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「峠の釜飯」の釜の秘密とは


 今回は、登録実用新案公報から「峠の釜飯」の秘密を探ります。信越本線の横川駅で売られているおぎのやの駅弁、峠の釜飯の釜の裏に、実用新案登録第3150274号と書かれているのをご存じでしょうか。峠の釜飯の釜の実用新案とは何か。ご飯を炊くときに、釜の中に圧力をかけるための少し重い素焼きの蓋か。料理が釜の内側にこびりつきにくく洗いやすいように、釜の内側のみにかけた釉薬か。調理器具や食器の考案を期待して実用新案登録第3150274号の公報を見ると、意外な内容でした。
 
実用新案
 
 権利者は、株式会社つかもとです。実用新案登録第3150274号の考案の名称は、「陶器製釜飯容器を利用した水栽培用鉢」。食器や調理器具とは関係ない考案でした。要約の課題に、「釜飯用の陶器製容 器をこれまでよりも多くの人に再利用してもらうことが可能となる球根花き類の水栽培に使用する鉢を提供する。」と書かれています。
 
 [背景技術][0002]を読むと、「駅弁等で販売される釜飯弁当の容器は、容器本体の周囲にフランジをもうけるとともに蓋には日本の掴み手をつけて釜飯の形状に似せて多くが陶器で製造され、釜飯弁当が食された後、容器は不燃ゴミや埋め立てゴミとして廃棄されている。(略)これを廃棄してしまうのはもったいないと多くの人が思っている。」と書いてあります。
 
 「釜飯弁当の容器を捨てるのはもったいない」という思いから、釜飯の釜を水栽培用の鉢として利用する考案をしたようです。図面を見ると、釜飯容器(1)が裏返しにした釜蓋(2)の上に置かれている様子が示され、たしかに「釜飯弁当の釜を利用した水栽培用の鉢」に関する考案だということがわかります。
 
 権利範囲(請求項)は4つ 。請求項1には、「陶器製の釜飯容器と、該釜飯容器内の上部中段に固定される球根載置台とからなる水栽培用鉢であって、」と書かれており、その後「前記球根載置台・・」と続き、球根載置台の構成が書かれています。
 
 請求項2~4には、釜本体や蓋に関する記述がなく、球根載置台の構成のみが書かれています。釜飯の釜は横川駅で釜飯付きで売られていますが、肝心の球根載置台はどこで買えるのかは不明なので、この考案が釜飯の釜のリサイクルにどの程度効果があるのかは謎です。
 
 権利者の株式会社つかもとさんは、他に2件の釜飯弁当の釜に関する実用新案の権利者になっています。実用新案登録第3094454号 「釜飯容器」 中身を食した後の釜飯容器を、芳香剤容器として再利用するための考案。実用新案登録第3094454号 「釜飯容器」使用後の釜飯容器を植木鉢として再利用するための考案。
 
 3件の公報を見 て、峠の釜飯の釜の再利用に試行錯誤してアイディアを出していた様子と熱意がわかりました。
 
 ちなみに、公報に記載された権利者と権利者の住所をもとに株式会社つかもとさんのサイトを調べたところ、権利者は栃木県益子町にある創業元治元年(1864年)の老舗の益子焼の窯元さんでした。沿革によれば、昭和32年(1957年)に「横川駅・駅弁容器(釜)製造着手」と書かれていました。画像を見ると、益子焼きの素朴な風合いを生かしつつ、実用性と美しさを兼ね備えた作品が多い様子です。
  

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(おさない さとる) / 専門家B / NEDS

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