クリーン化の目的 (その2) 品質向上

 前々回は、クリーン化の目的の総論を解説しました。クリーン化の目的は、主に次の4点と考えています。今回は、前回の(1)歩留まり向上、コスト削減 に続いて、(2)品質向上、特にゴミによる品質問題、クレームを出さないことについて解説します。
 
   (1)歩留まりを向上させ、コスト削減に貢献すること
   (2)品質向上、特にゴミによる品質問題、クレームを出さないこと
   (3)CSの向上(Audit対応)、翻ってCSの向上につなげること
   (4)生産設備、付帯設備の予防保全、延命化に貢献すること
 

1. 信頼性問題

 
品質向上
品質向上ということでは、前回の歩留まりを上げてコスト削減に貢献することと同じことですが、歩留まり向上は工場での生産中でのことです。今回は取引先や、市場に出てしまった場合の品質問題、つまり信頼性の問題のことを説明します。
 
 自分たちの会社や工場を出てしまってから品質問題が発生すると、自分たちの会社もお客様も相互に大きな被害を被ります。最近は、効率生産や工場の稼働時間の延長などが進み、大量生産が可能になりました。従って、どこかの工程で品質問題が起き、発見が遅れると、大量生産=大量不良生産にも繋がります。これらには、工場で生産中に品質異常になったものが流出することや、市場に出てから不具合が発生するものがあります。例えば、半導体では、加工中にゴミで配線がわずかに細くなっていたとします。これが電気特性検査などでは、問題にならなくてパスするかもしれません。ところが、配線の細い部分を常時電気が通る場合、時間の経過とともに発熱するということも考えられます。劣化して不良品になるかも知れないということです。半導体製造では、写真技術を用い、繰り返し同じ加工をするので、不良品も大量生産されることが考えられます。
 
 これらが市場に出てしまってから品質問題を引き起こしたり、クレームになったりすると、同時期に同条件で加工された製品を全数回収することになるかもしれません。ただし、その数は膨大ですから不可能かもしれません。
 
 ゴミによる品質問題ではないですが、最近ではストーブや加湿器、化粧品などで広告やTVを通じて回収を呼び掛けているのを良く目にします。内容によっては、何年も継続して回収を呼びかけているものもあります。また、直近では通信機器が発火する事例もあり、機内への持ち込みが制限されるケースもありました。市場に出てしまうとそれだけ大変なことです。
 
 自動車のリコールも同じです。大量生産しているので、対象が非常に多くなります。しかも多方面へ輸出しているので、本当に修理や部品交換が十分にできているのか疑問です。自分の車がリコールの対象であっても、修理工場に持っていく時間や余裕がないなどの理由で対応しないでいる場合もあると思います。
 
 これらは、いずれもお客様に多大な迷惑をかけてしまうことです。製造側も回収の費用や保証、お客様にとっても手間や不便なこと、手数がかかるなど様々な問題が起きます。一度嫌なことを経験したお客様は、次には他社製品にするなど客離れも生じます。
 

2. ものづくりの心

 グッドマンの第二法則というのがあります。簡単に言うと悪い情報は口コミで拡がり、そのスピードは速く、より広範囲に拡散するということだそうです。近年はネットなど情報が拡がる手段は多様化しているので、企業の信頼性への影響も甚大なものになります。
 
 本来は、悪いことほど早く情報を出し、迅速に対応すべきなのですが、そのことを伏せたり、遅れることもあります。情報公開が遅れると、単に言い訳に聞こえてしまいます。その間に、会社が経営的にも、そして顧客との信頼関係の面でも致命的な状態に発展することも考えられます。
 
 各メーカーでは、『大切なお客様のために』とか『お客様満足度No.1』、『より良いサービスを提供する』などお客様を意識したキャッチフレーズが溢れています。ところがその言葉だけが独り歩きしているとか、掛け声だけになっている、遊離しているような気がすると思うこともあります。
 
 CSR(企業の社会的責任、信頼経営)やPL法(製造物責任)、危機管理など色々な言葉や法律があります。これらを遵守することだけに縛られず、自ら進んで良いものを作り出す努力をして、真の信頼経営に貢献したいものです。経営者から一般の従業員まで、心を込めて品質の作り込みをする。そしてその自社製品を自信と誇り、そして愛着を持って送り出していく努力を継続する。ここには『ものづくりの心』が存在し、ひいては会社の存在価値が創造されていくものと思います。
   

この記事の著者

清水 英範

ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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