作業スピードの決め事 物流現場での労務管理(その1)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ 正しい作業をさせているか

 多くの物流現場で仕事を作業者任せにしている実態があります。その作業者が入社してきたときには少しだけ指導をするものの、慣れてくれば後は作業者任せにしてしまっているのです。先輩社員の仕事を見て自分で覚えるようにしろ、といった放任的なやり方では上手くいくはずがありません。このような態度は監督者としての仕事を放棄していることと同様です。当然のことながら、監督者手当は返上してもらわなければなりません。

 作業者に注意するときも標準作業に対してどこがどうちがっているから、という説明が必要です。逆の見方をすると、標準作業が無いのなら作業者を注意することはできないということです。作業は手順は当たり前として、作業のスピードについてもきちんと決めて守らせなければなりません。一回当たりの作業が3分と決めたならそれを守らせることが必要になるのです。

 物流現場では特にこの作業スピードの決め事が曖昧です。いつまでに何をいくつ処理しなければならないというルールが無いのです。

 よくあるパターンは本日中にこの仕事を終わらせる、といったラフな決め事です。もしこういったルールだったとすると作業者はどのような仕事の仕方をするでしょうか。そういった場合、一日の中でその仕事を終わらせるように自らペースを作って仕事をします。一見もっともなように聞こえますがそうではありません。

 極端な言い方をすれば、2時間でできる仕事を8時間かけて終わらせようとするのです。一方で同じ分量の仕事を忙しい時期には2時間で終わらせます。忙しくない時期は8時間かけてしまうのです。...

サプライチェーンマネジメント

◆ 正しい作業をさせているか

 多くの物流現場で仕事を作業者任せにしている実態があります。その作業者が入社してきたときには少しだけ指導をするものの、慣れてくれば後は作業者任せにしてしまっているのです。先輩社員の仕事を見て自分で覚えるようにしろ、といった放任的なやり方では上手くいくはずがありません。このような態度は監督者としての仕事を放棄していることと同様です。当然のことながら、監督者手当は返上してもらわなければなりません。

 作業者に注意するときも標準作業に対してどこがどうちがっているから、という説明が必要です。逆の見方をすると、標準作業が無いのなら作業者を注意することはできないということです。作業は手順は当たり前として、作業のスピードについてもきちんと決めて守らせなければなりません。一回当たりの作業が3分と決めたならそれを守らせることが必要になるのです。

 物流現場では特にこの作業スピードの決め事が曖昧です。いつまでに何をいくつ処理しなければならないというルールが無いのです。

 よくあるパターンは本日中にこの仕事を終わらせる、といったラフな決め事です。もしこういったルールだったとすると作業者はどのような仕事の仕方をするでしょうか。そういった場合、一日の中でその仕事を終わらせるように自らペースを作って仕事をします。一見もっともなように聞こえますがそうではありません。

 極端な言い方をすれば、2時間でできる仕事を8時間かけて終わらせようとするのです。一方で同じ分量の仕事を忙しい時期には2時間で終わらせます。忙しくない時期は8時間かけてしまうのです。こういった事象が起きるのは、監督者がきっちりとした労務管理ができていないからです。作業者は仕事が無いのは恥ずかしいと感じるからあえてゆっくりと作業をするのです。

 このように作業の標準が定まらない弊害は物流コストの増加につながります。労務費の増加です。本来なら半分の人員で済むところを実際には倍の人員を投入してしまっているのです。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その9)

第9回 道具6「現地スタッフ教育マニュアル」 前回のその8に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地スタッフの実...

第9回 道具6「現地スタッフ教育マニュアル」 前回のその8に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地スタッフの実...


SCM効率を評価するKPIの新提案:最終回 SCM最前線 (その16)

   前回のその15に続いて解説します。   5. 面積原価によるSCM改革・改善の方針    これまで、面積原価...

   前回のその15に続いて解説します。   5. 面積原価によるSCM改革・改善の方針    これまで、面積原価...


物流改善ネタ出し講座 【連載記事紹介】

  物流改善ネタ出し講座の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆物流は宝の山 「物流は宝の山だ...

  物流改善ネタ出し講座の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆物流は宝の山 「物流は宝の山だ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流作業者の意欲を高めるには

1. 物流作業の標準化とモチベーション  物流品質にしても物流効率化にしても、物流作業者に頼る部分が多いのではないでしょうか。本来であれば標準作業が...

1. 物流作業の標準化とモチベーション  物流品質にしても物流効率化にしても、物流作業者に頼る部分が多いのではないでしょうか。本来であれば標準作業が...


ドライバーは、商品をお届けするセールスパーソン 物流業界の地位向上(その3)

  ◆ 物流事業者の努力とは  「物流はいつも底辺でなかなか評価されない」と嘆いている人が数多くいます。最近ではテレビ番組でもドライバー...

  ◆ 物流事業者の努力とは  「物流はいつも底辺でなかなか評価されない」と嘆いている人が数多くいます。最近ではテレビ番組でもドライバー...


宅配物流について考える (その1)

1. 宅配物流の特徴  今となっては国民にとってなくてはならない存在となった宅配物流ですが、かつては郵便小包という不便なサービスが今や民間企業が参入...

1. 宅配物流の特徴  今となっては国民にとってなくてはならない存在となった宅配物流ですが、かつては郵便小包という不便なサービスが今や民間企業が参入...