ブランドの定義と効果

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1.ブランドの必要性

 ブランド力とは、消費者に「このブランドだけは特別」と思い込ませ、信頼感を与える力のことです。また、消費者の心を惹きつけて購買に至らせ、買い続けてもらう力のことでもあります。トヨタ、パナソニック、キヤノンなどの企業名や、ディズニーランド、ユニクロなどのサービス名、iPod、コカ・コーラ、宅急便等の商品名などが典型例です。企業はここ数十年間、そのブランド力をいかに高めるかに努力してきました。

 しかし、真のブランド力とは何なのでしょうか。大きな資金をもつ大手企業のみに与えられた称号と勘違いされているかもしれません。ブランドは、目に見えない心理的なものであり、その業績効果を正確に測ることが簡単ではありません。大手広告会社は、それを試算しているようですが、中小企業も、可能な範囲で、ROIの効果を試算すべき時期にきていると思います。
   

2.ブランドの定義と効果

 ブランド元来の意味は、自分の家畜などに焼印を押し、他の家畜と見分けるために行われたものだそうでブランドの効果調査結果す。商標法のブランドも、同じような商品を見分けるため、製造元が取り付けていた商標やマーク、タグなどの付属物になります。しかしその商品が常に優れていたために、付属物が「商品が高品質だ」「使い易い」などの判断基準として、消費者に連想させるような働きをするようになってきたわけです。アメリカマーケティング協会の定義を確認すると、「ある売り手の財やサービスを、他の売り手のそれと異なるものと識別するための名前、用語、デザイン、シンボル及びその他の特徴」となっています。ブランド価値の効果は、数年前の(独)経済産業研究所によるブランド実態調査結果によれば、図1のようになっています。現段階では「知名度向上」が、誰もが認める効果のようです。

図1 経済産業研究所によるブランドの効果調査結果 

3.ブランドの問題点

 ところで、中国、台湾、韓国などには、バッグや時計などの偽ブランドがいまだにはびこっています。わざわざそれを目当てに買い物するツアーさえあるほどです。筆者も25年ぐらい前の出張中の休日に、ある国の偽ブランドショップを見学しました。そこは1階を普通のブランドの時計販売店として装い、2階の民家風の部屋で、偽ブランド品を販売していました。

 中国ではつい最近も、「ミッキーマウス」や「どらえもん」など遊園地のキャラクターの偽者が放映されたことは記憶に新しいところです。中国では商標権に対する罪の意識が弱いかと思うと、日本の「鹿児島」など産地ブランドを商標登録している人が中国人だったという話もあるようです。
    

4.ブランドの捉え方

 ブランド力というのは、一見しただけではよくわかりません。しかし、じっと視ると、ようやく分かってきます。真に良いものは、触れてみて、身につけて、なじんで、初めて作った人の気配りやこだわりが理解できるからです。その良さに気づいた人が、自分にはその価値がわかるだ...

1.ブランドの必要性

 ブランド力とは、消費者に「このブランドだけは特別」と思い込ませ、信頼感を与える力のことです。また、消費者の心を惹きつけて購買に至らせ、買い続けてもらう力のことでもあります。トヨタ、パナソニック、キヤノンなどの企業名や、ディズニーランド、ユニクロなどのサービス名、iPod、コカ・コーラ、宅急便等の商品名などが典型例です。企業はここ数十年間、そのブランド力をいかに高めるかに努力してきました。

 しかし、真のブランド力とは何なのでしょうか。大きな資金をもつ大手企業のみに与えられた称号と勘違いされているかもしれません。ブランドは、目に見えない心理的なものであり、その業績効果を正確に測ることが簡単ではありません。大手広告会社は、それを試算しているようですが、中小企業も、可能な範囲で、ROIの効果を試算すべき時期にきていると思います。
   

2.ブランドの定義と効果

 ブランド元来の意味は、自分の家畜などに焼印を押し、他の家畜と見分けるために行われたものだそうでブランドの効果調査結果す。商標法のブランドも、同じような商品を見分けるため、製造元が取り付けていた商標やマーク、タグなどの付属物になります。しかしその商品が常に優れていたために、付属物が「商品が高品質だ」「使い易い」などの判断基準として、消費者に連想させるような働きをするようになってきたわけです。アメリカマーケティング協会の定義を確認すると、「ある売り手の財やサービスを、他の売り手のそれと異なるものと識別するための名前、用語、デザイン、シンボル及びその他の特徴」となっています。ブランド価値の効果は、数年前の(独)経済産業研究所によるブランド実態調査結果によれば、図1のようになっています。現段階では「知名度向上」が、誰もが認める効果のようです。

図1 経済産業研究所によるブランドの効果調査結果 

3.ブランドの問題点

 ところで、中国、台湾、韓国などには、バッグや時計などの偽ブランドがいまだにはびこっています。わざわざそれを目当てに買い物するツアーさえあるほどです。筆者も25年ぐらい前の出張中の休日に、ある国の偽ブランドショップを見学しました。そこは1階を普通のブランドの時計販売店として装い、2階の民家風の部屋で、偽ブランド品を販売していました。

 中国ではつい最近も、「ミッキーマウス」や「どらえもん」など遊園地のキャラクターの偽者が放映されたことは記憶に新しいところです。中国では商標権に対する罪の意識が弱いかと思うと、日本の「鹿児島」など産地ブランドを商標登録している人が中国人だったという話もあるようです。
    

4.ブランドの捉え方

 ブランド力というのは、一見しただけではよくわかりません。しかし、じっと視ると、ようやく分かってきます。真に良いものは、触れてみて、身につけて、なじんで、初めて作った人の気配りやこだわりが理解できるからです。その良さに気づいた人が、自分にはその価値がわかるだけの鑑定眼があると、ひそかに誇りに思えることこそが、ブランド力の条件だという人もいます。ブランド力というのは、商品自体にあるものではなく、人の感性に触れてはじめて成立するのだと感じました。

 しかし一般の日本人はそこまで分からず、偽ブランド品を受け入れてしまっているのが実態です。商品やサービスだけでなく、皆さんが作ったものでもいいし、皆さんの内面でもいいし、皆さん自身のブランドを築く時代でもあります。

 筆者も、大学講師、著作、講演、セミナーなどを通じて、ブランド作りを少しだけ意識してきました。この場に投稿することも、ブランド力向上に寄与できることが理由の一つでもあります。

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この記事の著者

粕谷 茂

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