非破壊検査とは

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非破壊検査とは

 

製品検査の方法には、非破壊検査と破壊検査、浸透探傷検査、渦電流探傷検査、超音波探傷検査などがありますが、今回は、非破壊試験・非破壊検査について解説します。

 

1.非破壊検査とは

 

非破壊検査とは文字通り、物を壊さずに表面のキズ、内部のキズあるいは劣化の状況を調べ出す広義の目視検査技術のことです。その種類は、浸透探傷検査、渦電流探傷検査、超音波検査、X線検査などがあります。

 

2.非破壊検査の種類

 

(1) 浸透探傷検査

 

溶接部の割れ、熱処理後の割れ、プレス成型した時の割れ、表面のキズ検査などで活用する検査法です。検査の進め方は、まず洗浄液で表面の油や汚れやきれいに洗浄します。汚れがあるとそこに反応するので、洗浄は入念に行います。次に浸透液を吹き付けます。全体に吹き付けないと吹き付けがない部分は検査されません。吹き付けたら、これを20分以上放置します。この間に表面のキズや割れにこの赤い浸透液が浸透していきます。

 

 洗浄液でこの表面の浸透液を落とします。この時、キズ内部の浸透液は落とさないように洗浄します。そして、表面はしっかり拭き取ります。最後に現像液を塗ります。すると、キズのなかに染み込んだ浸透液が浮き出て、表面のキズが検査出来ます。

 

(2) 渦電流探傷検査

 

欠陥検査、表面および表面付近のキズなどで活用する検査法です。圧延した薄板やワイヤーの加工後の欠陥検査などに用います。金属に交流磁場発生用のコイルをセットすると表面に渦電流が発生します。渦電流は表面の電磁気的な性質やキズによって変化します、この変化を検出することによって表面のキズを検査するのです。

 

(3)超音波検査

 

鋳物の欠陥、溶接欠陥、材料内部の欠陥などの検出検査などで活用する検査法です。センサーから超音波が垂直にまっすぐに材料内部に進み、反対の端面で反射して戻ってきます。この時に欠陥があると超音波の進みまたは戻りが直線ではなく障害物を通るので変化し、モニターには超音波が直線でない所がピークとして現れます。

 

(4)X線検査

 

ほとんどすべての内部欠陥および表面欠陥検査などで活用する検査法です。発生源となるX線、そして検査する製品を真ん中にセットします。製品の先にX線を撮影するフィルムがあります。撮影で製品がフィルムに撮影されて、製品に欠陥があるとそれが濃淡の差として現れます。X線にとって製品の通過は遮られることなので、暗くなります。製品の中に空孔があるとそこではX線を遮られることがないので明るくなります。

 

3.非破壊検査の活用例

 

非破壊検査を実施することで、故障や破損が原因で発生するトラブルを未然防止することができます。社会生活の中で様々な製品で非破壊検査が実施されていて、安心安全に対して多大な役割を果たしています。この検査の実施目的は、製品の劣化・損傷を検出し、余寿命の予測を行う寿命評価です。

 

寿命評価を行なうことで次の検査まで使えるのか、補修、交換が必要なのかを判断することができ、故障や事故の未然防止によりコスト削減を図ることができます。

 

【非破壊検査の主な活用場所】

鉄道車輌・自動車・航空機、ボイラ・球形タンク・パイプライン、船舶・ロケット、ビル、マンション、石油・化学関係のプラント設備、製鉄関係のプラント設備、橋梁、橋脚、鉄塔、工場煙突、発電所、トンネル、コンクリート構造物

 

4. 蛍光磁粉探傷試験、蛍光浸透探傷試験とは

 

紫外線探傷灯は、磁粉探傷試験、蛍光浸透試験をはじめ、リークテスト、電子部品・基板のフラックス、コンタミネーションのチェックなど幅広い用途で使用されています。非破壊検査の手法の1つである蛍光磁粉探傷検査と蛍光浸透探傷検査では、蛍光物質含有の浸透液または磁粉を使用しまので、染色を使用した磁粉探傷や浸透探傷に比べて、ブラックライト:紫外線探傷灯を照らすと傷に残った蛍光物質が光り細かな傷も発見出来ます。

 

【蛍光磁粉探傷試験】

磁粉探傷試験は、磁気を利用して表面のきずや表面近傍のきずを検出する方法です。試験体は磁化して着色顔料などでコーティングした磁粉を使用しています。磁粉はきずの周りに集まり、集まった磁粉(磁...

