アイディアの源泉 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その91)

 

◆ アイディアの源泉:当たり前を疑う

「新規事業や開発テーマのアイディアを出したいが、既存商品の延長線上で魅力が感じられないアイディアに終始してしまい、困っている。何かよい方法はありませんか?」このような相談をよくいただきます。

自社にとって新規性が高いアイディアを抽出するためには、1つのポイントがあります。それは「常識を疑う」ことです。具体的には、商品・業界・自社の3つの視点で当たり前をくつがえすアイディアを出すことです。今回は「新規性が高いアイディアを抽出するために、商品・業界・自社の常識を疑う」考え方について解説します。

 

1.「商品」の常識を疑う

世の中に存在する商品の常識をリストアップし、その反対を言語化し、アイディアを出す方法です。

例えば、ボールペンの常識は「一度、書いたら消えない」、「消すためには、修正材を使う」ことでした。この反対は「書いても消せる」「修正材を使わない」となります。有名なパイロットのフリクションでは高温下で消えるインクを使い、「書いても消せる」という価値を提供しました。

 

2.「業界」の常識を疑う

自社が参入する業界の常識をリストアップし、その反対を言語化し、アイディアを出す方法です。

例えば、アウトドア用衣料業界の常識は「ゴム引きなど重い素材により防水する、しかし高湿度になる」「素材メーカーの顧客はあくまで衣料品メーカーである」でした。この反対は、「軽くて防水透湿性がある」「素材メーカーが最終ユーザーを顧客ととらえる」です。ゴアテックスは防水透湿性を有する素材を開発し、さらに衣料品製造メーカーの生産に入り込み品質の向上を行うとともに、最終ユーザーに製品保証を行っています。

 

3.「自社」の常識を疑う

自社の常識をリストアップし、その反対を言語化し、アイディアを出す方法です。

例えば、「参入業界は物流である」「開発プロセスはウォーターフォールを踏襲する」「商品は高機能を追求する」といった具合に様々な常識が出てくるはずです。これらの反対は「参入業界は物流以外である」「アジャイル開発を導入する」「低機能商品を企画する」となり、この後、具体的にどんな...

方法が考えられるかを議論します。

反対を言語化する際に気を付けたいのが、良し悪しを即判断しないことです。業界や商品とは異なり、身近である自社の常識は正しいと信じたいという意識が働くからです。これを防ぐために、反対を言語化した後、1日寝かせるなど気持ちを切り替えた上で実現方法を議論するとよいでしょう。


新規性が高いアイディアを抽出する際に、これらのアプローチをお試し下さい。

 

◆関連解説『技術マネジメントとは』

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者