エコロジーを経営に活かすとは :新環境経営 (その16)

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 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状をたどってきました。また前々回からはエネルギーマネジメントについて説明してきました。今回は、「エコロジーを経営に活かす」について解説します。
 

1. 環境経営「エコロジーを経営に活かす」

 
 前回は、環境経営とは、環境経営が必要な理由、環境経営はお金がかかるは見当違い、の切り口で環境経営の必要性を述べてきました。ここからは、環境経営のあるべき姿として「エコロジーを経営に活かす」です。それは生態系の維持、改善を重視した経営です。20世紀の高度成長期は大量生産、大量廃棄に明け暮れ、地球の浄化能力を大幅に超える資源を消費してきた。その結果、二酸化炭素の排出による地球の温暖化や環境汚染が地球規模で広がってしまいました。地球の浄化能力は無限大とばかりに資源を過剰に消費して物を作って、販売競争に明け暮れた結果です。しかし、その様な野放図な経済活動はもう許されません。既にCSR(企業の社会的責任)、CSV(企業価値と社会価値の両立)等において、企業活動は社会に対して責任ある行動を求められたり、社会的な価値の提供を求められています。国連ではグローバル・コンパクトが提唱され、企業に対し人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則を順守し実践するように要請しています。21世紀は地球環境、生態系の維持、改善を織り込んで、人権、及び環境に配慮して企業経営に当ることが求められています。
 

2. 「エコロジーな経営」とは

 
 具体的に経営にエコロジーを持ちこむとはどのようなことを指すのでしょうか。簡単にいうと、投入する資源(材料、エネルギー、人的リソース)を無駄なく使い、余分な廃棄物を出さないということになります。大量生産の時代はとにかく短時間に大量に作ることが「正」だったため、売れる見通しがなくても大量の材料を入れて、電気、ガス、原油などのエネルギーを大量に使ってたくさん作る。早く作るためには無駄な切れ端がでてもいい。大量生産を前提とした上でそのプロセスに存在する無駄を取るアプローチであった。それに対してエコロジーなアプローチを整理すると次の様になります。
 
(1) 作り過ぎる無駄を減らす
   需要に応じて作り、大量生産ベルトライン方式で生まれる仕掛かりの無駄
   を減らすオンデマンド生産。
(2) 生産工程で生じるロスを減らす
   製造プロセスにおける資源やエネルギーのロスに着目してコスト評価を行
   なうマテリアルフローコスト会計。
(3) 生産設備に関わる無駄を減らす
   設備の旧式化、老朽化設備により投入エネルギーの無駄が生じて製品品質
   向上の取り込みが遅れている。
(4) 廃棄物の処理
   生産の段階で廃棄物を減らす。廃棄物を再資源化。有害物質使用の最小化
   による汚染拡大の防止。
(5) 二酸化炭素の排出を減らす
   化石燃料から再生可能エネへの転換は急務。地下資源を燃やす⇒太陽光エ
   ネルギーの活用...
CSR
 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状をたどってきました。また前々回からはエネルギーマネジメントについて説明してきました。今回は、「エコロジーを経営に活かす」について解説します。
 

1. 環境経営「エコロジーを経営に活かす」

 
 前回は、環境経営とは、環境経営が必要な理由、環境経営はお金がかかるは見当違い、の切り口で環境経営の必要性を述べてきました。ここからは、環境経営のあるべき姿として「エコロジーを経営に活かす」です。それは生態系の維持、改善を重視した経営です。20世紀の高度成長期は大量生産、大量廃棄に明け暮れ、地球の浄化能力を大幅に超える資源を消費してきた。その結果、二酸化炭素の排出による地球の温暖化や環境汚染が地球規模で広がってしまいました。地球の浄化能力は無限大とばかりに資源を過剰に消費して物を作って、販売競争に明け暮れた結果です。しかし、その様な野放図な経済活動はもう許されません。既にCSR(企業の社会的責任)、CSV(企業価値と社会価値の両立)等において、企業活動は社会に対して責任ある行動を求められたり、社会的な価値の提供を求められています。国連ではグローバル・コンパクトが提唱され、企業に対し人権・労働権・環境・腐敗防止に関する10原則を順守し実践するように要請しています。21世紀は地球環境、生態系の維持、改善を織り込んで、人権、及び環境に配慮して企業経営に当ることが求められています。
 

2. 「エコロジーな経営」とは

 
 具体的に経営にエコロジーを持ちこむとはどのようなことを指すのでしょうか。簡単にいうと、投入する資源(材料、エネルギー、人的リソース)を無駄なく使い、余分な廃棄物を出さないということになります。大量生産の時代はとにかく短時間に大量に作ることが「正」だったため、売れる見通しがなくても大量の材料を入れて、電気、ガス、原油などのエネルギーを大量に使ってたくさん作る。早く作るためには無駄な切れ端がでてもいい。大量生産を前提とした上でそのプロセスに存在する無駄を取るアプローチであった。それに対してエコロジーなアプローチを整理すると次の様になります。
 
(1) 作り過ぎる無駄を減らす
   需要に応じて作り、大量生産ベルトライン方式で生まれる仕掛かりの無駄
   を減らすオンデマンド生産。
(2) 生産工程で生じるロスを減らす
   製造プロセスにおける資源やエネルギーのロスに着目してコスト評価を行
   なうマテリアルフローコスト会計。
(3) 生産設備に関わる無駄を減らす
   設備の旧式化、老朽化設備により投入エネルギーの無駄が生じて製品品質
   向上の取り込みが遅れている。
(4) 廃棄物の処理
   生産の段階で廃棄物を減らす。廃棄物を再資源化。有害物質使用の最小化
   による汚染拡大の防止。
(5) 二酸化炭素の排出を減らす
   化石燃料から再生可能エネへの転換は急務。地下資源を燃やす⇒太陽光エ
   ネルギーの活用。
 

3. エコロジーな経営は、経済成長が全てではない

 
 20世紀までのGDPで測る経済成長の先には、心の豊かさや生きがいを見つけることはできないことがわかってきました。21世紀は経済の発展が我々の真の生活の豊かさに繋がるものでなければなりません。これまでの大量生産における資源の無駄使いを徹底的に削ぎ落して、足るを知り、地球の生態系を維持し、持続可能な社会を作ることが21世紀の経営に求められています。それがエコロジーな経営です。
 
 次回からは、上記(1)から(5)のエコロジーなアプローチについて、更に具体的に解説していきます。
 
 

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この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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