
なぜ「個別技術」では勝てなくなったのか
第1回では、日本の製造業が持つ「現場起点の技術循環」 こそが、次のイノベーションの源泉になり得ることを論じた。では、そのイノベーションはどこで、どのような形で現れるのか。結論から言えば、それは「新素材」や「最新装置」といった分かりやすい技術革新の形では現れにくい。むしろ今、世界の製造業で起きているのは、個別技術を積み上げても、全体として機能しなくなっているという深刻な停滞である。この閉塞を打ち破る鍵が、装置・工程・人を再び一体として設計し直す思想にある。
1.最適化の果てに失われた「全体構造」
ここ20年、製造業は徹底した最適化を進めてきた。装置は高性能化・ブラックボックス化、工程は分業化・自動化、人は「作業者」から「オペレータ」へ、一つ一つを見れば、合理的な進化である。しかし、その結果として何が起きたか。「誰も全体を理解していないシステム」が増えている。
- ・装置は高度だが、なぜそう動くのか分からない
- ・異常は検知できるが、原因が説明できない
- ・復旧はマニュアル頼みで、応用が効かない
これは、性能の問題ではない。設計思想の問題である。
2.日本の設計が持っていた「統合する力」
かつて日本の機械設計は、意識せずとも「統合」を行っていた。
- 装置の...




