物流ツールの共同利用:共同物流に取り組む(その2)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 物流ツールの共同利用

共同物流は、そういった発想が頭の中になかった方もいらっしゃるかもしれません。しかし今後は確実に増えていくアイテムでもあるため、共同化のポイントについて知っておいていただければ、と思います。

 

まず物流ツールを共同利用することについて考えてみましょう。実際にビール業界で行われていますが、パレットや容器の共同化があります。これはツール共同利用の典型でしょう。業界でパレットや容器のモジュールを共通化します。そして各社その容器等を使うことをルールとします。各社で個別に保有することが一般的ですが、共通化することで次のようなメリットが挙げられます。

 

  1. 各社単独で保有すると繁閑差が生じたときに買い増しや遊休容器等が発生しやすいのですが、容器等を業界全体で保有することでこのようなリスクを回避できると考えられます。
  2. 容器等の購入価格も量がまとまっての発注となるため、各社単独で購入するときよりも安価に購入できる可能性があります。


そしてモジュールが共通化されるメリットとして、輸送時の混載(積み重ね)がしやすくなります。結果的に共同輸送がやりやすくなり、その効果を享受することができるようになります。

 

このツールの共同利用ですが、パレットや容器以外に情報システムも挙げられます。こちらの方は難度が上がるため、それほど成功事例は多くありませんが、考えられるアイテムであることに間違いありません。次に仕事のしくみとしての共同化について考えていきましょう。しくみとして最も効果があるものは輸配送でしょう。

 

隣同士に工場があり、同一顧客にモノを運んでいるにもかかわらず、個別に運送会社と契約し、別々に配車しているという事例は後を絶ちません。これは同じ工場でもあり得る事例です。部署が違うために別々にトラックを仕立てているのです。しかもそのトラックの積載率がそ...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 物流ツールの共同利用

共同物流は、そういった発想が頭の中になかった方もいらっしゃるかもしれません。しかし今後は確実に増えていくアイテムでもあるため、共同化のポイントについて知っておいていただければ、と思います。

 

まず物流ツールを共同利用することについて考えてみましょう。実際にビール業界で行われていますが、パレットや容器の共同化があります。これはツール共同利用の典型でしょう。業界でパレットや容器のモジュールを共通化します。そして各社その容器等を使うことをルールとします。各社で個別に保有することが一般的ですが、共通化することで次のようなメリットが挙げられます。

 

  1. 各社単独で保有すると繁閑差が生じたときに買い増しや遊休容器等が発生しやすいのですが、容器等を業界全体で保有することでこのようなリスクを回避できると考えられます。
  2. 容器等の購入価格も量がまとまっての発注となるため、各社単独で購入するときよりも安価に購入できる可能性があります。


そしてモジュールが共通化されるメリットとして、輸送時の混載(積み重ね)がしやすくなります。結果的に共同輸送がやりやすくなり、その効果を享受することができるようになります。

 

このツールの共同利用ですが、パレットや容器以外に情報システムも挙げられます。こちらの方は難度が上がるため、それほど成功事例は多くありませんが、考えられるアイテムであることに間違いありません。次に仕事のしくみとしての共同化について考えていきましょう。しくみとして最も効果があるものは輸配送でしょう。

 

隣同士に工場があり、同一顧客にモノを運んでいるにもかかわらず、個別に運送会社と契約し、別々に配車しているという事例は後を絶ちません。これは同じ工場でもあり得る事例です。部署が違うために別々にトラックを仕立てているのです。しかもそのトラックの積載率がそれぞれ50%未満だという笑えない状況があるのです。

 

物理的に共同輸配送は難しくありません。近隣地域発で同一地域向けの荷があれば、それを混載していくのです。そうは言っても実際の輸配送の成功事例が多いわけではありません。では何がネックになって進まないのでしょうか。この点から考えてみたいと思います。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


関連する他の活用事例

もっと見る
物流標準時間を導入する 物流作業計画の重要性(その3)

       標準時間は自分の会社で決めればよいのです。ただし、自社の基準が甘すぎると他社には勝てないという事実があります。しかし物流では大方の会社...

       標準時間は自分の会社で決めればよいのです。ただし、自社の基準が甘すぎると他社には勝てないという事実があります。しかし物流では大方の会社...


  物流の重要性:物流の地位向上とは(その1)

  ◆物流の重要性 物流の仕事に少しでも関わったことがある方ならわかることですが、物流の地位は残念ながら低いと言わざるを得ません。私たち...

  ◆物流の重要性 物流の仕事に少しでも関わったことがある方ならわかることですが、物流の地位は残念ながら低いと言わざるを得ません。私たち...


物流とスキル

1. 輸送のスキルとは  物流の仕事は専門性が強いものと思われます。何故なら多くの会社が物流業務をアウトソースしているからです。自社で簡単にできるの...

1. 輸送のスキルとは  物流の仕事は専門性が強いものと思われます。何故なら多くの会社が物流業務をアウトソースしているからです。自社で簡単にできるの...