EV試乗比較 bZ4X vs IONIQ5 次世代エネルギー車とものづくり(その7)

更新日

投稿日

【次世代エネルギー車とものづくり 連載目次】

 

次世代エネルギー車とものづくり(その4)  (その5)でHyundai IONIQ5の試乗レポート、次世代エネルギー車とものづくり(その6)でトヨタ bZ4Xの試乗をレポートしました。今回は、両車を比較してみました。両車にはクルマとしての味付け、設計思想そのものの差があるようです。

 

1.bZ4Xは従来のクルマの延長、IONIQ5は斬新な新モビリティ

bZ4Xは、ガソリン車から乗り換えても違和感なく運転できます。ハイブリッド車に乗っている人はさらに違和感が無いでしょう。一方の、IONIQ5は新モビリティとしてEVのメリットを前面に打ち出したコンセプトを感じました。車両の車内パッケージはホイールベースの長さを生かした広々室内を訴求しています。フルフラットに近いフットレスト付きの運転席のリクライニング機能、後部座席の電動前後移動、さらには、車内で運転席と助手席を行き来できるなど解放感があります。

 

車

 

bZ4Xは「クルマのシートに収まる」という従来のクルマの安心感あるイメージです。一方のIONIQ5はリビングルームにいるようなくつろぎ空間でした。走行特性、特に出足の加速感や力強さはどちらのクルマもEVならではの楽しさです。さらにIONIQ5は4段階の回生ブレーキをパドルシフトで変更できるという走行時の味の変化も楽しいところです。一方のbZ4Xは在来のハイブリット同様のドライブとBモード(回生強めの設定)で乗り慣れているクルマという雰囲気です。

 

2.外装デザインはbZ4Xが圧倒的にカッコいい・・・らしい

ここはとりわけ、個人の好みが出るところです。私としてはどちらのクルマもまあまあでEV的にスッキリした意匠、強いていえば、少しbZ4Xがいいかなぁとの印象でした。ところが、中国EVメーカのCTOは「bZ4Xはすごくカッコいい」と絶賛していました。

 

bZ4X                           IONIQ5

CAR

CAR

 

3.先進的なインパネデザインのIONIQ5

Tesla等のEV専用メーカのクルマは大型Displayで未来的なインパネを採用、IONIQ5もその傾向があります。しかし、bZ4Xは、こじんまりしたメータです。強いて言えば車両前側に位置していることと、Naviが大きめに変化している点が従来車との違いでしょうか。IONIQ5は広大な平面Displayに豊富な情報が表示されます。一方のbZ4Xは限られた情報だけが表示されます。あえて走行に必要な情報だけに絞ったという思想を感じます。

 

CAR

 

どちらもシフトチェンジは回転式です。IONIQ5はレバー先端を右回りにひねるとDモードで、逆にひねるとRモード、bZ4Xも右に回すとDモードで左回しでRモードです。どちらのクルマもPは別ボタンを押します。

 

4.安全視認性の補助機能

IONIQ5は発進時の全周モニターや、ウインカーと連動して大型Display内にブラインドスポットの映像が表示されるなど、複数の安全視認性を高める機能がありました。一方、bZ4Xは電子式のルームミラーを搭載しています。明るく見やすい、また、地下道走行などの際もカメラ画像ですので明暗変化が少ないものでした。

 

IONIQ5はグレードによってはHUDが搭載されていました。今後はさらにAR型のHUD、すなわち、仮想的に前方路面に弊社されるといったものに進化していくでしょう。なお、試乗時の記憶があいまいですがbZ4XはHUD搭載は無かったようです。ただ、メータがかなり奥にありますので、ARではない従来型のHUDによるフロントガラス投影(デミオは透明パネルが起き上がり投影される)とは視点移動の少なさは同様のレベルです。

 

5.快適な大型ムーンルーフ

CAR

bZ4X                              IONIQ5

ルーフ全面が空といった雰囲気になります。ただ残念ながらbZ4Xは運転席上部でムーンルーフが仕切られ2分割構造でしたので、その分解放感も損なわれてしまい残念でした。

 

6.ものづくりの視点で

ものづくりcomでの報告ではこの視点は欠かせません。

 

当社のウェブサイトではレポートした主要なクルマの販売台数も掲載しています。IONIQ5はその姉妹車も含めて、年間15万台以上の販売台数です。おそらくはEVの専用組立工場となっていることでしょう。一方で、bZ4Xは今年の国内リース台数が5000台ということで生産台数はまだまだ少数です。このため専用ラインではなく、元町第一ラインでの混流生産です。しかも、FCVのミライや人気ワン...

【次世代エネルギー車とものづくり 連載目次】

 

次世代エネルギー車とものづくり(その4)  (その5)でHyundai IONIQ5の試乗レポート、次世代エネルギー車とものづくり(その6)でトヨタ bZ4Xの試乗をレポートしました。今回は、両車を比較してみました。両車にはクルマとしての味付け、設計思想そのものの差があるようです。

 

1.bZ4Xは従来のクルマの延長、IONIQ5は斬新な新モビリティ

bZ4Xは、ガソリン車から乗り換えても違和感なく運転できます。ハイブリッド車に乗っている人はさらに違和感が無いでしょう。一方の、IONIQ5は新モビリティとしてEVのメリットを前面に打ち出したコンセプトを感じました。車両の車内パッケージはホイールベースの長さを生かした広々室内を訴求しています。フルフラットに近いフットレスト付きの運転席のリクライニング機能、後部座席の電動前後移動、さらには、車内で運転席と助手席を行き来できるなど解放感があります。

