ものづくりドットコムの連載「ものづくりの現場から」では、現場の課題や解決策に注目し、ものづくりの発展に寄与する情報を提供しています。今回は、宇宙品質での製造に取り組んでいる高橋産業株式会社にスポットを当てます。
企業概要
1958年の創業以来、精密機械機器部品製造の分野で事業を行う高橋産業株式会社は、2022年7月に新代表取締役社長、高橋朋晃氏が就任し、更なる飛躍を目指しています。山口県下関市に位置するこの企業は、資本金1,000万円、従業員数5名という小規模ながらも、その技術力と品質管理は業界内で高い評価を受けています。
同社は、高度な技術を駆使して製品を製造しており、品質と精度にこだわっています。温度管理された工場を持ち、機械が常に正しい温度で稼働するようにしています。また、3D測定器を使用して製品の精度をチェックしています。
同社は、将来を見据えて、航空機や宇宙船の製造を支援する新しい技術の開発にも取り組んでいます。
経営理念とビジョン
同社は、「ものづくりの夢工場」を構築し、社員が自らの幸せを追求しながら業績を上げることを目指しています。そのために、「感謝、素直、前向き」な姿勢を持ち、技術立国日本のシンボルとなるような優れたものづくりに力を入れています。
主な事業内容
同社は、半導体製造装置部品の精密切削や複合加工を専門としており、原子力発電所、ロボット、印刷機械、油圧機器、食品加工機械など、多岐にわたる分野の部品製造を手掛けています。鉄、ステンレス、アルミなど様々な素材の加工が可能です。
技術と品質管理
同社はCNC三次元測定機を導入し、宇宙工学的な精度での三次元測定が可能になりました。これにより、製品の精度向上が実現しています。また、恒温工場と3次元測定器を駆使し、シャフトの薄物複雑形状の製造においても高い品質を保っています。
製造現場、品質検査場ともに温度管理が行われている「恒温工場」が同社の大きな特徴
現場の温度管理を行うため随所に空調機が設置されている(加工機の後ろに空調機が見える)
高精度な3次元測定器を自社で保有。検査施設ももちろん恒温下。
独自の加工技術
同社では、機械加工中に発生する切りくずによる製品の傷つきを防ぐため、独自のプログラム加工技術を開発。切削液の当て方や刃物の状態、切削条件の動きを工夫し、傷のない美しい製品作りを実現しています。
社員と顧客の幸福への貢献
社長の下で、社員とその家族、そして顧客の満足を第一に考え、高品質な産業を通じて日本経済の発展に貢献することを目指しています。納期の遵守、価格競争力の維持、そして何より顧客の満足を最優先とする姿勢が、同社の強みです。
編集後記
同社は、細部にわたる品質へのこだわり、技術革新、そして顧客への真摯な対応を通じて、製造業のモデルケースとして注目されています。小規模ながらもその技術力と熱意で、業界に新たな価値を提供し続ける同社から学ぶべき点は多いです。品質を第一に考える姿勢、それを具現化した恒温設備などの実行力が、持続可能な事業成長の鍵と言えるのではないでしょうか?
【法人概要】
・名称 高橋産業株式会社
・所在:山口県下関市