継続的に保有技術の用途探索をする理由とポイント、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その98)

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継続的に保有技術の用途探索をする理由とポイント、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その98)

この連載の前回、研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)へのリンク

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私のキャリアの出発点である半導体業界では、過去、3年周期で景気の良し悪しが変化すると言われたことがあります。この波に合わせて転職活動を繰り返す先輩方も多かったことを覚えています。そのうち3年周期説に陰りが生じ、半導体開発・製造に従事していると「まだ半導体やっているの?」と時代遅れと揶揄される時もあり、また大量生産品の減少が進み、コストで海外勢に勝てない状況が続き、日本の半導体業界は苦しい時期を過ごしました。

 

その後のコロナ渦を経て、現在はご承知のとおり、半導体産業に政府・民間企業による大規模投資が発表され、業界は再び盛り上がっています。以上は、私が従事してきた半導体業界における20年弱...

継続的に保有技術の用途探索をする理由とポイント、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その98)

この連載の前回、研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)へのリンク

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私のキャリアの出発点である半導体業界では、過去、3年周期で景気の良し悪しが変化すると言われたことがあります。この波に合わせて転職活動を繰り返す先輩方も多かったことを覚えています。そのうち3年周期説に陰りが生じ、半導体開発・製造に従事していると「まだ半導体やっているの?」と時代遅れと揶揄される時もあり、また大量生産品の減少が進み、コストで海外勢に勝てない状況が続き、日本の半導体業界は苦しい時期を過ごしました。

 

その後のコロナ渦を経て、現在はご承知のとおり、半導体産業に政府・民間企業による大規模投資が発表され、業界は再び盛り上がっています。以上は、私が従事してきた半導体業界における20年弱の変遷についての個人の見解です。この見解についてご意見もあるかもしれませんが、今回、お伝えしたいことは半導体業界の見解ではありません。急速な環境変化や技術革新が当たり前になった世の中では、先に示した半導体業界のように、それ以上に事業の浮き沈みは起こりえます。この浮き沈みを乗り越えるためには、継続的なタネマキ活動が必須です。継続的に行うタネマキ活動には、以下の3パターンがあります。

 

◆ 【継続的に行うタネマキ活動のパターン】

  • 1. 次期商品の開発・・・・・・・既存事業におけるニーズをとらえた次世代商品、これに必要となる技術開発
  • 2. 新規事業の開発・・・・・・・保有技術・新規技術の開発、またはライセンス購入などによる開発
  • 3. 保有技術の用途探索・・・・・保有技術をそのまま活用、参入業界のニーズに合わせた技術の改良

 

1の、次商品の開発は、商品戦略にのっとり既に進めているかと思いますが、業界の浮き沈みを乗り越え、事業を維持・拡大するため、優先的に開発部門に取り組んでほしいのが、3の保有技術の用途探索です。

 

昨今は業界そのものの景気の浮き沈みだけではなく、代替商品・サービス、代替技術の出現といった理由で既存の業界シェアを失うというリスクがあります。この脅威に対抗するべく守りの技術開発・知財獲得を進めますが、守りに終始することなく、攻めの技術開発を進めていただきたいということです。

 

開発部門の武器は技術です。この技術を攻めに使うために、技術の活用先(用途)を増やし、その規模を拡大していきます。まず取り組むべきが活用先を増やす活動ですが、次のステップで進めることを推奨しています。

 

◆ 【取り組むべきが活用先を増やすステップ】 

  • 保有技術がどのような機能・性能を持つかを整理する
  • 機能・性能が活かせそう、親和性が高そうな商品と業界を探す
  • 業界・商品を購入するユーザーの課題(顕在・潜在)を明らかにする
  • 想定した課題を解決する商品を企画する
  • 商品に必要な技術開発を行う

この活動を進め、ユーザー採用の可能性が高まれば、新規事業の開発につなげることができます。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

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