工程能力の理解 (その2) 工程能力指数-Cp/Cpk

1.行程能力の指数化

 前回のその1に続いて解説します。スペックに対し特性の分布がどの程度余裕を持って収まっているかを知る為の指標が、工程能力指数です。特性値の中心を決めるのが平均値とすれば、分布の範囲を決めるのが、ばらつきといえます。 この場合ばらつきは標準偏差σを基準として算出されます。                   
  
 平均値と標準偏差を用いて工程能力を分かり易く指数化したものが”工程能力指数”です。 一般的にCpの記号で表記されますがこれは、Process Capabilityの頭文字を取ったものです。 Cpは上限規格(USL)だけがあるもの、下限規格(LSL)だけがあるもの、上下限規格両方があるもので図1.の様な算出式で求められます。
 
          
cp1
        
図1.USL、LSLの式
  
 言い換えれば、規格幅に対し標準偏差σが何個分入るかを表した数値です。 両側規格がある式でいえば上限規格と下限規格の間にσが6個(±3σ)ぴったり収まる状態が基準である1.00となります。 正規分布の所でも述べましたが、これは全体の99.7%が規格に収まる値となります。 同様にシグマが4個相当(±2σ)であれば0.66、8個相当なら1.33(±4σ)、10個相当(±5σ)なら1.67となります。
 
                          
usl lsl 4
図2.工程能力指数
 
 両側規格の場合、分布の中心は必ずしも規格の中心と重なっているわけではありませんから、分布中心の偏りを考慮したCpkという指数(kはかたよりの意味)を用います。 CpkはCpUもしくはCpLの小さい方の値となります。すなわち値が小さい側へ分布が偏っており工程能力が低い事になります
 
                 
cp88
 
  

  2.長期 Cp/Cpk 

 工程能力指数を計算するには、データが100-300あれば正規性の確認も出来るので好ましいといえます。 ただしこのデータが短期間で採られたデータか、長期に渡って得られたデータかで注意が必要と1ヶ月間隔で、追加で100球ずつ投げ込んだ所、ばらついて中々真ん中に決まらない時もありました。 最初の100球と後続を含めた全データでそれぞれCpkを計算したらどうでしょうか?
 
 同じ母集団からのサンプルであるにも関わらず短期データではばらつきを十分評価しているとは言えない可能性があります。 ロングタームではショートタームより工程能力は低下する傾向にあります。図3
 
                        
cp99
図3.工程能力指数と正規性
 
 一般に長期性能は短期性能に1.5σを足したもので代用されます。 つまり分布の横幅が1.5σ分膨れたイメージです。 短期ではスリムな分布が長期だとちょっと太くなってしまうわけです。“シックスシグ”では100万個に対して不適合が3.4個相当に値すると述べていますが、これはロングタームで観た場合の欠陥に相当します。
 

  3.Cp/Cpk運用時の注意点 

 工程能力を算出する前に、ヒストグラムを描いて形状を確認してください。 数値だけを見て工程能力を判断せず、正規分布形状になっているか、異常値が含まれていないかを確認する事が重要です。 異常値が含まれていればσが実際よりも大きくなってしまい工程能力が低く算出されてしまいます。また分布が正規分布形状になっていない場合は、データの対数や平方根を取り変換後の分布が正規分布になっていればそれを用いて工程能力を計算します。
 
 計算の結果Cpk値が大きすぎ場合は、データの数や桁を確認してください。 Cpkの値は1.33-1.66程度であれば十分で、3.00以上と極端に数値が高い場合はデータ数が少なくばらつきが過小評価されてないか、データが丸めてあり同じ数のものが重複してないかを確認する必要があります。 逆に顧客規格が緩く、Cp値が大きくなっている場合はガードバンド(防止帯)として別途社内規格を設ける事も検討した方が良いでしょう。次回は、工程能力の理解 その3.Zスコアと標準化です。
 

この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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