知財活用 知財経営の実践(その22)

 
  
 

1. 知財の持つ価値

 
 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
 

2. 知財経営:知財活用の種類

 
 特許権を取得した製品について、自社で製造すべきか、ライセンスを行うべきか?自社の製品に関する技術について特許を取得した場合に、独占戦略かライセンス戦略かを判断します。「独占戦略」とは、自社で製品を製造し他社には製品を作らせない戦略です。「ライセンス戦略」とは、他社に特許権をライセンスしてライセンス料を得る戦略です。なお、ライセンスは地域を限定したり、製品の一部に制約するという場合もあります。資金や製造設備などが豊富にあれば、双方の戦略をとることがよいでしょう。しかし中小企業では、資金や製造設備などに制約があります。中長期的な視点から自社の利益が最大となるようにしましょう。
 

3. 知財経営:中長期的な視点から利益を得る

 
 「独占戦略」は、ニッチな市場で、自社で製品を製造し他社には製品を作らせない場合です。ニッチな市場で、トップ企業を目指す場合は、「独占戦略」を前提に検討します。短期的な視点だけでなく中長期的な視点から自社の利益を得る方法を選択するようにしなければなりません。
 

4. 知財経営:独占戦略

 
 自社のみで製造して市場を独占します。市場独占により大きな利益を得ることが期待されます。しかし、市場を独占するためには他社が自社の特許権を侵害していないかを監視することが必要です。市場調査、市場情報の入手や特許調査を行うことが必要となります。また、他社との特許権侵害の係争のリスクがあります。独占戦略をとるためには、意外とコストがかかることを理解しておく必要があります。
 
 

5. 知財経営:ライセンス戦略

 
 他社にライセンスしてライセンス料で利益を得る戦略です。自社で製品を製造しないため事業資金の投資や事業リスクを低く抑えることができます。しかし独占的利益を得ることは難しくなります。ライセンスの方法としては、以下があります。
 
 
 ライセンスというと一般的に「通常実施権」が多いです。複数の者にライセンスが可能です。ラインセンスをしても、自社でも製造が可能です。通常実施権は、特許庁に登録しておくと第三者に対抗できます。自社の権利として主張するためには登録しておいたほうがよいでしょう。
 
 
 地域を限定したり、製品の一部に制約するライセンスです。例えば、自社は関東では販売は強いが、九州では販売が弱い。このような場合は、九州では九州の販売に強い他社にライセンスをするという戦略です。自社の弱い部分の補完が可能となります。
 
 
 ライセンスの相手が独占的に製造・販売をします。ライセンスをすると自...
社で製造ができません。ライセンス期間の終了後は、自社でも製造が可能です。その他、他社の特許と相互にライセンスする「クロスライセンス」、複数の同業者で特許権を持ち寄る「パテントプール戦略」もあります。
 
次回に続きます。
 
【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)
 
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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