サプライチェーンとしての物流設計:真の物流事業者(その1)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆サプライチェーンとしての物流設計

日本では古くからトラックなどを使って運送を行う事業者を運送事業者、倉庫で保管業務を行う事業者を倉庫事業者と呼んできました。モノの流れをトータルで見ていくと、一時ストックを行いながらモノを運んでいくという行為が自然に発生します。

 

そこで、モノの保管と運送を合わせたところで「物流」と呼ぶようになりました。そしてこの保管と運送の両方ができる事業者を物流事業者と呼ぶようになったわけです。

 

少し物流の領域が広がったためにこのように呼ばれるようになったわけですが、一般的に物流という解釈では単純な保管や運送にとどまらず、その行為をコントロールする管理業務の方が重視されるようになりつつあります。

 

さらに物流は最初の設計でその効率は決定してしまうため、物流発生以前の活動がより重視されてしかるべきです。これを物流設計と呼んだ場合、その設計業務ができる会社こそ、「物流事業者」と呼ぶにふさわしい存在であると考えられるのです。

 

それはサプライチェーン設計の一部であると思われます。どこからモノを調達し、どこで生産を行い、どこに販売するのか。これをつないでいくことが物流の役割でもあるのです。では、今の物流事業者がこの重要業務を行っているかといえば、それは、ほとんど手が付けられていません。むしろこの物流設計業務はサプライチェーンのホルダーである、物流用語でいうところの「荷主企業」が行っています。

 

今現在、物流設計業務ができる主たる「物流事業者」は「自動車メーカー」であると思われます。日本では最も進んだサプライチェーンを構築しているのは、自動車メーカーです。もちろん、彼らは知らず知らずのうちに物流設計業務を始め、グローバルで...

サプライチェーンマネジメント

 

◆サプライチェーンとしての物流設計

日本では古くからトラックなどを使って運送を行う事業者を運送事業者、倉庫で保管業務を行う事業者を倉庫事業者と呼んできました。モノの流れをトータルで見ていくと、一時ストックを行いながらモノを運んでいくという行為が自然に発生します。

 

そこで、モノの保管と運送を合わせたところで「物流」と呼ぶようになりました。そしてこの保管と運送の両方ができる事業者を物流事業者と呼ぶようになったわけです。

 

少し物流の領域が広がったためにこのように呼ばれるようになったわけですが、一般的に物流という解釈では単純な保管や運送にとどまらず、その行為をコントロールする管理業務の方が重視されるようになりつつあります。

 

さらに物流は最初の設計でその効率は決定してしまうため、物流発生以前の活動がより重視されてしかるべきです。これを物流設計と呼んだ場合、その設計業務ができる会社こそ、「物流事業者」と呼ぶにふさわしい存在であると考えられるのです。

 

それはサプライチェーン設計の一部であると思われます。どこからモノを調達し、どこで生産を行い、どこに販売するのか。これをつないでいくことが物流の役割でもあるのです。では、今の物流事業者がこの重要業務を行っているかといえば、それは、ほとんど手が付けられていません。むしろこの物流設計業務はサプライチェーンのホルダーである、物流用語でいうところの「荷主企業」が行っています。

 

今現在、物流設計業務ができる主たる「物流事業者」は「自動車メーカー」であると思われます。日本では最も進んだサプライチェーンを構築しているのは、自動車メーカーです。もちろん、彼らは知らず知らずのうちに物流設計業務を始め、グローバルで展開しています。元々は物流を専門にやってきた人ではなく、生産技術や生産管理を行ってきたメンバーなのです。では、一般的に物流事業者と呼ばれる業界に物流設計業務ができず、それがメーカーにできるのは何故でしょうか。

 

これは仕事の取組み領域にヒントがある気がします。次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンとはなにか

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...


サプライチェーンマネジメントの背景と効果実現に向けた考え方(その2)

 前回のその1に続いて解説します。 4.様々な業界におけるSCM  SCMではサプライチェーンのボトルネックを管理することで効果の最大化を狙います...

 前回のその1に続いて解説します。 4.様々な業界におけるSCM  SCMではサプライチェーンのボトルネックを管理することで効果の最大化を狙います...


配送のジャストインタイム、クロスドッキングとは

   物流は、メーカーの工場から小売店への小口配送までの間に、卸またはメーカーの物流倉庫という大口の配送・保管工程が介在するのが一般的です...

   物流は、メーカーの工場から小売店への小口配送までの間に、卸またはメーカーの物流倉庫という大口の配送・保管工程が介在するのが一般的です...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
  在庫管理の4原則:倉庫改善を推進せよ(その2)

  ◆在庫管理の4原則 1Sができたところで、次に保管エリアと通路の区分を行いましょう。両エリアを白線で区切ること。そして各エリアの床を...

  ◆在庫管理の4原則 1Sができたところで、次に保管エリアと通路の区分を行いましょう。両エリアを白線で区切ること。そして各エリアの床を...


コンプライアンス意識を持とう:ルールの確立と徹底した教育

  ◆ 社員教育を実施する  ルールはそれがあってはじめて、遵守するという行動につながります。  皆さんの会社では社内ルールはきちんと...

  ◆ 社員教育を実施する  ルールはそれがあってはじめて、遵守するという行動につながります。  皆さんの会社では社内ルールはきちんと...


物流の適正価格とは、想定外を排除しビジネス自体を適正に

【目次】 1. 自由化市場での原則 物流業界では運送について、今の価格が安すぎるのではないかということがあるので「適正価格」という...

【目次】 1. 自由化市場での原則 物流業界では運送について、今の価格が安すぎるのではないかということがあるので「適正価格」という...