次世代エネルギー車とものづくり(その4)Hyundai IONIQ5 試乗レポート

 

 

【この連載の前回:次世代エネルギー車とものづくり(その3)FCEVの販売数へのリンク】

これまで燃料電池自動車FCVのトヨタMIRAIとHyundai NEXOの試乗をレポートしました。次世代車エネルギー車としては電気自動車EVも普及し始めています。今回と次回は、Hyundaiが日本での発売も開始したEV IONIQ5の試乗をレポートします。広義のものづくりの視点として、EVならではの車両パッケージの考え方などにも注目しました。

 

1.デザイン(外装意匠)

外装デザインの特徴としては、直線・平面的デザインにわずかに局面を折り込んだ印象でした。特に、フロンドドア中上部からリアドア下部に向かう真直線の大胆なラインのインパクトがあります。正面斜め前方の写真で確認ください。

 

FCEV

FCEV

FCEV


車両デザインの細部モチーフは、ピクセル(pixel、コンピュータ画像の画素)です。たとえば、ヘッドランプやテールランプ、ミラーの下部、充電口蓋の開閉ポイントなどは、□■□■基調のデザインです。

 

FCEV

 

2.EVとして大胆なものづくり、車両パッケージ

EVの利点を最大限に生かした車両パッケージは、クルマというモノづくりの真髄に通じるものがあるように感じました。いかに魅力的なクルマに仕立てるか、車両企画と設計の腕の振るいどころだったでしょう。もちろん、生産という狭義のものづくりでも大胆さと多数の工夫が必要です。Hyundaiの韓国語・英語のサイトからは、それらに関するYouTube動画も公開されていますので、ご興味ある方は検索してみてください。

 

世界最長のホイールベース 3000mm

乗用車としては最大級の長さです。Teslaも長いのですがそれを上回っています。EVとして専用設計したプラットフォームE-GMPが採用されています。(写真:出典Hyundai website)

 

FCEV

 

パッケージングの大きな特徴は、従来室内のインパネ内部に配置していたエアコン機器機能部分をエンジンルーム側に移動させた設計のために、インパネの前後長が短く、前席の広さに貢献しています。インパネ周辺の車輪をご覧ください。足元が広々しており、社内で運転席から助手席への移動も可能です。この思想は、今年NISSANから発売されたARIYAでも採用されています。詳細は、当社のサイトでレポートの予定です。

 

FCEV

 

また、この構造により、引き出しタイプのグローブボックスも実現できたということで、ものの出し入れが楽になっています。

 

FCEV

 

走行可能距離(カタログ値) 618km

カタログ上の走行距離(WLTCモード、ヒョンデ自社計測)

•標準で 498km
•Voyage/Loungeで 618km

 

3.完全日本仕様のステアリングコラムとレバー式シフト

海外で車を運転する際、ウインカーとワイパーが逆で、右左折の際にしばしばワイパーを作動させてしまいます。日本に輸入される右ハンドル仕様のクルマも大半が左ウインカーです。しかし、IONIQ5は完全に日本仕様です。まったく違和感なく試乗できます。わざわざ日本仕様のステアリングコラムを開発したということです。

 

IONIQ5のシフトはシフトレバー先端の回転式です。この辺りは、シフトバイワイヤを生かしたものづくり設計です。先のレポートしたHyundai FCVのNEXOや今年トヨタから発売されたbZ4Xも同様にシフトバイワイヤを生かした仕様となっています。さて、このIONIQ5は、ヘッドライトの点灯やスモールに切り替える際に回転させるイメージです。ステアリングコラム右側のやや下に長さ10cm程度のレバーがあり、その先端が回転します。ステアリングコラム右側上のレバーは従来のウインカです。写真でご確認ください。

 

FCEV

 

4.圧倒的な電気自動車らしさ 動作に“遊び”が全くない

エンジン車とは全く異なるアクセル感覚です。アクセルの踏み込みに全く“遊び”なくクルマが動くという感覚です。IONIQ5はその特徴が顕著でした。アクセルをわずかに踏み込んだ瞬間に動き出します。加速の圧倒感も電気自動車ならではの特徴です。ガソリン車では味わえない圧倒的な加速感です。しかも、エンジンが吹き上がるというような騒音もなく静かに100km超えです。160kw、350n/mのモータの力強さです。

 

アクセルをリリースした際のエンジンブレーキ(モータブレーキ?)の利きも強力でした。エンジン車でシフトダウンした際の急減速の感覚です。エンジン車の場合はエンジン回転数の急上昇とその音とともに原則しますが、このクルマは音もなく急減速です。高速は当然、一般道でも40km程度から少し先の赤信号を見つけてアクセルリリースした際には、最後の最後にわずかにブレーキを踏む程度でした。

 

5.フワフワした足回り

走り始めて気になったことは、サスペンションの減衰特性です。舗装一般道走行の際に、わずかな段差や路面凹凸部を通...

