医薬品をはじめとして、新規な有機化合物の研究開発を進める際には、結晶多形現象に遭遇することが多いようです。また、物性改善のために塩、共結晶のスクリーニングを進める場合や、晶析プロセスをスケールアップ際にも、結晶多形に関する基礎知識は不可欠です。しかし、結晶については多くの研究分野との学際領域でもあるので体系立てて学習するための機会は多くはないのではないでしょうか。
今回は、単結晶とは?多結晶との違い 単結晶の特徴について解説します。
1.「単結晶」とは
単結晶とは、1個の結晶内のどの部分を覗いても、原子配列の向きが全て同一であるものをいいます。
単結晶内の一定方向では、原子は必ず等間隔に並んでいき、同じ方向の断面では、すべてに同じ原子の配列模様が現れる特徴があります。
単結晶の集合体が、多結晶と呼ばれています。
2.シリコン、シリコーン、炭化ケイ素について
まず、シリコンですが、シリコンは「ケイ素」と呼ばれる物質のことをいいます。シリコンという言葉とシリコーンという言葉が混同して使われています。シリコン(Silicon)はケイ素原子や金属ケイ素などのことを指しますが、シリコーン(Silicone)は、-Si-O-結合に有機基が付いた高分子化合物のことを指します。また、広義には、有機ケイ素化合物全般をシリコーンと言う場合もあります。
そして、炭化ケイ素ですが、セラミックス基繊維強化複合材料は、セラミックス単体の脆さを大幅に改善し、大きな破壊抵抗を示すことから、金属材料に代わる高信頼性耐熱材料として注目されています。なかでも、炭化ケイ素(SiC)基繊維強化複合材料は航空宇宙産業、原子力・核融合分野、高温ガスタービン等のキーマテリアルとして研究開発が国内外で進められています。セラミックス基繊維強化複合材料において繊維/マトリックス界面は優れた機械的特性を発現させるために極めて重要な役割を担っており、繊維表面に最適な界面層を形成し、最適な界面制御することが高性能セラミックス基繊維強化複合材料の実現において重要です。
3.「単結晶」と多結晶の違いとは
ソーラーパネルには、太陽光のエネルギーを電気のエネルギーに変換するために、半導体の役目を担う「太陽電池」が使用されています。
今、最も注目される太陽電池は、ペロブスカイト太陽電池で、フレキシブル・軽量基板にも印刷法で作製できます。特に、フレキシブル軽量太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池は、透明導電性基板です。
太陽電池を構成する最小単位をセルといいますが、このセルがいくつも組み合わさっていくことで、発電を行うことが可能になります。太陽電池の主な原材料は3つあり、シリコン系、化合物系、有機系があります。そして、最も一般的に多く利用されているのが、シリコン系であり、シリコンは「ケイ素」と呼ばれる物質のことをいいます。ケイ酸質の鉱物や岩石をさまざまな方法で加工を行い、製造されたものが、単結晶シリコンと多結晶シリコンになります。
2つの違いについて、以下で説明していきます。
4.多結晶シリコンの特徴
- 単結晶の製造時に発生した端材や不良品を原料として作製されたもの。
- 発電効率が2~3%減少する特性がある。
- 再利用、製造コストの軽減を目的としているため、コストの削減が期待できる。
5.単結晶シリコンの特徴
- 日本において、最も流通して普及している太陽電池の原料である。
- 単一のシリコンの塊を材料として作製される。
- 純度が高い。
- 製造工程が複雑になる。
- 多結晶シリコンよりも高価な値段になる。
- ソーラーパネルに使用する際に、見た目にムラが無く、高品質で美しい見た目に仕上がる。
東北大学で開発された「単結晶」熱電変換材料とは
202...