自然現象としての雷の発生メカニズムと電子機器を守るための雷サージ対策の基礎知識

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自然現象としての雷の発生メカニズムと電子機器を守るための雷サージ対策の基礎知識

【目次】

    雷は巨大なエネルギーを持つ自然現象であり、時に人命や社会インフラへの脅威となる。特に高度に電子化された現代社会において、落雷に伴う過渡的な異常電圧「雷サージ」は、電子機器の故障や劣化を引き起こす重大なリスク要因である。今回は、雷が発生する気象学的な原理やその種類について解説するとともに、電子機器に甚大な被害をもたらす雷サージの侵入経路や破壊モード、そして機器を守るための具体的な保護対策について解説します。

     

    1. 雷の種類

    雷は自然現象で、雲と雲の間、または雲と地表面との間に生じる放電現象である。この放電が雲と地表面で生じるのが、落雷であり、一般家庭で使用する電圧の数百万倍のエネルギー(約1億ボルト)が放出される。雷は雲の中で発生するもので、暖められた水蒸気が上昇気流となり大気層の上方で冷たい空気に侵入すると、水や氷の粒ができ、この粒同士が集まり、こすれ合うことで静電気が発生する。粒の小さい正の電荷は上へ、大きな負の電荷は雲の下へ移動し、雲の下部に集まった負電荷が地面の正電荷へ放電すると落雷が発生する。上昇気流の発生原因により、図1に示すような種類がある。

    • 熱雷:太陽の強い日射によって地面近くの空気が熱せられ、上昇気流が発生することのより、大気が不安定になり雷雲が発生する。夏の夕立など、代表的な雷である。
    • 界雷:温暖な気団と寒冷の気団が接する所で寒冷前線や温暖前線が発生する。この前線付近で、寒気が暖気を押し上げ、暖気が寒気の斜面に沿って上昇することで、雷雲が発生する。季節の変わり目や、冬の日本海側で多発する雷である。
    • 渦雷:発達した低気圧や台風の中心付近などで、寒気と暖気が衝突する近傍で周囲から、激しく吹き込む気流の大渦巻きで発生する雷である。

      

    自然現象としての雷の発生メカニズムと電子機器を守るための雷サージ対策の基礎知識

    図1. 雷の種...

    自然現象としての雷の発生メカニズムと電子機器を守るための雷サージ対策の基礎知識

    【目次】

      雷は巨大なエネルギーを持つ自然現象であり、時に人命や社会インフラへの脅威となる。特に高度に電子化された現代社会において、落雷に伴う過渡的な異常電圧「雷サージ」は、電子機器の故障や劣化を引き起こす重大なリスク要因である。今回は、雷が発生する気象学的な原理やその種類について解説するとともに、電子機器に甚大な被害をもたらす雷サージの侵入経路や破壊モード、そして機器を守るための具体的な保護対策について解説します。

       

      1. 雷の種類

      雷は自然現象で、雲と雲の間、または雲と地表面との間に生じる放電現象である。この放電が雲と地表面で生じるのが、落雷であり、一般家庭で使用する電圧の数百万倍のエネルギー(約1億ボルト)が放出される。雷は雲の中で発生するもので、暖められた水蒸気が上昇気流となり大気層の上方で冷たい空気に侵入すると、水や氷の粒ができ、この粒同士が集まり、こすれ合うことで静電気が発生する。粒の小さい正の電荷は上へ、大きな負の電荷は雲の下へ移動し、雲の下部に集まった負電荷が地面の正電荷へ放電すると落雷が発生する。上昇気流の発生原因により、図1に示すような種類がある。

      • 熱雷:太陽の強い日射によって地面近くの空気が熱せられ、上昇気流が発生することのより、大気が不安定になり雷雲が発生する。夏の夕立など、代表的な雷である。
      • 界雷:温暖な気団と寒冷の気団が接する所で寒冷前線や温暖前線が発生する。この前線付近で、寒気が暖気を押し上げ、暖気が寒気の斜面に沿って上昇することで、雷雲が発生する。季節の変わり目や、冬の日本海側で多発する雷である。
      • 渦雷:発達した低気圧や台風の中心付近などで、寒気と暖気が衝突する近傍で周囲から、激しく吹き込む気流の大渦巻きで発生する雷である。

