ラストワンマイルの行方、今後の個別配送のあり方

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 SCM

 

1. 宅配環境の変化

最終ユーザーへの配送:ラストワンマイルという言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか。通信販売で何かを買うとそれが宅配されます。その部分が最近怪しくなってきました。何が怪しいか?それは配送する人が不足しつつあるということです。

 

今や配送料無料は当たり前。翌日配送、いや当日配送も常識化する中、このラストワンマイルに対する負荷が大きくなってきているのです。

 

このような物流サービス水準の高度化もさることながら再配達という壁が立ちはだかっているのです。一発で受け取ってもらえれば世話ないのですが不在時にはもう一度訪問しなければなりません。時間指定配送にも関わらず不在の場合があるようです。このケースでも再配送をしなければなりません。しかも追加金額なしで・・・。

 

ラストワンマイルに近いものとして今後日常の買い物品の宅配が増えていくものと思われます。特に高齢者、地方居住者を中心に買い物困難者が増加していくと考えられるからです。こういった人たち向けに現在一般的な配送料で届けるということは業者側から見ればなかなか難しいものと思われます。

 

なぜなら一つのエリアに何件も届け先が存在するとは限らず、届け先が点在することが考えられるからです。

 

通信販売が今以上に増えていくことは確実でしょう。専業主婦は減少し働く女性も増えていきます。つまり在宅率が減っていくことが予想されます。このようなラストワンマイルである宅配を取り巻く環境は大きく変化していくと考えられるのです。この環境の変化に日本の物流はどのように対応していったらよいのかが課題です。

 

しかもコストの問題もありますから物理的にできるだけではなく適正なコストで実現していかなければなりません。これらの課題をクリアしていくために検討すべきことについて少し考えてみましょう。

 

 

2. アメリカの宅配動向

日本では不在のため再配送が問題になっています。宅配は直接ユーザーに手渡ししサインをもらう必要があります。一方でアメリカでは不在でもその家庭の軒先に置いて来ればよいそうです。ラストワンマイルの課題を検討する際に通信販売先進国のアメリカの状況について確認してみましょう。

 

そもそも商習慣が異なりますから一概にアメリカの方式を直接採用できるかどうかは疑問が残りますが大いに参考になることは事実です。アメリカでは不在でもその家庭の軒先に置いて来ればよいので、日本で大きな問題である再配送コストがかからないということです。

 

もう一つに受取場所の多様化が挙げられます。ネット注文したものを最寄りの店舗で受け取る方法があります。日本でも最近では店舗で受け取れるようになってきましたのでそのイメージです。また物流センターに隣接した受取ポイントが設置されている事例もあるようです。その一つが「ウォルマート・ピックアップ・グロサリー」です。

 

これはまるでドライブスルーのような設備でクルマから下車することなく商品を受け取ることができるようです。アメリカはクルマ社会ですから職場から家に帰る途中でこのように商品をピックアップすることが違和感なくできるということです。

 

皆さんご存じのウーバー。これは空いた時間に自家用車で仕事をしたい個人とクルマに乗って移動したい個人をスマートフォンのアプリ上で仲介するマッチングビジネスで、サンフランシスコで創業したベンチャーです。このウーバーが人を運ぶだけではなく日用品を運ぶビジネスを始めています。

 

同じく新興企業であるインスタカートも注目を集めています。この会社は買い物代行サービスを提供しています。お客さんから注文が入ったらインスタカートと提携する配達員が提携先店舗に行って商品を購入しお客さんの元へと自分のクルマで届けるのです。

 

アメリカではこういったラストワンマイルの新しい担い手が登場してきているのです。こういった形態を皆さんはどう感じますでしょうか。日本は保守的な国ですからもしかしたら不安の方が先に思い浮かぶかもしれません。しかし明らかに時代は変わってきています。私たちも少し視点を変えていく必要があるかもしれません。

