永続地帯: 新環境経営 (その43)

 
 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、その後、省エネ、創エネ、畜エネについて紹介してきました。現在は永続地帯について紹介しています。今回は、永続地帯の最終回として、社会を持続可能とするための、資本ストックについて紹介します。
 

1. 社会資本ストック

 人口減少、超高齢化社会において、社会を持続可能するためには、社会を支える資本ストック(人的資本、人工資本、自然資本、社会関係資本、金融資本)の健全な維持と、世代間継承が必要です。そのためには、資本ストックの将来推移を予測して、それらの適切な維持・管理・活用(ストックマネージメント)を検討し包括的に地域をデザインすることが求められます。これまでの経済運営は、国内総生産(GDP)に象徴される、経済活動のフローに着目した指標を中心に行われてきました。これは、経済が成長する局面では適切な「ものさし」でしたが、人口が減少局面に差し掛かり、如何にして地域経済の持続可能性を確保するかが課題となる局面では適切な「ものさし」とは言えません。社会資本ストックには、次の5種類があります。
 
(1) 人的資本(ひとストック)
(2) 人工資本(ものストック)
(3) 自然資本(しぜんストック)
(4) 社会関係資本(しくみストック)
(5) 金融資本(おかねストック)
 
(1) 人的資本(ひとストック):地域を支える人を将来にわたって確保。
(2) 人工資本(ものストック):建物や、道路、管路などのインフラストラクチャーが適切に確保。
(3) 自然資本(しぜんストック):地域の自然の恵みを将来にわたって活用。
(4) 社会関係資本(しくみストック):他人を思いやり信頼する人間関係を将来にわたって維持。
(5) 金融資本(おかねストック):財政的な各種基金や、民間の貯蓄。
 
 戦後復興の高度経済成長時代は、輸出によりフローを膨らませながら、少しずつストックを蓄積してきましたが、人口減少、超高齢化社会においては、社会資本としての、5つの観点からストックを捉え直す必要があります。
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2. 持続部門と成長部門

 永続地帯を研究しているチームでは、ストックのメンテナンスを行う部門を「持続部門」、生産フロ-の拡大を目指す経済部門を「成長部門」と捉えています。モノの生産・販売は世界市場で競争力を確保する必要があります。又、化石燃料、鉱物資源などは安定的に輸入する必要があります。資源を輸入するためには、モノや知的財産などの輸出によって、外貨を稼ぐ必要があり、「成長部門」は国によって育成される必要があります。
 
 一方、経済を支える資本ストックは、ローカルに状況が異なるため、そのメンテナンスを行う経済部門である「持続部門」を育成するための政策は、主に地方自治体が担うことになります。社会資本ストックを維持発展させる「持続部門」は地方であり、自治体とそこに住む住民が、主体的に関わらないと成就できないものです。2015年から2017年にかけて、「米国の指導力の一層の低下」「北朝鮮有事」「中国の対外的拡張」「中国経済成長の急速な低下」「テロ」「中東の紛争」等のリスクがあり、世界が連動して揺れ動いています。これまでのグローバル化による経済成長の流れに、明らかな変調の兆しが見えます。これらのことから、これからの時代は、身の回りの社会資本ストックの維持、発展に注力すべきことが示唆されているように考えられます。
 
 永続地帯の紹介は、今回で終了します。
  

この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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