラーニングと呼ばれます。一方的な知識の伝授も必要でしょうが、このような「気づき」を学ぶことも重要です。知識の伝授のタイプだとすぐに忘れてしまうかもしれません。
 
 しかし、自ら行動して学んだことは早々に忘れることはありません。ですから今後の業務やマネジメントに直結するためにはこのようなタイプの学習が望ましいことは明らかです。アクティブラーニングに似た活動として現場での改善活動が挙げられます。実際の物流現場を見て、問題点を抽出し、それに対する対策を打つ活動です。改善活動は特に実体験しなければ身につかない類のものだと思われます。ですからこれもグループを組んで、競いながら実行していくとよいでしょう。
 

3. 2日間改善

 物流改善をグループで行うことは効果的です。一人だと気が付かないことを他のメンバーが気づくことがあります。いくつものアイデアを出さなければならない時に、他の人の意見はとても参考になりますし、勉強にもなります。グループで物流改善を行うのであれば、ぜひ「2日間改善」の手法で取り組んでみましょう。この改善はその名の通り、2日でやりきる改善です。改善の流れはQCストーリーです。もしかしたらQCに取り組んだことがない方もいらっしゃるかもしれません。そのような方にとってはQCについても学べる絶好の機会です。ぜひ2日間改善に取り組んでみましょう。
 
 2日間でやりきるためには「タイムマネジメント」が重要になってきます。ビジネスは納期ありき、ですからその感覚が身についていないと失敗することがあります。この改善ではこのタイムマネジメントについても習得することができます。そして何よりも限られた時間内でアウトプットを出すという習慣が身につくことが大きいのではないでしょうか。何事も手が付かない、やってみようとしても時間がかかりすぎる、このような職場あるいはスタッフは少なからず存在します。この悪習慣を断ち切るためにも納期を区切り、一定の目標を達成するしかけのある勉強の仕方が効果的でしょう。自分たちで時間を管理し、自分たちで改善アイデアを考え、自分たちでアウトプットを出す。
 
 これがこの2日間改善を通したアクティブラーニングの肝です。知識の習得プロセスだけでは不十分です。必ずアウトプットを伴う勉強が必要なのです。スタッフの水準を向上し企業の成長につなげるためには知識の伝授だけでは不十分です。それを使って改善等を行い、会社の収益向上に貢献させることが求められるのです。そのためにぜひアクティブラーニング手法を取り入れていきましょう。きっと会社に変化が見られることでしょう。
  

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その6)

第6回 道具4「物流会社選定ツール」(下) 前回のその5に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ6】回答...

第6回 道具4「物流会社選定ツール」(下) 前回のその5に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ6】回答...


サプライチェーンのモデル化

 欠品を生じさせず、しかも在庫を少なくできるように、業務の足腰を鍛えて速度を制御する能力を磨く「熟練」もサプライチェーンの重要な法則です。この時...

 欠品を生じさせず、しかも在庫を少なくできるように、業務の足腰を鍛えて速度を制御する能力を磨く「熟練」もサプライチェーンの重要な法則です。この時...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その3)

  1.「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」はSCMの行動指針    行動指針の見方・考え方については、その1、その...

  1.「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」はSCMの行動指針    行動指針の見方・考え方については、その1、その...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
通販物流と日本の物流実力値 私たちの物流実力値(その1)

        筆者はよくセミナーで宅配物流(通販物流)の話をします。今までではほとんどマイナーであった通信販売が当たり前となり、それを支える物流が...

        筆者はよくセミナーで宅配物流(通販物流)の話をします。今までではほとんどマイナーであった通信販売が当たり前となり、それを支える物流が...


物流リスクマネジメント

1. 労働災害リスク  ビジネス界では常にさまざまなリスクを考慮しながら経営を実行しています。経営はリスクと裏腹ともいえるでしょう。物流も例外ではあ...

1. 労働災害リスク  ビジネス界では常にさまざまなリスクを考慮しながら経営を実行しています。経営はリスクと裏腹ともいえるでしょう。物流も例外ではあ...


サプライヤーの生産工程は自社の前工程:物流の改善ポイント(その3)

  ◆サプライヤー支援 台車を使って在庫コントロールする方式を「台車カンバン方式」と呼びます。台車カンバン方式を導入することで秩序ある生...

  ◆サプライヤー支援 台車を使って在庫コントロールする方式を「台車カンバン方式」と呼びます。台車カンバン方式を導入することで秩序ある生...