無視できない物流コスト:物流現状把握の重要性(その1)

投稿日

サプライチェーンマネジメント 物流コスト

 

◆ 無視できない物流コスト

 会社全体の物流がどのレベルなのかをきっちりと把握しておくことが望ましいと思います。しかし多くの会社でその実態を数字で把握できていないと言わざるを得ません。その大きな理由の一つとして会社が物流に興味を示していなかったことが挙げられると思います。会社が物流に関心が無いと担当者もあえて物流に関するデータを取ろうとはしません。

 しかし物流コストは会社の営業利益に匹敵する規模だということに気づいていただきたいのです。日本ロジスティクスシステム協会の調査によりますと、会社の売上高に対する物流コストの比率は5%程度になっています。

 御社の現在の物流の実態はどうなっていますか?このような漠然とした質問に対してどのように回答できますでしょうか。御社の売上高営業利益率は5%を大きく上回っていますでしょうか。これが倍以上である10%規模の利益であればまだしも、ほぼ同水準あるいは営業利益率の方が低いとなった場合、物流は全く無視できない存在となるのです。

 もちろん物流はコストだけという考え方は正しくありません。物流は顧客に対するサービスでありバリューでもあります。一定の物流コストをかけてでも会社のバリューを高め、売り上げを伸ばしていくことも十分にありえます。

 そうは言いつつも物流の実態がわかっていないということは望ましい姿ではありません。そこで物流の現状を把握する必要性が出てくるのです。一方で物流とは何を指すのかという定義も議論を呼びます。この定義は必要であるとともにやや難しい領域でもあります。

 そこでまず物流として現状を把握すべき機能について考えてみたいと思います。物流では一般的に5つの機能があると言われています。それは次の5つです。

 

  • 輸送...

サプライチェーンマネジメント 物流コスト

 

◆ 無視できない物流コスト

 会社全体の物流がどのレベルなのかをきっちりと把握しておくことが望ましいと思います。しかし多くの会社でその実態を数字で把握できていないと言わざるを得ません。その大きな理由の一つとして会社が物流に興味を示していなかったことが挙げられると思います。会社が物流に関心が無いと担当者もあえて物流に関するデータを取ろうとはしません。

 しかし物流コストは会社の営業利益に匹敵する規模だということに気づいていただきたいのです。日本ロジスティクスシステム協会の調査によりますと、会社の売上高に対する物流コストの比率は5%程度になっています。

 御社の現在の物流の実態はどうなっていますか?このような漠然とした質問に対してどのように回答できますでしょうか。御社の売上高営業利益率は5%を大きく上回っていますでしょうか。これが倍以上である10%規模の利益であればまだしも、ほぼ同水準あるいは営業利益率の方が低いとなった場合、物流は全く無視できない存在となるのです。

 もちろん物流はコストだけという考え方は正しくありません。物流は顧客に対するサービスでありバリューでもあります。一定の物流コストをかけてでも会社のバリューを高め、売り上げを伸ばしていくことも十分にありえます。

 そうは言いつつも物流の実態がわかっていないということは望ましい姿ではありません。そこで物流の現状を把握する必要性が出てくるのです。一方で物流とは何を指すのかという定義も議論を呼びます。この定義は必要であるとともにやや難しい領域でもあります。

 そこでまず物流として現状を把握すべき機能について考えてみたいと思います。物流では一般的に5つの機能があると言われています。それは次の5つです。

 

  • 輸送
  • 保管
  • 荷役
  • 包装
  • 流通加工

 

 さらに情報という機能を加えて5機能プラスワンと呼ばれます。これらの機能が皆さんの会社の中であるいはアウトソース先で発生していたとしたらその実態について把握するとよいでしょう。ではどのような把握方法があるでしょうか。保管を例にとって考えていきましょう。

 

 次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その2)

第2回 道具1「現地物流診断シート」   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.工場立地と物流    工場が海...

第2回 道具1「現地物流診断シート」   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.工場立地と物流    工場が海...


生残りの手段としてのサプライチェーンとは

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある...

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある...


サプライチェーンの構造的・長期的な課題、サプライチェーン戦略とは

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
部署間の物流統一 物流コスト改善に効く共同物流(その1)

◆ 社内共同物流を考える  物流改善といいましてもその範囲は広く、物流コスト、物流品質、物流サービスなど多岐にわたっています。その中で最も注目を集め...

◆ 社内共同物流を考える  物流改善といいましてもその範囲は広く、物流コスト、物流品質、物流サービスなど多岐にわたっています。その中で最も注目を集め...


物流でのS&OPステップとは S&OPと物流(その3)

◆ 顧客の情報を活用しよう  荷主である顧客から、荷動きの予測情報をもらうことは今後の仕事の段取りを考えていくために大切なことです。今の経営が、日々...

◆ 顧客の情報を活用しよう  荷主である顧客から、荷動きの予測情報をもらうことは今後の仕事の段取りを考えていくために大切なことです。今の経営が、日々...


購買業務の要点:原価積み上げでの価格設定

 前回のその3に続いて解説します。RFP1プロセスにおいては見積価格を提示していただきます。その際に提出フォームはこちら側で準備しそれをサプライヤーに渡し...

 前回のその3に続いて解説します。RFP1プロセスにおいては見積価格を提示していただきます。その際に提出フォームはこちら側で準備しそれをサプライヤーに渡し...