 

 

【この連載の前回:次世代エネルギー車とものづくり(その3)FCEVの販売数へのリンク】

これまで燃料電池自動車FCVのトヨタMIRAIとHyundai NEXOの試乗をレポートしました。次世代車エネルギー車としては電気自動車EVも普及し始めています。今回と次回は、Hyundaiが日本での発売も開始したEV IONIQ5の試乗をレポートします。広義のものづくりの視点として、EVならではの車両パッケージの考え方などにも注目しました。

 

1.デザイン(外装意匠)

外装デザインの特徴としては、直線・平面的デザインにわずかに局面を折り込んだ印象でした。特に、フロンドドア中上部からリアドア下部に向かう真直線の大胆なラインのインパクトがあります。正面斜め前方の写真で確認ください。

 

FCEV

FCEV

FCEV


車両デザインの細部モチーフは、ピクセル(pixel、コンピュータ画像の画素)です。たとえば、ヘッドランプやテールランプ、ミラーの下部、充電口蓋の開閉ポイントなどは、□■□■基調のデザインです。

 

FCEV

 

2.EVとして大胆なものづくり、車両パッケージ

EVの利点を最大限に生かした車両パッケージは、クルマというモノづくりの真髄に通じるものがあるように感じました。いかに魅力的なクルマに仕立てるか、車両企画と設計の腕の振るいどころだったでしょう。もちろん、生産という狭義のものづくりでも大胆さと多数の工夫が必要です。Hyundaiの韓国語・英語のサイトからは、それらに関するYouTube動画も公開されていますので、ご興味ある方は検索してみてください。

 

世界最長のホイールベース 3000mm

乗用車としては最大級の長さです。Teslaも長いのですがそれを上回っています。EVとして専用設計したプラットフォームE-GMPが採用されています。(写真:出典Hyundai website)

 

FCEV

 

パッケージングの大きな特徴は、従来室内のインパネ内部に配置していたエアコン機器機能部分をエンジンルーム側に移動させた設計のために、インパネの前後長が短く、前席の広さに貢献しています。インパネ周辺の車輪をご覧ください。足元が広々しており、社内で運転席から助手席への移動も可能です。この思想は、今年NISSANから発売されたARIYAでも採用されています。詳細は、当社のサイトでレポートの予定です。

 

FCEV

 

また、この構造により、引き出しタイプのグローブボックスも実現できたということで、ものの出し入れが楽になっています。

 

FCEV

 

走行可能距離(カタログ値) 618km

カタログ上の走行距離(WLTCモード、ヒョンデ自社計測)

•標準で 498km
•Voyage/Loungeで 618km

 

3.完全日本仕様のステアリングコラムとレバー式シフト

海外で車を運転する際、ウインカーとワイパーが逆で、右左折の際にしばしばワイパーを作動させてしまいます。日本に輸入される右ハンドル仕様のクルマも大半が左ウインカーです。しかし、IONIQ5は完全に日本仕様です。まったく違和感なく試乗できます。わざわざ日本仕様のステアリングコラムを開発したということです。

 

IONIQ5のシフトはシフトレバー先端の回転式です。この辺りは、シフトバイワイヤを生かしたものづくり設計です。先のレポートしたHyundai FCVのNEXOや今年トヨタから発売されたbZ4Xも同様にシフトバイワイヤを生かした仕様となっています。さて、このIONIQ5は、ヘッドライトの点灯やスモールに切り替える際に回転させるイメージです。ステアリングコラム右側のやや下に長さ10cm程度のレバーがあり、その先端が回転します。ステアリングコラム右側上のレバーは従来のウインカです。写真でご確認ください。

 

FCEV

 

4.圧倒的な電気自動車らしさ 動作に“遊び”が全くない

エンジン車とは全く異なるアクセル感覚です。アクセルの踏み込みに全く“遊び”なくクルマが動くという感覚です。IONIQ5はその特徴が顕著でした。アクセルをわずかに踏み込んだ瞬間に動き出します。加速の圧倒感も電気自動車ならではの特徴です。ガソリン車では味わえない圧倒的な加速感です。しかも、エンジンが吹き上がるというような騒音もなく静かに100km超えです。160kw、350n/mのモータの力強さです。

 

アクセルをリリースした際のエンジンブレーキ(モータブレーキ?)の利きも強力でした。エンジン車でシフトダウンした際の急減速の感覚です。エンジン車の場合はエンジン回転数の急上昇とその音とともに原則しますが、このクルマは音もなく急減速です。高速は当然、一般道でも40km程度から少し先の赤信号を見つけてアクセルリリースした際には、最後の最後にわずかにブレーキを踏む程度でした。

 

5.フワフワした足回り

走り始めて気になったことは、サスペンションの減衰特性です。舗装一般道走行の際に、わずかな段差や路面凹凸部を通過した際、足回りのバネ的振動が後を引くような印象です。サスペンションの設計・味付けなのか、EV特有のスケートボード型のプラットフォームの影響なのでしょうか?

 

6.後輪駆動

このクルマの大きな特徴は後輪駆動という点です。EVの大半は前輪駆動です。TeslaやBMW i4など、走行性を重視するクルマは後輪駆動のようです。今回はほとんどが高速道路の走行でしたので、山道走行ではその差が出るのかもしれません。なお、AWDモデルもあります。中高級価格帯のEVにはAWDモデルがありますが、ガソリン車よりはるかに容易にAWD化が可能です。

 

競合するEVとの比較表、さらなる詳細や動画などは、株式会社Tech-Tのウエブサイトでご確認ください。

 

次回は、走行特性や試乗して体験した各種機能など、クルマの楽しさ目線での報告を予定しています。

◆関連解説『自動車技術』

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この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング


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