TOC(制約理論)スループットの限界になるまで連続的な改善を!

更新日

投稿日

 TOC(セオリーオブコンストレイント:制約理論)は、エリヤフ・ゴールドラットが説いた、サプライトチェーンマネジメントの理論的基盤となる考え方です。サプライチェーンの時間的な意志決定が、どのようにして収益性に影響するかを説明するモデルで、「制約」(ボトルネック)に着目し、スループットを向上させるマネジメントです。

 サプライチェーンマネジメントの理論的基盤となる考え方であり、サプライチェーンのビジネスプロセスの時間的な意志決定が、どのようにしてキャッシュフローベースの収益性に影響するかというビジネス上の変数関係を説明するモデルです。喩えとして、「ハイキングの行進」でTOCによるスループットを向上させるマネジメントを表現すると、以下のようになります。

  ハイキングやワンダーフォーゲルを例に、チームリーダーが何如にしてメンバー全員(すべてのオペレーション)を終点に早く到着させるか(スループットを上昇できるか)というマネジメントを考えてみましょう。チームリーダーは全員の体力(不足)を知らないものとし、スタート後少し様子を見て、誰がボトルネックになる最も遅いメンバーか認識することになります。ボトルネックになる人は前との間隙がだんだん広がり、後の人との間隔は詰まっていきます。これでは遅くなるばかりであるので、そのボトルネックの人を先頭にもってきて、他のメンバー全員がその人の歩調と合わせざるを得ません(同期化)。すると隊列の広がりはなくなり、ボトルネックになる先頭の速度が少し速くなった分だけ隊列のスピード(スループット)は上がります。ボトルネックの人が持っている荷物の負荷を軽くし、かけ声をかけて元気を出させ、ボトルネックである人の能力を上げると、全体の速度が上がります(スループットが向上)。

 ここで重要な概念は、全員一律に能力を発揮するのではなく、ボトルネックとなる一人または二人の能力に焦点を当てて改善することで、全体が速くなるということです。  全体が速くなると、どこか別のメンバーがボトルネックとなって、それが全体の速度を遅くします。この新しいボト...

 TOC(セオリーオブコンストレイント:制約理論)は、エリヤフ・ゴールドラットが説いた、サプライトチェーンマネジメントの理論的基盤となる考え方です。サプライチェーンの時間的な意志決定が、どのようにして収益性に影響するかを説明するモデルで、「制約」(ボトルネック)に着目し、スループットを向上させるマネジメントです。

 サプライチェーンマネジメントの理論的基盤となる考え方であり、サプライチェーンのビジネスプロセスの時間的な意志決定が、どのようにしてキャッシュフローベースの収益性に影響するかというビジネス上の変数関係を説明するモデルです。喩えとして、「ハイキングの行進」でTOCによるスループットを向上させるマネジメントを表現すると、以下のようになります。

  ハイキングやワンダーフォーゲルを例に、チームリーダーが何如にしてメンバー全員(すべてのオペレーション)を終点に早く到着させるか(スループットを上昇できるか)というマネジメントを考えてみましょう。チームリーダーは全員の体力(不足)を知らないものとし、スタート後少し様子を見て、誰がボトルネックになる最も遅いメンバーか認識することになります。ボトルネックになる人は前との間隙がだんだん広がり、後の人との間隔は詰まっていきます。これでは遅くなるばかりであるので、そのボトルネックの人を先頭にもってきて、他のメンバー全員がその人の歩調と合わせざるを得ません(同期化)。すると隊列の広がりはなくなり、ボトルネックになる先頭の速度が少し速くなった分だけ隊列のスピード(スループット)は上がります。ボトルネックの人が持っている荷物の負荷を軽くし、かけ声をかけて元気を出させ、ボトルネックである人の能力を上げると、全体の速度が上がります(スループットが向上)。

 ここで重要な概念は、全員一律に能力を発揮するのではなく、ボトルネックとなる一人または二人の能力に焦点を当てて改善することで、全体が速くなるということです。  全体が速くなると、どこか別のメンバーがボトルネックとなって、それが全体の速度を遅くします。この新しいボトルネックに対しても同じことを繰り返すと、全体の進行速度(スループット)はますます速くなり、ボトルネックが変化しなくなるまでこれを追究します。つまり、スループットの限界になるまで連続的な改善をすることが、サプライチェーンでは必要なのです。  TOC理論は用語からみるとボトルネック(制約=コンストレイント)が重要なように思えますが、そこに同期化という概念が入ることで、ますますインパクトが大きくなるのです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。


「TOC(制約理論):DBR」の他のキーワード解説記事

もっと見る
TOC理論をハイキングで比喩すると

 TOC(制約理論)は、制約中心のマネジメントとDBR(ドラム-バッファ-ロープ)という同期法の2つからなり、これはゴールドラット氏の「ザ・ゴール」の中で...

 TOC(制約理論)は、制約中心のマネジメントとDBR(ドラム-バッファ-ロープ)という同期法の2つからなり、これはゴールドラット氏の「ザ・ゴール」の中で...


TOC思考プロセスとは

 TOC思考プロセスは、論理に基づく、問題解決のフレームワークです。ここで言う論理とは因果関係のことで、因果関係の図式化に基づく分析手法が、問題解決のステ...

 TOC思考プロセスは、論理に基づく、問題解決のフレームワークです。ここで言う論理とは因果関係のことで、因果関係の図式化に基づく分析手法が、問題解決のステ...


小説「ザ・ゴール」で制約理論(TOC)を学ぶ

1.制約理論(TOC:Theory of Constraints)とは  なんだか難しそうな理論ですね。でも要点はシンプルで、「すべてをボトルネック(制...

1.制約理論(TOC:Theory of Constraints)とは  なんだか難しそうな理論ですね。でも要点はシンプルで、「すべてをボトルネック(制...


「TOC(制約理論):DBR」の活用事例

もっと見る
試作部品メーカーの営業強化の事例

 時代とともに変化する自社のボトルネック補強は社長の重大任務であり、企業の収益力を伸ばし成長を加速する一点のみへ集中することが効果的です。ここでは某試作部...

 時代とともに変化する自社のボトルネック補強は社長の重大任務であり、企業の収益力を伸ばし成長を加速する一点のみへ集中することが効果的です。ここでは某試作部...


見込み生産と受注組立(MTSとBTO)の対比

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみよ...

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみよ...


回転ずしに見るサプライチェーン

 寿司職人がにぎるカウンター方式のにぎり寿司は、需要予測によってあらかじめ用意されたシャリとネタをバッファ(在庫)として持ち、実需(オーダー)によってネタ...

 寿司職人がにぎるカウンター方式のにぎり寿司は、需要予測によってあらかじめ用意されたシャリとネタをバッファ(在庫)として持ち、実需(オーダー)によってネタ...