 

車

 

bZ4Xは「クルマのシートに収まる」という従来のクルマの安心感あるイメージです。一方のIONIQ5はリビングルームにいるようなくつろぎ空間でした。走行特性、特に出足の加速感や力強さはどちらのクルマもEVならではの楽しさです。さらにIONIQ5は4段階の回生ブレーキをパドルシフトで変更できるという走行時の味の変化も楽しいところです。一方のbZ4Xは在来のハイブリット同様のドライブとBモード(回生強めの設定)で乗り慣れているクルマという雰囲気です。

 

2.外装デザインはbZ4Xが圧倒的にカッコいい・・・らしい

ここはとりわけ、個人の好みが出るところです。私としてはどちらのクルマもまあまあでEV的にスッキリした意匠、強いていえば、少しbZ4Xがいいかなぁとの印象でした。ところが、中国EVメーカのCTOは「bZ4Xはすごくカッコいい」と絶賛していました。

 

bZ4X                           IONIQ5

CAR

CAR

 

3.先進的なインパネデザインのIONIQ5

Tesla等のEV専用メーカのクルマは大型Displayで未来的なインパネを採用、IONIQ5もその傾向があります。しかし、bZ4Xは、こじんまりしたメータです。強いて言えば車両前側に位置していることと、Naviが大きめに変化している点が従来車との違いでしょうか。IONIQ5は広大な平面Displayに豊富な情報が表示されます。一方のbZ4Xは限られた情報だけが表示されます。あえて走行に必要な情報だけに絞ったという思想を感じます。

 

CAR

 

どちらもシフトチェンジは回転式です。IONIQ5はレバー先端を右回りにひねるとDモードで、逆にひねるとRモード、bZ4Xも右に回すとDモードで左回しでRモードです。どちらのクルマもPは別ボタンを押します。

 

4.安全視認性の補助機能

IONIQ5は発進時の全周モニターや、ウインカーと連動して大型Display内にブラインドスポットの映像が表示されるなど、複数の安全視認性を高める機能がありました。一方、bZ4Xは電子式のルームミラーを搭載しています。明るく見やすい、また、地下道走行などの際もカメラ画像ですので明暗変化が少ないものでした。

 

IONIQ5はグレードによってはHUDが搭載されていました。今後はさらにAR型のHUD、すなわち、仮想的に前方路面に弊社されるといったものに進化していくでしょう。なお、試乗時の記憶があいまいですがbZ4XはHUD搭載は無かったようです。ただ、メータがかなり奥にありますので、ARではない従来型のHUDによるフロントガラス投影(デミオは透明パネルが起き上がり投影される)とは視点移動の少なさは同様のレベルです。

 

5.快適な大型ムーンルーフ

CAR

bZ4X                              IONIQ5

ルーフ全面が空といった雰囲気になります。ただ残念ながらbZ4Xは運転席上部でムーンルーフが仕切られ2分割構造でしたので、その分解放感も損なわれてしまい残念でした。

 

6.ものづくりの視点で

ものづくりcomでの報告ではこの視点は欠かせません。

 

当社のウェブサイトではレポートした主要なクルマの販売台数も掲載しています。IONIQ5はその姉妹車も含めて、年間15万台以上の販売台数です。おそらくはEVの専用組立工場となっていることでしょう。一方で、bZ4Xは今年の国内リース台数が5000台ということで生産台数はまだまだ少数です。このため専用ラインではなく、元町第一ラインでの混流生産です。しかも、FCVのミライや人気ワンボックスのノア・ボクシーとの混流です。EV、FCV、エンジン・ワンボックスの混流組み立てということで、トヨタ的なものづくりの工夫が想定されます。

 

より詳細には以下の当社のウェブサイトで比較しています。両車の優劣比較表などもありますので是非ご覧ください。

EV試乗比較 bZ4X vs IONIQ5 その1 - 技術オフィス Tech-T 開発と製造のコンサルタント

EV試乗比較 bZ4X vs IONIQ5 その2 - 技術オフィス Tech-T 開発と製造のコンサルタント

 

◆関連解説『自動車技術』

◆オンデマンドセミナー:~新ビジネス探索のための情報の整理整頓シリーズ~ 新エネルギー車 BEV・FCEV 現状とこれから

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング


「自動車技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
次世代エネルギー車とものづくり【連載記事紹介】

  次世代エネルギー車とものづくりの連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆次世代エネルギー車とものづくり カーボンニ...

  次世代エネルギー車とものづくりの連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆次世代エネルギー車とものづくり カーボンニ...


電動化で変わる自動車の動力伝達システムとカタチ・機能

1. 大変革期迎えた自動車技術、電動化がもたらす変化  自動車は今、歴史上最大の変革期を迎えていると言われています。「CASE」(ケース)、「Maa...

1. 大変革期迎えた自動車技術、電動化がもたらす変化  自動車は今、歴史上最大の変革期を迎えていると言われています。「CASE」(ケース)、「Maa...


Hyundai IONIQ5 試乗レポート 次世代エネルギー車とものづくり(その4)

【次世代エネルギー車とものづくり 連載目次】 1. Hyundai NEXO試乗レポート 2. トヨタ ミライ試乗レポート 3. FCEVの販売...

【次世代エネルギー車とものづくり 連載目次】 1. Hyundai NEXO試乗レポート 2. トヨタ ミライ試乗レポート 3. FCEVの販売...