        

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      図1. 雷の種類 【出典:おもしろサイエンス 雷の科学 第1章 雷の不思議 日刊工業新聞社】

       

      2. 雷サージの種類

      雷サージは高電圧で低周波なので電子機器の絶縁破壊や機能停止、劣化などの障害を発生させる。雷の電流は非常に大きいため、雷が建築物や電線などに直接落雷した場合には非常に大きな雷サージ電流が流れ、建築物や電気設備に大きな被害を与える。また、直接の落雷でなくても雷放電路を流れる電流により、配電線や通信線近傍の電磁界が急変し、電源線や通信線に誘導された雷サージが発生する。このようにして発生した雷サージが電源線や通信線を通って電気機器に侵入し、被害を与えるので、落雷地点から離れていても被害を受ける可能性がある。雷サージの種類及び発生要因として、直撃雷、誘導雷、逆流雷がある。

      (1)直撃雷

      図2に示すように、建築物の避雷針やアンテナ、送配電線、通信線などに直接落雷し、屋内の電子機器に侵入する。雷の衝撃は大きいが、影響は局所的である 

       

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      図2. 直撃雷 【出典:技術情報 雷サージとは 音羽電機工業株式会社】

       

      (2)誘導雷

      図3に示すように、直接の落雷ではなく、近傍の樹木や建築物への落雷によって、雷放電路に流れる電流による電磁界の急変により、導体(送配電線、通信線など)へ二次的に空間誘導された雷サージが発生し、電子機器に侵入する。電子機器への侵入経路は下記の通りです。

      • 電源線
      • 通信線
      • アンテナ
      • 接地


      雷の衝撃は比較的小さいが、影響範囲は広範囲に及ぶ。

       

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      図3. 誘導雷 【出典:技術情報 雷サージとは 音羽電機工業株式会社】

       

      (3)逆流雷 (接地雷)

      図4に示すように、構造物などへの落雷による接地電位上昇によって、引き込まれている導体(送配電線、通信線など)に落雷電流の一部が流出し、接地から電子機器に過電圧や過電流が逆流する。雷の衝撃は比較的大きいが、影響範囲はやや限定的である。

       

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      図4. 逆流雷 【出典:技術情報 雷サージとは 音羽電機工業株式会社】

       

       

      3. 雷サージ対策

      線路~大地間電圧のサージ電圧は数万ボルトに達することもあるが、多くは5千ボルトまでといわれている。また線間に発生する電圧は数百ボルトといわれている。機器の破壊状態を分析すると、この線間電圧によるノーマルモード破壊が多く、これを線間破壊(V1)と呼んでいる。この特徴は、雷サージの侵入路となった端子に近い半導体部品が壊れる。また、線路~大地間のコモンモード破壊を放電破壊(V2、V3)という。雷サージの対大地間電圧は非常に高いので、電子回路と接地されたケース間でアーク放電が生じる。放電破壊の特徴は、回路~ケース間の絶縁の甘い部分が壊れる。雷サージの伝播モードを図5に示す

       

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      図5. 雷サージの伝播モード 【出典:サージ対策 EMC村の民】

       

      (1)線間破壊(ノーマルモード)

       電子機器が、ライン端子間に加わる雷サージによって破壊サージエネルギーはさほど大きくはないが、サージ電圧が直接電子部品に加わるため、電子機器にとっては脅威となる。
      線間破壊の保護回路を図6に示す。

        

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       図6. 線間破壊の保護回路

      【出典:トランジスタ技術 SPECIAL No.64 第5章 雷サージ対策 CQ出版】

       

      (2)放電破壊(コモンモード)

      電子機器が、ライン~筐体間に加わる雷サージによって破壊し、ライン~筐体間にサージ電圧が加わり、電子回路の一部が、金属ケースなど大地に電気的に接続されている部分へ放電する。このとき、放電電流の通路となった電子部品が破壊される。放電破壊の保護回路を図7に示す。

       

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       図7. 放電破壊の保護回路

      【出典:トランジスタ技術 SPECIAL No.64 第5章 雷サージ対策 CQ出版】

       

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      この記事の著者

      芥 正二郎

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事


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