
エレクトロニクス高品質スクリーン印刷の基本とプロセス適正化手法
★スクリーン印刷の原理や印刷工法の基礎から、最新のエレクトロニクス分野での具体的な応用例と実践方法について解説!
【アーカイブ配信:11/10~11/21】での受講もお選びいただけます。
セミナー趣旨
スクリーン印刷は、エレクトロニクスやグラフィック・加飾印刷などの多くの分野で60年以上利用されてきたにも関わらず、未だに管理が困難で職人技が必要な印刷技法だと思われる事が多いようです。しかしながら、私自身の25年以上のコンサル経験からも、スクリーン印刷はその原理、メカニズムから考えて、最も安定で、且つ、プロセス管理が比較的容易な印刷工法であると考えています。
孔版であるスクリーン版を利用するスクリーン印刷は、ゴム製のスキージでの摺動により、刷版画線部のパターン開口部からインキを一定量、均一な厚みで基材に転移できる原理です。そして、他の印刷工法と異なり、揮発性の低い比較的高粘度のインキを使用できるため、安定性が極めて高い印刷工法であるとも言えます。これまでプロセス管理が困難だと思われてきたのは、多くの場合、スクリーン印刷技術の基本や原理を理解せずに、各要素の適正化レベルが低いままのスキージやスクリーン版、インキを使用していたためであると考えられます。
高品質なスクリーン印刷を実践するための適切な理論とその考えに基づいた「標準」があります。印刷されるインキ、ペーストの身になってプロセスを考える「ペーストプロセス理論」です。この理論と「標準」は、私が長年仮説と検証を繰り返し実用性があるとして確立し、多くのコンサルティングの現場で実証を行なってきたものです。これらは、エレクトロニクス分野のみならず、グラフィック、加飾、工業印刷などでの高品質スクリーン印刷実践のためであれば、すべてに通用します。
これまでの対症療法的対策が原因とも言えるスクリーン印刷に対するネガティブな先入観を一旦捨て去り、論理的整合性の観点から検証いただければ、この理論の正しさを納得していただけると思います。これまでの対策での成功の理由も失敗の理由もこの理論で説明ができるようになります。
スクリーン印刷プロセスの適正化とは、本来の「あるべき姿」を達成するための「前提条件」を高度に適正化することであり、適正化できていない場合は、その理由、原因を見つけ出し、「標準」に基づき適切に対策することです。「前提条件」が適正であれば、印刷品質と印刷安定性は、インキ・ペーストの有する固有の印刷性能で決定されます。
これまで、全ての印刷工法は、先ず「刷版」の性能が向上し、それに合わせた印刷性の高いインキが開発され、それぞれの印刷品質を向上させてきました。このことはスクリーン印刷においても同様であり、「刷版」であるスクリーン版の主要素であるメッシュ材料の技術進歩により、使用できるインキの印刷性能をさらに向上させることができました。
本講演では、最初に、スクリーン印刷の原理やメカニズムの説明、そして「版離れ角度」の維持により「版離れ力」を1.5倍に向上できる新機構について解説します。次に、スキージやスクリーンメッシュなどの要素技術とそれらの適正化の為の「標準」について解説し、インキ・ペーストの印刷性能に影響する分散安定性、揮発性、濡れ性及び粘弾性特性を分りやすく説明します。さらに、加飾印刷における「トーンジャンプ」のないグラデーション印刷と最近見いだした新技術であるベタパターンでの「サドル」を無くす印刷手法についても紹介します。
最後に、スクリーン印刷に関連する最新のトピックスとして、印刷したインキ塗膜をウエットの状態で5倍以上に増膜し、別基材に移載することが出来る「『リバース型インキ転写装置』を利用した超厚盛印刷技術』について紹介させていただきます。
セミナープログラム
はじめに
・スクリーン印刷の用語解説
・間違った理解をしていませんか?
1.スクリーン印刷とは?
・スクリーン印刷は、原理を知れば最も安定な印刷工法です!
・版とインキを適正化すれば、手刷りで30μmラインも印刷可能な工程能力
・適正化できない最大の要因は、不適正なスキージ、版仕様かインキの印刷性能不足
1-1.各種印刷工法の種類とインキの粘度範囲
・スクリーン印刷の各分野でのインキの粘度
1-2.スクリーン印刷は「特殊印刷」、だから印刷安定性が高い
1-3.現状のスクリーン印刷の多くは「技術限界」の50%以下のレベル?