非破壊検査とは

 

製品検査の方法には、非破壊検査と破壊検査、浸透探傷検査、渦電流探傷検査、超音波探傷検査などがありますが、今回は、非破壊試験・非破壊検査について解説します。

 

1.非破壊検査とは

 

非破壊検査とは文字通り、物を壊さずに表面のキズ、内部のキズあるいは劣化の状況を調べ出す広義の目視検査技術のことです。その種類は、浸透探傷検査、渦電流探傷検査、超音波検査、X線検査などがあります。

 

2.非破壊検査の種類

 

(1) 浸透探傷検査

 

溶接部の割れ、熱処理後の割れ、プレス成型した時の割れ、表面のキズ検査などで活用する検査法です。検査の進め方は、まず洗浄液で表面の油や汚れやきれいに洗浄します。汚れがあるとそこに反応するので、洗浄は入念に行います。次に浸透液を吹き付けます。全体に吹き付けないと吹き付けがない部分は検査されません。吹き付けたら、これを20分以上放置します。この間に表面のキズや割れにこの赤い浸透液が浸透していきます。

 

 洗浄液でこの表面の浸透液を落とします。この時、キズ内部の浸透液は落とさないように洗浄します。そして、表面はしっかり拭き取ります。最後に現像液を塗ります。すると、キズのなかに染み込んだ浸透液が浮き出て、表面のキズが検査出来ます。

 

(2) 渦電流探傷検査

 

欠陥検査、表面および表面付近のキズなどで活用する検査法です。圧延した薄板やワイヤーの加工後の欠陥検査などに用います。金属に交流磁場発生用のコイルをセットすると表面に渦電流が発生します。渦電流は表面の電磁気的な性質やキズによって変化します、この変化を検出することによって表面のキズを検査するのです。

 

(3)超音波検査

 

鋳物の欠陥、溶接欠陥、材料内部の欠陥などの検出検査などで活用する検査法です。センサーから超音波が垂直にまっすぐに材料内部に進み、反対の端面で反射して戻ってきます。この時に欠陥があると超音波の進みまたは戻りが直線ではなく障害物を通るので変化し、モニターには超音波が直線でない所がピークとして現れます。

 

(4)X線検査

 

ほとんどすべての内部欠陥および表面欠陥検査などで活用する検査法です。発生源となるX線、そして検査する製品を真ん中にセットします。製品の先にX線を撮影するフィルムがあります。撮影で製品がフィルムに撮影されて、製品に欠陥があるとそれが濃淡の差として現れます。X線にとって製品の通過は遮られることなので、暗くなります。製品の中に空孔があるとそこではX線を遮られることがないので明るくなります。

 

3.非破壊検査の活用例

 

非破壊検査を実施することで、故障や破損が原因で発生するトラブルを未然防止することができます。社会生活の中で様々な製品で非破壊検査が実施されていて、安心安全に対して多大な役割を果たしています。この検査の実施目的は、製品の劣化・損傷を検出し、余寿命の予測を行う寿命評価です。

 

寿命評価を行なうことで次の検査まで使えるのか、補修、交換が必要なのかを判断することができ、故障や事故の未然防止によりコスト削減を図ることができます。

 

【非破壊検査の主な活用場所】

鉄道車輌・自動車・航空機、ボイラ・球形タンク・パイプライン、船舶・ロケット、ビル、マンション、石油・化学関係のプラント設備、製鉄関係のプラント設備、橋梁、橋脚、鉄塔、工場煙突、発電所、トンネル、コンクリート構造物

 

4. 蛍光磁粉探傷試験、蛍光浸透探傷試験とは

 

紫外線探傷灯は、磁粉探傷試験、蛍光浸透試験をはじめ、リークテスト、電子部品・基板のフラックス、コンタミネーションのチェックなど幅広い用途で使用されています。非破壊検査の手法の1つである蛍光磁粉探傷検査と蛍光浸透探傷検査では、蛍光物質含有の浸透液または磁粉を使用しまので、染色を使用した磁粉探傷や浸透探傷に比べて、ブラックライト:紫外線探傷灯を照らすと傷に残った蛍光物質が光り細かな傷も発見出来ます。

 

【蛍光磁粉探傷試験】

磁粉探傷試験は、磁気を利用して表面のきずや表面近傍のきずを検出する方法です。試験体は磁化して着色顔料などでコーティングした磁粉を使用しています。磁粉はきずの周りに集まり、集まった磁粉(磁粉模様)は実際のきずの大きさの数倍から数10倍にもなります。

 

【蛍光浸透探傷試験】

浸透探傷試験は、クラック等の表面のきずを検出する方法です。木材などの一部を除くほとんどすべての金属・非金属に適用する事ができ、さらに複雑な形状な部位も検査が可能な、用途が広い検査手法です。

 

適切な認証試験・検査を行うために、これらの規格の要求を満たす検査機器・紫外線探傷灯を使用する必要があります。紫外線探傷灯が放射する紫外線強度が不足していたり、逆に照度が多い場合は、きずを見逃してしまう可能性があります。このため、日本工業規格の磁粉探傷試験および浸透探傷試験の規格では、紫外線探傷灯や観察条件等について規定しています。

 

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この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。

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