歩留まり向上、コスト削減 クリーン化の目的 (その1)

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 前回は、クリーン化の目的の総論を解説しましたが、今回から、クリーン化の目的を具体的に説明します。クリーン化の目的は、主に次の4点と考えています。今回は、(1)歩留まりを向上させ、コスト削減に貢献することについて解説します。
 
   (1)歩留まりを向上させ、コスト削減に貢献すること
   (2)品質向上、特にゴミによる品質問題、クレームを出さないこと
   (3)CSの向上(Audit対応)、翻ってCSの向上につなげること
   (4)生産設備、付帯設備の予防保全、延命化に貢献すること
 

1. 設計品質と作り込み品質 

 クリーン化ものづくり企業では、どんなに設計品質が良くても、どんなに良い加工技術を持っていても、実際に製品として具現化するのは現場です。設計品質と作り込み品質のバランスがうまく取れていることが理想です。現場が汚れていたり、ゴミが沢山あるようでは良い製品は作れません。ものづくりの現場では、割と多いのがゴミの問題ではないかと推測します。そのことをきちんと認識している企業と、意識が薄い企業では、ものづくり基盤の強さに差が出ます。例えば歩留まり、生産性、コスト、利益、安全、お客様の信頼性などです。
 
 ゴミの問題を真剣に改善したいと考えている企業もあれば、製品を作る、加工するということだけに注力していて、ゴミに意識が向いていないところもあります。色々話を聞いてみると、日々作ることだけが精一杯で掃除などは余計な仕事と認識している例が多いようです。何とかゴミ退治をしたいと日々苦労しているところでは、色々な活動をしていたり、掃除の仕方を工夫したりしています。こういうところには、ノウハウ、アイデアを提供すると、多面的に見たり考えたりすることが出来てきてどんどん良くなります。
 
 ゴミで製品品質を低下させてしまうと不良品が多くなるので、お客様への約束(QCD)が守れなくなります。不良率が高いと、原料を余分に投入する必要があります。やり直し、手直しが頻繁に起きると工場内で滞留するものが多くなり、工数も余分にかかり、納期が守れません。これは、在庫が膨らむということで、客先や市場に出ないということです。この処理のため残業や休日出勤が多くなり、不良品の補てんや、やり直し、手直しで忙しいという場合もあります。これは、忙しいわりに儲からない仕事、いわゆるロスです。こうなると残業代や休日出勤手当など人件費の比率が高くなります。
 
 在庫が多いと、売上高が上がらず現金回収が思うようにいきません。極端な場合、在庫を抱えて資金繰りに苦しむとか、倒産するということにもなりかねません。ゴミでこのような問題を起こさないよう、クリーン化活動を進めていくことは、製品の歩留まりが向上し、在庫回転率も速くなり、現金回収が速くできます。その過程でかかる余分な費用、工数も減りますから、コスト削減に貢献できるわけです。こうなると利益が増え、客先、或いは一般のお客様の信頼を得るわけで、会社の存続に繋がっていきます。つまり良いスパイラルに乗るということです。
 

2. 幅広いクリーン化活動とは

 クリーン化はお金がかかるとか、指導に来た先生でも、もっとお金をかけなさいと言う方もいるようです。ところが、これらの活動は、実際にやってみるとお金をかけないでできることが沢山あることがわかります。人の頭の中にある無限の知恵や工夫を活用するのです。また行き詰まった時には、違う環境の人にアドバイスを貰うなどすれば、道が開けます。ただ活動すれば良いのではなく、クリーン化の基礎...
 前回は、クリーン化の目的の総論を解説しましたが、今回から、クリーン化の目的を具体的に説明します。クリーン化の目的は、主に次の4点と考えています。今回は、(1)歩留まりを向上させ、コスト削減に貢献することについて解説します。
 
   (1)歩留まりを向上させ、コスト削減に貢献すること
   (2)品質向上、特にゴミによる品質問題、クレームを出さないこと
   (3)CSの向上(Audit対応)、翻ってCSの向上につなげること
   (4)生産設備、付帯設備の予防保全、延命化に貢献すること
 

1. 設計品質と作り込み品質 

 クリーン化ものづくり企業では、どんなに設計品質が良くても、どんなに良い加工技術を持っていても、実際に製品として具現化するのは現場です。設計品質と作り込み品質のバランスがうまく取れていることが理想です。現場が汚れていたり、ゴミが沢山あるようでは良い製品は作れません。ものづくりの現場では、割と多いのがゴミの問題ではないかと推測します。そのことをきちんと認識している企業と、意識が薄い企業では、ものづくり基盤の強さに差が出ます。例えば歩留まり、生産性、コスト、利益、安全、お客様の信頼性などです。
 
 ゴミの問題を真剣に改善したいと考えている企業もあれば、製品を作る、加工するということだけに注力していて、ゴミに意識が向いていないところもあります。色々話を聞いてみると、日々作ることだけが精一杯で掃除などは余計な仕事と認識している例が多いようです。何とかゴミ退治をしたいと日々苦労しているところでは、色々な活動をしていたり、掃除の仕方を工夫したりしています。こういうところには、ノウハウ、アイデアを提供すると、多面的に見たり考えたりすることが出来てきてどんどん良くなります。
 
 ゴミで製品品質を低下させてしまうと不良品が多くなるので、お客様への約束(QCD)が守れなくなります。不良率が高いと、原料を余分に投入する必要があります。やり直し、手直しが頻繁に起きると工場内で滞留するものが多くなり、工数も余分にかかり、納期が守れません。これは、在庫が膨らむということで、客先や市場に出ないということです。この処理のため残業や休日出勤が多くなり、不良品の補てんや、やり直し、手直しで忙しいという場合もあります。これは、忙しいわりに儲からない仕事、いわゆるロスです。こうなると残業代や休日出勤手当など人件費の比率が高くなります。
 
 在庫が多いと、売上高が上がらず現金回収が思うようにいきません。極端な場合、在庫を抱えて資金繰りに苦しむとか、倒産するということにもなりかねません。ゴミでこのような問題を起こさないよう、クリーン化活動を進めていくことは、製品の歩留まりが向上し、在庫回転率も速くなり、現金回収が速くできます。その過程でかかる余分な費用、工数も減りますから、コスト削減に貢献できるわけです。こうなると利益が増え、客先、或いは一般のお客様の信頼を得るわけで、会社の存続に繋がっていきます。つまり良いスパイラルに乗るということです。
 

2. 幅広いクリーン化活動とは

 クリーン化はお金がかかるとか、指導に来た先生でも、もっとお金をかけなさいと言う方もいるようです。ところが、これらの活動は、実際にやってみるとお金をかけないでできることが沢山あることがわかります。人の頭の中にある無限の知恵や工夫を活用するのです。また行き詰まった時には、違う環境の人にアドバイスを貰うなどすれば、道が開けます。ただ活動すれば良いのではなく、クリーン化の基礎知識を持って対応しないと、お金をかけても、効果が出ないということになります。
 
 私も国内、海外の色々な工場の指導をしてきましたが、こんなことを誰が考えたのかと聞きたくなることがしばしばありました。自分の、或いは自分たちの考えることは似通っていたり、行き詰まることがありますが、現状を打破するために、異業種交流をするのも良いと思います。視野が広がったり、見方が変わったり、自分たちの常識が、案外常識ではなかったということを知る機会になります。そして多面的にものを見たり、考えたりするようになります。クリーン化を進める過程は、ある意味人財育成の場でもあります。色々な方法を考えてみましょう。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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