・正しい考えでの適正化で大きな「伸びしろ」がある印刷技術
2.スクリーン印刷8つの適用工法
成膜(べた印刷)、パターニング、スルーホール印刷、ビアフィル印刷、
ドット印刷、(PDP)落とし込み印刷、積層印刷、転写印刷
3.「ペーストプロセス理論」の考え方の基本
3-1.印刷条件のほとんどは、予め適正化可能な「前提条件」
3-2.先ず、「版離れ」遅れの不具合を無くす事が最重要
4.「コンタクト印刷」とは通常スクリーン印刷とは全く異なる印刷工法
4-1.「コンタクト印刷」の「時差版離れ」は、型抜きでの「版剥がし」
4-2.≪新技術≫メタルマスクでの「同期版離れ」コンタクト印刷工法
4-3.≪新技術≫メタルマスクでの低粘度インキの定量塗布技術
5.スクリーン印刷の4つのカニズムの理解
5-1.「ローリング」のメカニズム
5-2.「充てん・掻き取り」のメカニズム
5-3.「版離れ」のメカニズム
5-4.「レベリング」のメカニズム
6.≪新技術≫「版離れ角度」維持による等クリアランス版離れ改善機構
6-1.印刷後半部での版離れ遅れ増加の原因は「版離れ角度」の漸減だった
6-2.従来ピールオフ動作では、実質クリアランス量増加による寸法不具合が発生
6-3.等クリアランス+「版離れ角度維持」動作で、「版離れ力」1.5倍
7.スクリーン印刷装置とスキージの重要性
7-1.印刷機の種類とスクリーン版
・フラットベッド、曲面(シリンダー)、ロータリー印刷機
・フラットベッドと曲面印刷機は同一仕様のスクリーン版を使用
・ロータリー印刷機用の円筒形版はテンションの無いメッシュ版
7-2.印刷位置合わせの方法
7-3.スキージが最も重要な印刷パラメータの要素
・最適なスキージの選択方法 ・斜め研磨スキージの効果
・スキージエッジの面取り仕上げの重要性
8.4つの印刷条件の適正化と「標準」
8-1.4つの印刷条件と印刷品質への影響
8-2.二通りの印圧設定方法 「ストッパー(押し込み)」方式と「エアー圧」方式
8-3.印刷膜厚均一性と「適正印圧」の定義
8-4.スキージ角度、速度と「充てん力」との相関
9.スクリーンメッシュとスクリーン版
9-1.ステンレスメッシュ開発の歴史とスクリーン印刷技術の進歩
9-2.スクリーンメッシュの「弾性変形」と「塑性変形」
9-3.スクリーンメッシュ開口率とインキの吐出性(印刷解像性)
・低開口率25%メッキ処理メッシュのにじみ抑制効果
9-4.超高強度ステンレスメッシュでの課題解決「無変形スクリーン版」
9-5.スクリーン製版工程の「コツ」 ポジフィルムとの密着と露光
9-6.低溶剤臭のスクリーン版の洗浄作業 水スプレーでのリンス併用
9-7.スクリーン版の高品質再製版システムの実際例
10.インキ・ペーストの印刷性能
10-1.インキの分散安定性
10-2.連続印刷中のインキの含有溶剤揮発と印刷膜厚変化
10-3.インキと基板との濡れ性の影響
10-4.インキの粘性特性と弾性特性
・ベタ印刷でのメッシュ起因の気泡発生のメカニズム
11.≪新技術≫「トーンジャンプ」のないグラデーション印刷
11-1.なぜ、スクリーン印刷でグラデーション印刷が困難と思われていたか?
11-2.「トーンジャンプ」を起こさない最適な網点形状
11-3.原理的に「トーンジャンプ」が発生しない網点仕様と製版技術
12.≪新技術≫ベタ印刷での「サドル」の解消方法
12-1.細線、中間ライン、ベタパターンでの印刷膜厚決定メカニズムの違い
12-2.スクリーン印刷の宿命とされていたベタパーンでの「サドル」現象
12-3.ベタ印刷での「サドル」不具合の解消方法
13.高品質スクリーン印刷プロセス実践のための具体的な対策手法
13-1.印刷均一性を阻害する要因とその対策
13-2.印刷寸法精度を損なう要因とその対策
13-3.スクリーン印刷におけるその他の不具合対策
・乾燥のメカニズムとその重要性
・静電気とインキの糸引き対策
14.高品質スクリーン印刷の応用例
≪新技術≫スクリーン印刷とリバース転写併用によるインキ厚盛技術
・マイクロ文字印刷 フレキシブル基板多層印刷 銀ナノインキ印刷など
キーワード:
スクリーン印刷、インキ、ペースト、メッシュ、マスク、スキージ、版離れ、トーンジャンプ
セミナー講師
(株)エスピーソリューション 代表取締役 佐野 康 氏
<ご略歴>
輸入商社において、14年間、導電性接着剤、ポリイミドペーストの営業職を経た後、1990年より製版メーカー(現 竹田東京プロセスサービス)での技術営業職、1994年より印刷機メーカー(マイクロ・テック)にてスクリーン印刷のプロセス技術支援業務に従事。
2000年10月(株)エスピーソリューションを設立し、技術コンサルティング業務を開始。
以来25年間、プラズマディスプレイパネル(PDP),セラミック電子部品、プリント基板,フィルムデバイスやプリンテッドエレクトロニクス、さらに、グラフィック・加飾印刷等の分野における印刷加工メーカーやペーストメーカーなど約70社以上に対し技術支援を行ってきた。
2007年から2015年までは、ステンレスメッシュメーカーであるアサダメッシュ(株)の技術顧問を務め、国内外の顧客に対し、スクリーン印刷の技術サポートを行った。現在も、複数企業への技術支援業務を行いながら、印刷装置メーカーの㈱ミノグループ印刷技術課と協力し、高品質スクリーン印刷プロセス実践のための「標準」の普及を推進している。
2020年より(一社)日本印刷学会技術委員会スクリーン印刷技術研究会の主査を務めている。
<著書>
「知っておきたいスクリーン印刷とエレクトロニクス」2010年1月 印刷学会出版部
「プリンテッドエレクトロニクス スクリーン印刷による安定生産」2011年3月 印刷学会出版部
セミナー受講料
55,000円(税込、資料付)
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