全社利益に貢献する:物流コスト改善に取り組む(その6)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆全社利益に貢献する

他社との混載を進めるにあたり、条件を決めておくとよいと思います。例えば使う運送会社について、お互い契約している会社が違う可能性があります。そこで、方面別に分担を決めるという方法があります。A地区向けは相手の会社が契約している運送会社X社を使い、B地区向けは自社が契約している運送会社Y社を使う、といったことを決めていきます。

 

配車システムを使っている場合、共同輸送時にはどちらの会社のシステムを使うのかについても話し合っておくとよいでしょう。できれば使う容器のモジュールを会社間で共通化するという手もあります。今や社会インフラである輸送資源は少なくなりつつあります。ドライバーの高齢化と共に、新たな成り手がいないからです。少なくとも輸送は他社と連合を組んで、効率的な配車を心がけるとよいでしょう。

 

次に少し購買の話をしていきたいと思います。メーカーであれば部品や資材をサプライヤーから購入しています。会社の中では物流を担当する部署と生産を担当する部署、そして購買を担当する部署が分かれていることが多いのではないでしょうか。

 

その時に、各部署なりの目標があるでしょうから、必ずしも同じ方向に向かった活動にならない可能性があります。購買は購入コストを下げるためにまとめて荷を引き取ることを考えます。一方で生産部署はジャストインタイム生産を行っていますので、このような荷の引き取りには否定的です。

 

ここで物流部署が引き取り物流を実行することで、購買のコスト削減と生産部署の要望を満たす活動ができるのです。このように、物流が社内コーディネーターになり、上手く社内のニー...

サプライチェーンマネジメント

 

◆全社利益に貢献する

他社との混載を進めるにあたり、条件を決めておくとよいと思います。例えば使う運送会社について、お互い契約している会社が違う可能性があります。そこで、方面別に分担を決めるという方法があります。A地区向けは相手の会社が契約している運送会社X社を使い、B地区向けは自社が契約している運送会社Y社を使う、といったことを決めていきます。

 

配車システムを使っている場合、共同輸送時にはどちらの会社のシステムを使うのかについても話し合っておくとよいでしょう。できれば使う容器のモジュールを会社間で共通化するという手もあります。今や社会インフラである輸送資源は少なくなりつつあります。ドライバーの高齢化と共に、新たな成り手がいないからです。少なくとも輸送は他社と連合を組んで、効率的な配車を心がけるとよいでしょう。

 

次に少し購買の話をしていきたいと思います。メーカーであれば部品や資材をサプライヤーから購入しています。会社の中では物流を担当する部署と生産を担当する部署、そして購買を担当する部署が分かれていることが多いのではないでしょうか。

 

その時に、各部署なりの目標があるでしょうから、必ずしも同じ方向に向かった活動にならない可能性があります。購買は購入コストを下げるためにまとめて荷を引き取ることを考えます。一方で生産部署はジャストインタイム生産を行っていますので、このような荷の引き取りには否定的です。

 

ここで物流部署が引き取り物流を実行することで、購買のコスト削減と生産部署の要望を満たす活動ができるのです。このように、物流が社内コーディネーターになり、上手く社内のニーズを実現していくことが望ましい姿です。

 

物流改善は必ずしも物流コストを下げるだけの活動ではありません。仮に物流でコストがかかったとしても、会社全体で利益が出ればよいわけですから。物流はこのようなバランス感覚を持ち、改善を実施していきたいものです。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
格差が拡がるSCM   SCM最前線(その1)

 サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできませ...

 サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできませ...


SCMで優位に立つ

1.「つなぎ」としてのSCMが必要とされる理由   時間の進みが早くなるとどのようなことが起きるでしょうか? ゆっくり役割分担を決めて回すよう...

1.「つなぎ」としてのSCMが必要とされる理由   時間の進みが早くなるとどのようなことが起きるでしょうか? ゆっくり役割分担を決めて回すよう...


部品メーカーのサプライチェーン戦略

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流契約の考え方

  1.機密保持契約とは ◆ 秘密は文書、データ、口頭情報にも含まれる 物流に限らず、すべての事業を行う際に重要になってくるのが「契約...

  1.機密保持契約とは ◆ 秘密は文書、データ、口頭情報にも含まれる 物流に限らず、すべての事業を行う際に重要になってくるのが「契約...


製品1台当たりの物流コストの要因 荷主サイドの物流改善(その3)

  ◆ 物流:要因系と結果系の指標  製品一台当たりの物流コストはいわゆる「結果系」の指標ということになります。すべての物流行為の結果を...

  ◆ 物流:要因系と結果系の指標  製品一台当たりの物流コストはいわゆる「結果系」の指標ということになります。すべての物流行為の結果を...


ロケーション管理:倉庫改善に取り組もう(その3)

  ◆ ロケーション管理:誤出荷の発生を防ぐ~管理手法と注意点  物流倉庫内を改善する場合、ロケーション管理について注意するとよいと思い...

  ◆ ロケーション管理:誤出荷の発生を防ぐ~管理手法と注意点  物流倉庫内を改善する場合、ロケーション管理について注意するとよいと思い...