荷役安全と運輸安全マネジメント:物流安全の勘所(その1)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 荷役安全と運輸安全マネジメント

 物流は特に安全上の注意が必要な業務ですが、どんな仕事であれ安全第一であることは間違いありません。今回は、物流安全について考えてみたいと思います。まず労災保険率(令和3年度)について確認していきましょう。特に物流に関係する業種とその保険率は以下の通りとなります。

 

【物流に関係する業種とその保険率】(単位は1/1000)

  • 交通運輸事業    : 4
  • 貨物取扱事業    : 9
  • 港湾貨物取扱事業  : 9
  • 港湾荷役業     :13
  • 倉庫業       : 6.5

          

 この保険率が大きければ大きいほど危険な仕事だと考えられます。物流関係業種を挙げましたが飛び抜けて大きいわけではありません。かといって極めて低い部分に入るかといえばそうでもありません。特に荷役作業については事故が発生しやすく、公道を運送する時も他者との事故のリスクがあります。

 この内後者の運送におけるリスクについては国土交通省主導の『運輸安全マネジメント』という取組があります。

 また構内荷役やフォークリフトの安全につきましては労働安全衛生法の適用を受け、厚生労働省が管轄省庁ということになります。まず『安全運輸マネジメント』について確認していきましょう。以下に国土交通省が記している本制度の趣旨を引用します。

 

『安全運輸マネジメント』本制度の趣旨:国土交通省から引用

本制度では、事業者においては、自らが自主的かつ積極的に輸送の安全の取組みを推進し、構築した安全管理体制をPDCAサイクル※により継続的に改善し、安全性の向上を図ることが求められています。(※ Plan Do Check Act(計画の策定、実行、チェック、改善)のサイクル)
また、国土交通省においては、事業者の安全管理体制の実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を行うこととされ、本評価では、国土交通省の評価担当者による経営トップ及び安全統括管理者等の経営管理部門へのインタビューと文書・記録類の確認を通じ、事業者が構築した安全管理体制の更なる向上に資するため、創意工夫がなされている事項、熱心に取り組んでいる事項、優れている...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 荷役安全と運輸安全マネジメント

 物流は特に安全上の注意が必要な業務ですが、どんな仕事であれ安全第一であることは間違いありません。今回は、物流安全について考えてみたいと思います。まず労災保険率(令和3年度)について確認していきましょう。特に物流に関係する業種とその保険率は以下の通りとなります。

 

【物流に関係する業種とその保険率】(単位は1/1000)

  • 交通運輸事業    : 4
  • 貨物取扱事業    : 9
  • 港湾貨物取扱事業  : 9
  • 港湾荷役業     :13
  • 倉庫業       : 6.5

          

 この保険率が大きければ大きいほど危険な仕事だと考えられます。物流関係業種を挙げましたが飛び抜けて大きいわけではありません。かといって極めて低い部分に入るかといえばそうでもありません。特に荷役作業については事故が発生しやすく、公道を運送する時も他者との事故のリスクがあります。

 この内後者の運送におけるリスクについては国土交通省主導の『運輸安全マネジメント』という取組があります。

 また構内荷役やフォークリフトの安全につきましては労働安全衛生法の適用を受け、厚生労働省が管轄省庁ということになります。まず『安全運輸マネジメント』について確認していきましょう。以下に国土交通省が記している本制度の趣旨を引用します。

 

『安全運輸マネジメント』本制度の趣旨:国土交通省から引用

本制度では、事業者においては、自らが自主的かつ積極的に輸送の安全の取組みを推進し、構築した安全管理体制をPDCAサイクル※により継続的に改善し、安全性の向上を図ることが求められています。(※ Plan Do Check Act(計画の策定、実行、チェック、改善)のサイクル)
また、国土交通省においては、事業者の安全管理体制の実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を行うこととされ、本評価では、国土交通省の評価担当者による経営トップ及び安全統括管理者等の経営管理部門へのインタビューと文書・記録類の確認を通じ、事業者が構築した安全管理体制の更なる向上に資するため、創意工夫がなされている事項、熱心に取り組んでいる事項、優れている事項等について評価を行うとともに、継続的に取り組む必要があると思われる事項、工夫の余地のある事項、更に推進すると効果が向上すると思われる事項等について助言を行います。

 

 上記で引用の『安全運輸マネジメント』制度では経営トップによる積極的な取組が求められています。つまり活動は部下に丸投げということは許されず、経営トップの参画が重視されるという点で注意が必要です。

 

 次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その3)

  1.「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」はSCMの行動指針    行動指針の見方・考え方については、その1、その...

  1.「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」はSCMの行動指針    行動指針の見方・考え方については、その1、その...


サプライチェーンマネジメントと情報共有

       1. サプライチェーンマネジメント   サプライチェーンというキーワードが出回り始めたのは1990年代中頃からだったと思います。...

       1. サプライチェーンマネジメント   サプライチェーンというキーワードが出回り始めたのは1990年代中頃からだったと思います。...


サプライチェーン視点による産業構造の変革

 インターネットなどの情報技術の普及により、具体的な産業構造の変革として、脱工業化社会や情報化社会などの言い古された言葉が頻出するようになってき...

 インターネットなどの情報技術の普及により、具体的な産業構造の変革として、脱工業化社会や情報化社会などの言い古された言葉が頻出するようになってき...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
PR活動 物流地位向上に向けて(その5)

 物流の地位向上のためには、まず物流について知っていただくことから始まります。多くの人たちが物流自体を気に留めてもいませんから、物流のPR活動を行っていく...

 物流の地位向上のためには、まず物流について知っていただくことから始まります。多くの人たちが物流自体を気に留めてもいませんから、物流のPR活動を行っていく...


物流事業者連絡会:物流協力会社の育て方(その2)

   少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤...

   少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤...


輸送距離の改善とは:これからの輸送改善のコツ(その1)

  ◆ 輸送距離の改善  物流機能の中で最も重要な輸送について考えることは大切です。この機能を改善することはいろいろな派生効果を生み出し...

  ◆ 輸送距離の改善  物流機能の中で最も重要な輸送について考えることは大切です。この機能を改善することはいろいろな派生効果を生み出し...