印刷する

ホーム > 活用事例 > 事例記事:消費者の立場で行った開発事例-マッサージ機を品質工学で-



消費者の立場で行った開発事例-マッサージ機を品質工学で-


 筆者が在籍した企業で体験したマッサージ器具の開発事例で、品質工学を活用した具体的な説明を行います。

 図1.マッサージいすの開発プロセス

 1970年代の企業はTQCが全盛でデミング賞を取得することが、企業のステータスになっていました。当時松下電工㈱の健康機事業部では、健康づくりを目指してマッサージ椅子を開発していました。そこで行われたことは、顧客のニーズを技術手段に変換する開発を「S-H変換」と名付けた技術開発や商品設計です。このS-H変換の内容は、その後肩たたき機の開発に発展しましたので、事例を紹介します。

 図2は肩たたき機の開発プロセスです。肩たたき器の開発プロセス

 図2.肩たたき機の開発プロセス

 この事例では、「肩の凝りをほぐして欲しい」というのがお客の要求ですから、目的機能はプロのマッサージ師の手技のたたき力と考えて、マッサージ師の手技の計測から開発が始まりました。

 手技を分類すると、図3に示すように、拳打法(こぶしたたき)や切打法(はり扇たたき)や空気手(ダンパーたたき)があり、たたき力について3種類の過渡特性を計測しました。

図3.プロのマッサージ師のモミ手技波形

 目的機能を満足するためには、「たたき機能」だけでなく、「運動伝達機能」と「運動制御機能」が独立機能として考えられますから、それらのシステムも同時に創造する必要があるのですが、ここでは「たたき機能」に絞って技術開発プロセスを説明します。 「たたき機能」は、入力電力をたたき力のエネルギーに変換することですから、たたき力を発生するシステムをたくさん創造することになります。

 図4で示すようにたたき力を発生する技術手段を5種類考案し、その中で機能とコストと技術力の面で考えて、ソレノイド機構を選択しました。

図4.たたき機能のシステム選択

 次に図5に示すように、ソレノイド機構の中で、入力電力をたたき力に変換する効率が最も良い機構として「誘い込み無極型ソレノイド」を選択し、パラメータ設計を行いました。技術手段の考案

 図5.肩たたき機のシステム設計

 同様にして、サブシステム(伝達機能,制御回路機能)はそれぞれ独立機能ですから、それぞれの機能について、機能性評価とパラメータ設計を行って技術開発を完了しました。 商品開発における「全体最適」は、目的機能(過渡特性)を満足するように、目標曲線にチューニング設計を行うことになります。

 商品開発の段階では、部品の共通化は勿論ですが、機能性評価の汎用性が大切です。 図5の「システム設計」では、システムの効率(性能)を高めましたから、その後で「機能性評価とパラメータ設計」で、安定性と再現性を図る設計の最適化が必要になります。

 図3に示すように「たたき機能」の目標が曲線の場合は、標準SN比を用いて機能性評価を行った後で、最適条件の感度でβ1=1、β2=0になるように制御因子を使って目標曲線にチューニングを行います。


【 会員特典 】

関連記事が掲載されたらメールでお知らせ
(会員登録後、マイページで「お気に入り技法」をご登録ください)

専門家「原 和彦」先生に記事内容について直接質問が可能
(専門家プロフィールの「この専門家に問い合わせ」からお問い合わせください)

無料会員登録

会員登録は無料です。登録も1分で完了しますので、是非ご登録ください!


品質工学を通して製品開発、設計の真髄を伝えます

関連する他の活用事例

ロボット塗装条件の最適化 (2012-03-08)
ロボット塗装の条件最適化で時間短縮と安定性向上を達成したアルパインプレシジョンの事例 (2012-10-15)
TOTOのオゾン発生装置の機能性評価事例 (2012-08-01)
T法によって拡張されたパラメータ・スタディー (2012-07-18)
酵素反応による脂肪酸製造のパラメータ設計事例 (2012-12-22)


月刊ビッグライフ21 BigLife21 私たちは全国420万中小企業の代弁者です。

オープンイノベーション支援サービス | Linkers(リンカーズ)

MONO - モノづくりを愛する起業家達のためのコワーキングオフィス