サプライチェーンマネジメント

3. 今後の配送のあり方

今後の配送のあり方は、前述したアメリカの方式は大いに参考になるところです。日本では規制もありますので、そのまま導入することは難しいかもしれませんが今後の配送能力の不足には対応する必要があります。

 

よく言われる対策に女性の活用があります。家庭の主婦が空いた時間に近所の配送を行うのです。大きなトラックを使わず手押し台車で歩ける範囲で配送して回ります。これをもっと広げれば一定の空き時間を持つ労働力を活用することができます。この方式は大いに活用していくことが望ましいと思います。

 

一方で受取場所の多様化も進めていくとよいでしょう。たとえば最近ではコンビニ受取が増えてきています。既存のコンビニにとってみると今まで通販商品の受取ポイントになっていなかったため商品の置き場所に苦慮しているようです。今後のコンビニ店舗設計の際にはこういった場所も考慮した設計が求められるでしょう。

 

コンビニ受取が始まってみて商品を受けとりに来るお客さんのほとんどの方が「ついで買い」をしていくそうです。これはコンビニにとっては大きなメリットになりますね。商店はいかにお客さんに来てもらうかが重要でありその点でこの方式は画期的だったということでしょう。

 

楽天は駅に宅配ボックスを設置しました。ロッカータイプで帰宅途中などに受け取れる方式です。これもとても便利だと思います。課題は場所の確保です。一部の地方では路線バスと宅配業者がコラボしてバスの一部をカーゴエリアにし...

 SCM

 

1. 宅配環境の変化

最終ユーザーへの配送:ラストワンマイルという言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか。通信販売で何かを買うとそれが宅配されます。その部分が最近怪しくなってきました。何が怪しいか?それは配送する人が不足しつつあるということです。

 

今や配送料無料は当たり前。翌日配送、いや当日配送も常識化する中、このラストワンマイルに対する負荷が大きくなってきているのです。

 

このような物流サービス水準の高度化もさることながら再配達という壁が立ちはだかっているのです。一発で受け取ってもらえれば世話ないのですが不在時にはもう一度訪問しなければなりません。時間指定配送にも関わらず不在の場合があるようです。このケースでも再配送をしなければなりません。しかも追加金額なしで・・・。

 

ラストワンマイルに近いものとして今後日常の買い物品の宅配が増えていくものと思われます。特に高齢者、地方居住者を中心に買い物困難者が増加していくと考えられるからです。こういった人たち向けに現在一般的な配送料で届けるということは業者側から見ればなかなか難しいものと思われます。

 

なぜなら一つのエリアに何件も届け先が存在するとは限らず、届け先が点在することが考えられるからです。

 

通信販売が今以上に増えていくことは確実でしょう。専業主婦は減少し働く女性も増えていきます。つまり在宅率が減っていくことが予想されます。このようなラストワンマイルである宅配を取り巻く環境は大きく変化していくと考えられるのです。この環境の変化に日本の物流はどのように対応していったらよいのかが課題です。

 

しかもコストの問題もありますから物理的にできるだけではなく適正なコストで実現していかなければなりません。これらの課題をクリアしていくために検討すべきことについて少し考えてみましょう。

 

 

2. アメリカの宅配動向

日本では不在のため再配送が問題になっています。宅配は直接ユーザーに手渡ししサインをもらう必要があります。一方でアメリカでは不在でもその家庭の軒先に置いて来ればよいそうです。ラストワンマイルの課題を検討する際に通信販売先進国のアメリカの状況について確認してみましょう。

 

そもそも商習慣が異なりますから一概にアメリカの方式を直接採用できるかどうかは疑問が残りますが大いに参考になることは事実です。アメリカでは不在でもその家庭の軒先に置いて来ればよいので、日本で大きな問題である再配送コストがかからないということです。

 

