80対20の法則とロングテール

更新日

投稿日

 これまで多くのテーマで、仕事の効率化のための優先順位の決め方の原理原則は、80対20(パレート)の法則でした。しかし、IT化が進展し、インターネット全盛の昨今では、ロングテールと呼ばれる考え方が出現し、いままでの考え方を覆すことが起こっています。テーマの絞り込みやニッチ分野の選択などで、マーケティングの考え方も見直さなければならない場合もあるようです。つまり、お客様への対応を自動化できれば、潜在ニーズが顕在化され、絞り込む必要がなくなるというわけです。そこで、両者の意味と違いを確認し、両者を使い分けることが、戦略の判断を間違わないために求められます。

 

1. 80対20の法則とは

 80対20の法則は、パレートの法則とも呼ばれます。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという考え方です。主に図1のような品質問題やマーケティング戦略で活用されてきました。例えば、次のように考えます。

  • ・不良全体の80%は、20%の原因に由来する。
  • ・売上の80%は、全商品の20%が作る。
  • ・売上の80%は、全顧客の20%によるものである。

 

 つまり、不良、全商品、全顧客の20%に着目すれば、目標の80%が達成できるのです。非常に効率的だと思います。筆者は、例えば、人財育成の面でも、モチベーションの向上策や研修の評価尺度として定量化可能な数値として用いていました。  

80対20の法則(パレートの法則)  

図1 品質問題の内訳(パレート図)

2. ロングテールとは

 一方ロングテールとは、インターネットを用いた物品販売の手法、または概念の1つです。販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えることで、総体としての売上げを大きくするという考え方になります。インターネットを通じた販売では、店舗に商品を並べる必要がないために、ニッチ商品を大量に取りそろえることが可能となるのです。図2のように、縦軸に販売数量、横軸にアイテムを販売数量の多い順に並べたグラフの右側部分(ニッチな商品部分)が動物の尻尾のように見えることから、そのように呼ばれます。

GoogleやYahoo!といった検索...

 これまで多くのテーマで、仕事の効率化のための優先順位の決め方の原理原則は、80対20(パレート)の法則でした。しかし、IT化が進展し、インターネット全盛の昨今では、ロングテールと呼ばれる考え方が出現し、いままでの考え方を覆すことが起こっています。テーマの絞り込みやニッチ分野の選択などで、マーケティングの考え方も見直さなければならない場合もあるようです。つまり、お客様への対応を自動化できれば、潜在ニーズが顕在化され、絞り込む必要がなくなるというわけです。そこで、両者の意味と違いを確認し、両者を使い分けることが、戦略の判断を間違わないために求められます。

 

1. 80対20の法則とは

 80対20の法則は、パレートの法則とも呼ばれます。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという考え方です。主に図1のような品質問題やマーケティング戦略で活用されてきました。例えば、次のように考えます。

  • ・不良全体の80%は、20%の原因に由来する。
  • ・売上の80%は、全商品の20%が作る。
  • ・売上の80%は、全顧客の20%によるものである。

 

 つまり、不良、全商品、全顧客の20%に着目すれば、目標の80%が達成できるのです。非常に効率的だと思います。筆者は、例えば、人財育成の面でも、モチベーションの向上策や研修の評価尺度として定量化可能な数値として用いていました。  

80対20の法則(パレートの法則)  

図1 品質問題の内訳(パレート図)

2. ロングテールとは

 一方ロングテールとは、インターネットを用いた物品販売の手法、または概念の1つです。販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えることで、総体としての売上げを大きくするという考え方になります。インターネットを通じた販売では、店舗に商品を並べる必要がないために、ニッチ商品を大量に取りそろえることが可能となるのです。図2のように、縦軸に販売数量、横軸にアイテムを販売数量の多い順に並べたグラフの右側部分(ニッチな商品部分)が動物の尻尾のように見えることから、そのように呼ばれます。

GoogleやYahoo!といった検索サービス、そして検索キーワード連動型広告の登場によって、「ニッチな商品」にニーズのあるユーザーに商品を「見つけてもらう」ことが可能になりました。Amazon.comは、売れているものだけでなく、今まで「ニッチ」とされてきた商品群に着目し、多種多様な「テール」の商品ラインナップをそろえることで成功しており、ロングテールを活かしたビジネスモデルの典型例と言われています。

ロングテールの例

 図2 ロングテールの例

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「事業戦略」の他のキーワード解説記事

もっと見る
品質保証(QA)活動の停滞理由 【快年童子の豆鉄砲】(その27)

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!   ◆品質保証(QA)活動の停滞理由 ...

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!   ◆品質保証(QA)活動の停滞理由 ...


方針展開の不連続性による損失と対策 中小メーカ向け経営改革の考察(その17)

◆方針展開と小集団改善活動に関する問題と対策  前回のその16に続いて解説します。経営方針・事業計画・目標管理の関連性を踏まえず、それぞれに改善の課...

◆方針展開と小集団改善活動に関する問題と対策  前回のその16に続いて解説します。経営方針・事業計画・目標管理の関連性を踏まえず、それぞれに改善の課...


中小製造業の下請け脱却 (その3)

 中小製造業に於ける下請けの実態と、下請けから脱却するにはどうすればいいのか、連載で解説しています。今回は、その3として、加工技術を貫いた事例です。 ◆...

 中小製造業に於ける下請けの実態と、下請けから脱却するにはどうすればいいのか、連載で解説しています。今回は、その3として、加工技術を貫いた事例です。 ◆...


「事業戦略」の活用事例

もっと見る
『坂の上の雲』に学ぶ先人の知恵 【連載記事紹介】

  『坂の上の雲』に学ぶマネジメント、連載の全てが無料でお読みいただけます!   ◆こんな方におすすめ!=企業活動をつねに正...

  『坂の上の雲』に学ぶマネジメント、連載の全てが無料でお読みいただけます!   ◆こんな方におすすめ!=企業活動をつねに正...


感性工学を構成する要素 :新環境経営 (その38)

   今回は感性工学を構成する要素として「感性教育」と「感性社会学」について解説します。    1. 感性工学を構成する要素の「感性教育」  ...

   今回は感性工学を構成する要素として「感性教育」と「感性社会学」について解説します。    1. 感性工学を構成する要素の「感性教育」  ...


人的資源マネジメント:インダストリー4.0 を追いかけるその前に(その1)

 ドイツが提唱しているインダストリー4.0 や GE などの米国勢が中心となって進めているインダストリアル・インターネット。日本では、IoT やビッグデー...

 ドイツが提唱しているインダストリー4.0 や GE などの米国勢が中心となって進めているインダストリアル・インターネット。日本では、IoT やビッグデー...