価格以外の部分を改善する 輸送インフレ時代の次の一手(その1)

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SCM

 

◆ 物流コストのあの部分に注目せよ

 ドライバーの高齢化とともに、新規の成り手がいないことで「トラックドライバー不足」が問題になってきています。このような状況下、物流にかかわる価格も上昇基調にあります。

 物流の元請け業者や荷主会社は、輸送会社からの値上げ要請を受けていると思います。最悪、物が運べない状況に陥る可能性がありますので、価格交渉には応じているようです。少なくとも現時点では、物流価格が下がる可能性は小さいと思われます。特にトラック輸送分野では値上げは避けられず、その幅をいかに縮めるかがポイントになっているのではないでしょうか。

 そうなると、荷主は特に物流コストマネジメントに対し、真剣に取り組むことが求められるでしょう。なぜなら、輸送価格の上昇分を容易に価格転嫁できないからです。ということは、そのまま放置すれば、自社の利益の減少というリスクにつながってしまうのです。このような背景から、荷主は物流コストを安易に上げるわけにはいかないのです。一方で今の価格について、多少なりとも値上げに応じざるを得ない状況にもあります。

 では、状況は八方ふさがりなのでしょうか。確かに物流改善をし尽くした会社であれば、かなり厳しい状況かもしれません。しかし、まだ改善の余地が残されていると考えるのであれば、すぐに手を打つべきです。では真っ先に目を付けるところはどこでしょうか。それは「価格以外の部分を改善する」ということです。そうすれば当然のことながら、物流コストは下がるからです。

 この点について、まず以下の公式を再認識したいと思います。

 【物流コスト】= 【...

SCM

 

◆ 物流コストのあの部分に注目せよ

 ドライバーの高齢化とともに、新規の成り手がいないことで「トラックドライバー不足」が問題になってきています。このような状況下、物流にかかわる価格も上昇基調にあります。

 物流の元請け業者や荷主会社は、輸送会社からの値上げ要請を受けていると思います。最悪、物が運べない状況に陥る可能性がありますので、価格交渉には応じているようです。少なくとも現時点では、物流価格が下がる可能性は小さいと思われます。特にトラック輸送分野では値上げは避けられず、その幅をいかに縮めるかがポイントになっているのではないでしょうか。

 そうなると、荷主は特に物流コストマネジメントに対し、真剣に取り組むことが求められるでしょう。なぜなら、輸送価格の上昇分を容易に価格転嫁できないからです。ということは、そのまま放置すれば、自社の利益の減少というリスクにつながってしまうのです。このような背景から、荷主は物流コストを安易に上げるわけにはいかないのです。一方で今の価格について、多少なりとも値上げに応じざるを得ない状況にもあります。

 では、状況は八方ふさがりなのでしょうか。確かに物流改善をし尽くした会社であれば、かなり厳しい状況かもしれません。しかし、まだ改善の余地が残されていると考えるのであれば、すぐに手を打つべきです。では真っ先に目を付けるところはどこでしょうか。それは「価格以外の部分を改善する」ということです。そうすれば当然のことながら、物流コストは下がるからです。

 この点について、まず以下の公式を再認識したいと思います。

 【物流コスト】= 【物流単価】×【物流量】×【距離】

 単純です。物流コストを下げるためには物流単価を下げるか、物流量を減らすか、距離を縮めるかのいずれかに着手する必要があるのです。今「物流単価」が下げづらい状況にありますから、残りの二つ、つまり「物流量」と「距離」に着目していきたいと思います。輸送インフレ時代の次の一手、次回に続けます。

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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