もう一つに受取場所の多様化が挙げられます。ネット注文したものを最寄りの店舗で受け取る方法があります。日本でも最近では店舗で受け取れるようになってきましたのでそのイメージです。また物流センターに隣接した受取ポイントが設置されている事例もあるようです。その一つが「ウォルマート・ピックアップ・グロサリー」です。

 

これはまるでドライブスルーのような設備でクルマから下車することなく商品を受け取ることができるようです。アメリカはクルマ社会ですから職場から家に帰る途中でこのように商品をピックアップすることが違和感なくできるということです。

 

皆さんご存じのウーバー。これは空いた時間に自家用車で仕事をしたい個人とクルマに乗って移動したい個人をスマートフォンのアプリ上で仲介するマッチングビジネスで、サンフランシスコで創業したベンチャーです。このウーバーが人を運ぶだけではなく日用品を運ぶビジネスを始めています。

 

同じく新興企業であるインスタカートも注目を集めています。この会社は買い物代行サービスを提供しています。お客さんから注文が入ったらインスタカートと提携する配達員が提携先店舗に行って商品を購入しお客さんの元へと自分のクルマで届けるのです。

 

アメリカではこういったラストワンマイルの新しい担い手が登場してきているのです。こういった形態を皆さんはどう感じますでしょうか。日本は保守的な国ですからもしかしたら不安の方が先に思い浮かぶかもしれません。しかし明らかに時代は変わってきています。私たちも少し視点を変えていく必要があるかもしれません。

サプライチェーンマネジメント

3. 今後の配送のあり方

今後の配送のあり方は、前述したアメリカの方式は大いに参考になるところです。日本では規制もありますので、そのまま導入することは難しいかもしれませんが今後の配送能力の不足には対応する必要があります。

 

よく言われる対策に女性の活用があります。家庭の主婦が空いた時間に近所の配送を行うのです。大きなトラックを使わず手押し台車で歩ける範囲で配送して回ります。これをもっと広げれば一定の空き時間を持つ労働力を活用することができます。この方式は大いに活用していくことが望ましいと思います。

 

一方で受取場所の多様化も進めていくとよいでしょう。たとえば最近ではコンビニ受取が増えてきています。既存のコンビニにとってみると今まで通販商品の受取ポイントになっていなかったため商品の置き場所に苦慮しているようです。今後のコンビニ店舗設計の際にはこういった場所も考慮した設計が求められるでしょう。

 

コンビニ受取が始まってみて商品を受けとりに来るお客さんのほとんどの方が「ついで買い」をしていくそうです。これはコンビニにとっては大きなメリットになりますね。商店はいかにお客さんに来てもらうかが重要でありその点でこの方式は画期的だったということでしょう。

 

楽天は駅に宅配ボックスを設置しました。ロッカータイプで帰宅途中などに受け取れる方式です。これもとても便利だと思います。課題は場所の確保です。一部の地方では路線バスと宅配業者がコラボしてバスの一部をカーゴエリアにして運ぶ方式を始めました。

 

昔は国鉄が客車の後ろに貨物車を連結していましたがJRになってからそのようなことは行われなくなりました。旅客会社と貨物会社に分離されてしまったからでしょう。しかしこのような工夫は再開すべき時期が来たのではないでしょうか。バスで運ぶ、列車で運ぶ、タクシーで運ぶ、個人が空き時間に運ぶ、このような工夫が取り入れられてもよいのではないでしょうか。

 

とかく「危険が・・・」とか「不安だ・・・」という発想が先に頭に思い浮かんでしまいます。しかし今後の輸送力不足、高齢化による買い物困難者の増加、ますます増えるネットでの買い物などを考えると考え方を転換する時期に来ているのではないでしょうか。

 

私たちは常にユーザーの視点に立ってラストワンマイルのあり方を考えなければならないのだと思います。今熱い視線が向けられている無人運転技術の活用も含めて将来の物流について構想を練る時期に来ていることは間違いありません。

 

 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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