コスト重視のシックスシグマ

 
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シックスシグマ
とは品質管理での対日本戦略として生み出され、顧客にほぼ欠陥の無いサービスを提供するというビジョンに基づいた経営管理体系です。シグマ(=σ)は標準偏差を表す統計記号であり、100万個に3.4個の規格外が生じる程度にばらつきを抑制すると言う狙いが語源となっています。
 
 日本式品質管理は日本人の勤勉で真面目な国民性に根付いたものと言え、品質が良くなれば利益に繋がるという考えに基づいています。一方シックスシグマは欧米人向けにカスタマイズされており、顧客要望から極力外れないモノを提供することでコストのムダを省くという考えになっています。どんなに品質管理を強固にしても規格外れは生じるものだ、そうであるならゼロ%は不可能だが、100万個あたり3.4個程度の外れに抑えましょうと言う考えです。
 
 規格から外れるものが少なければ、納品出来ない製品や提供出来ないサービスもわずかで済み、廃棄や手直し等のコストCOPQ(Cost of Poor Quality)を抑制することが出来ます。COPQとは直訳すれば低品質により生じるコストとなりますが、ここで言う低品質とは、顧客要望(規格)から外れることを指します。
 
 一般的なモノの質の良し悪しを問う”品質”の意味と異なり、顧客ニーズにはマッチしているかと言う視点で判断します。ニーズにマッチ(規格内に収まる)していなければどんなに良いモノでも買ってもらえず利益に繋がらないので、シックスシグマは顧客の声を聴きニーズを正しく把握する所から始まります。
 
 日本式品質改善活動であるQCサークルは現場が手動となり積極的活動を行います。 老舗製造業ではQC活動が社風と言えるほど浸透しており、全社的発表会を行い優秀なチームは表彰し報奨金を与えている所もあります。一方で企業上層部は活動内容や成果にはあまり感心がありません。「よっしゃ!良くやっちょるな諸君!感心感心」という感じでQCサークル活動を行っている事自体に満足し、手段が目的となっている様な印象を受けます。 活動の成果が利益にどの程度繋がっているかを追跡している所は少ないでしょう。
 
 日本経済が上昇期にあり、品質の向上が利益にリニアに反映されていた時代はそれでも良かったのですが、今は品質を上げても売上げに反映するとは言いがたい時代になり、利益を上げるために何を行うか、という考えに変わりました。
 
 営利企業の改善活動は、本来はこの考えが根底あるはずです。以前は品質を上げることが利益向上の必要十分条件の様に見えただけであり、今は長い経済不況を経験し、必要条件であっても十分では無い事が明らかになりました。
 
 また品質を上げるという考え方も、日っては”平均値を改善する”事であり、ばらつきを改善する事では無かったと思います。ばらつきが同じなら、平均値を上げれば品質は全体的には底上げされているはずなのであながち間違いでは無いのですが、ばらつきを評価出来なかったせいで、誤った改善を多数行ってきたのも間違いないと思います。単なるばらつきに過ぎないのに、改善した(若しくは改悪した)と勘違いし、実質的には意味のない対策を実施してうまく効果が出ないとぼやいていた様に思います。
 
 PCの普及の点では日本よりも欧米が遥か先を進んでいたので、ばらつき削減に主眼を置き、統計手法の活用を必須とするシックスシグマが生み出されたのは、妥当な事だったのかもしれません。シックスシグマは日本には1990年台に紹介され、製造業を中心に広まりましたが、一般に普及しているとは言えません。それはシックスシグマだから出来る、シックスシグマで無ければ絶対に出来ない訳では無いからだと思います。
 
 それでもシックスシグマの考えに強く共感するのは、経営陣に最も重要な役割がありトップダウンで行う事と、ばらつき削減を活動の主眼に置き、ばらつき削減がCOPQ抑制によって生じる利益向上に繋がると言う経営改善を目的としている事です。
 

この記事の著者

眞名子 和義

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