日本物流は通用しない:海外物流での勘所(その2)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆日本物流は通用しない

日本だけの知識では海外で仕事をすることはできません。前回お話したような「おかしな現象」を引き起こしてしまっては効率を阻害しかねません。私たち日本人が注意しなければならないことは「海外で通用する物流」を研究することではないでしょうか。

 

できれば物流担当者であれば海外に出かけて行って、自分の目で海外物流を確認することが大切だと思います。

 

北米では鉄道でダイナミックな輸送を行っていますし、トレーラー輸送も一回に運べる量が多く、混載による効率輸送に適しています。もし中国でビジネスを行うのであれば、この北米物流を参考にすべきではないでしょうか。多くの日本の物流指導者が日本の物流が最も進んでいるような話をしますが、これは間違っています。

 

日本では道路舗装の状況もよく、輸送距離も短距離です。日本列島が小さく、人のモラルも高いため、物流が最もやりやすい国ではないでしょうか。日本では倉庫でものが無くなるということは多くはありません。輸送途上でものが盗まれたり、強盗に出会ったりすることもほとんど無いでしょう。

 

これほど余分なことに気を使わずに物流の仕事をできる国は珍しいかもしれません。その国で行っている物流の方法をそのまま海外で当てはめようと考えている人が多いことに驚きます。日本では性善説が成り立っても、海外でそれが成り立つとは限りません。悲しいことかもしれませんが、従業員による窃盗は考慮しておかなければならないのです。

 

メーカーが海外で工場を建設する際には港とのアクセスや顧客への配送を考慮して立地を検討する必要があります。通関にかかる日数や輸出入のリードタイムを考えて在庫設定をする必要があります。物流作業者のための作業標準をしっかりと定め、その通りに業務を行うような指導プログラムも必要になってくることでしょう。

 

日本では部下がある程度上司の思いを察して仕事をしてくれます。ここは「腹芸」が効いていて、事細かな指示が無くても仕事が進む傾向があります。しか...

サプライチェーンマネジメント

 

◆日本物流は通用しない

日本だけの知識では海外で仕事をすることはできません。前回お話したような「おかしな現象」を引き起こしてしまっては効率を阻害しかねません。私たち日本人が注意しなければならないことは「海外で通用する物流」を研究することではないでしょうか。

 

できれば物流担当者であれば海外に出かけて行って、自分の目で海外物流を確認することが大切だと思います。

 

北米では鉄道でダイナミックな輸送を行っていますし、トレーラー輸送も一回に運べる量が多く、混載による効率輸送に適しています。もし中国でビジネスを行うのであれば、この北米物流を参考にすべきではないでしょうか。多くの日本の物流指導者が日本の物流が最も進んでいるような話をしますが、これは間違っています。

 

日本では道路舗装の状況もよく、輸送距離も短距離です。日本列島が小さく、人のモラルも高いため、物流が最もやりやすい国ではないでしょうか。日本では倉庫でものが無くなるということは多くはありません。輸送途上でものが盗まれたり、強盗に出会ったりすることもほとんど無いでしょう。

 

これほど余分なことに気を使わずに物流の仕事をできる国は珍しいかもしれません。その国で行っている物流の方法をそのまま海外で当てはめようと考えている人が多いことに驚きます。日本では性善説が成り立っても、海外でそれが成り立つとは限りません。悲しいことかもしれませんが、従業員による窃盗は考慮しておかなければならないのです。

 

メーカーが海外で工場を建設する際には港とのアクセスや顧客への配送を考慮して立地を検討する必要があります。通関にかかる日数や輸出入のリードタイムを考えて在庫設定をする必要があります。物流作業者のための作業標準をしっかりと定め、その通りに業務を行うような指導プログラムも必要になってくることでしょう。

 

日本では部下がある程度上司の思いを察して仕事をしてくれます。ここは「腹芸」が効いていて、事細かな指示が無くても仕事が進む傾向があります。しかし海外ではこのようなことは成り立ちません。現場監督者は特にきっちりしとした指示を出さなければ部下は期待外れの仕事をする可能性があります。

 

これは部下の責任でしょうか?いいえ、ほとんどが監督者の責任だと考えて間違いないと思います。海外で物流業務を行うのであれば、まず監督者の教育が必要です。

 

次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
自動車産業、モジュール部品メーカーが完成車の品質を保証する

 モジュールサプライヤー、例えばトヨタ系列でいえば部品メーカーのデンソーやアイシン精機、またGMの部品製造部門が切り離されて独立したデルファイ、そしてドイ...

 モジュールサプライヤー、例えばトヨタ系列でいえば部品メーカーのデンソーやアイシン精機、またGMの部品製造部門が切り離されて独立したデルファイ、そしてドイ...


SCMの一環としての輸送とは 儲ける輸送改善 (その3)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


第3のSCM: 社会変革共創を前提とした唯一の戦略 

           1. 既存と異なるSCMを考える  前回の「第3のSCM: 複雑系・安定・利益」では、需要か制約と同期させる既存以外のSCM...

           1. 既存と異なるSCMを考える  前回の「第3のSCM: 複雑系・安定・利益」では、需要か制約と同期させる既存以外のSCM...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
確実な荷揃えの実施 出荷物流を改善しよう(その1)

        皆さん物流にはどのようなカテゴリーがあるかご存知でしょうか。物は大抵「入って出ていく」性質のものです。そのように考えると、物流は大き...

        皆さん物流にはどのようなカテゴリーがあるかご存知でしょうか。物は大抵「入って出ていく」性質のものです。そのように考えると、物流は大き...


倉庫の容積をフル活用 保有能力を目いっぱい使おう(その3)

       1. 倉庫空間  物流の保有能力はトラックやフォークリフトなどの設備に限りません。倉庫でも同様のことが言えるのです。それが倉庫ス...

       1. 倉庫空間  物流の保有能力はトラックやフォークリフトなどの設備に限りません。倉庫でも同様のことが言えるのです。それが倉庫ス...


BCPの基本方針 物流BCPについて考える(その8)

         【物流BCPについて考える 連載目次】 1. 事業継続を脅かすリスク ...

         【物流BCPについて考える 連載目次】 1. 事業継続を脅かすリスク ...